【観戦記】東海大福岡4-3福岡大大濠(秋季大会準決勝)




タイブレークにもつれこんだ熱戦は10回裏に東海大福岡が宗の決勝打でサヨナラ勝ちをおさめた。

東海大福岡は10回裏無死一、二塁からのタイブレークで光富の捕前バントは三封されて一死一、二塁となったが、続く宗が右前にサヨナラ打を放って勝負を決めた。

10回裏 東海大福岡 一死一、二塁 宗の右前打で西村がサヨナラのホームイン

先制したのも東海大福岡。2回先頭の藤本が中越え三塁打で出ると野上四球、秋田三邪飛のあと、井上の右犠飛で藤本が生還した。2点を追う7回は右前打で出た藤本が捕逸で二進、野上の中前打で無死一、三塁とし、代打唐崎の投ゴロ併殺打(1-6-3)の間に藤本が還って1点差とした。9回は一死から藤本がショート後方に落とし、野上左前打で一死一、二塁。福田の投手左へのバントが内野安打となって満塁としたあと、井上の右前打で追いついた。

福岡大大濠は5回、柴田が四球を選ぶと、豊田が送って一死二塁。野口の遊内野安打で一塁送球が乱れる間に柴田が一気にホームをついて追いついた。なおも一死一塁から法村三ゴロで二死二塁となったあと、大神がセンター左を破る三塁打を放って勝ち越し。さらに先村の中前打で3-1とリードを広げた。

しかし6回、7回、9回といずれも一死二塁の好機で追加点が奪えず、タイブレークに入った10回も大神が送りバントを決めて一死二、三塁としたが、先村が三直併殺に倒れて無得点。3回途中から力投を続ける柴田を援護できなかった。

第153回九州地区高校野球福岡大会準決勝
(2023年10月9日・月/北九州市民球場)
チー ム名 一二三四五六七八九十 計HE
福岡大大濠 0000300000 370
東海大福岡 0100001011x 10
(延長10回タイブレーク)

 福大大濠 年 打安点  東海福岡 年 打安点
(中)大 神② 421 (二三)光富➁ 400 
(一)先 村➀ 521 (中) 宗② 521
(遊)高 田② 400 (三)山 本② 300 

(投左)永田➁ 400  打 松 山② 100
(三)立 川② 410  二 森 山➁ 000 
(左投)柴田 310 (中)藤 本② 430
(二)豊 田➀ 200 (左)野 上➀ 320
(右)野 口② 210 (遊)秋 田② 200
打右 中川➀ 200  打 唐 崎➁ 100
(捕)法 村② 300  遊 福 田➁ 110
ーーーーーーーーーーー (捕)井 上➁ 312
ーーーーーーーーーーー (投)佐 藤➁ 410
ーーーーーーーーーーー (右)西村真➁ 300
振球犠盗残       振球犠盗残
23407       62104

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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
永田   2.1 2221   佐藤 10 7243
柴田  7 8041 
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▼試合時間:12:35~14:42
※公式記録ではありません/選手名の下線は左打者

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昨秋の準々決勝(福大大濠4-3東海大福岡)と同じように終盤までもつれる試合となった一戦。今年は東海大福岡が逆転で福岡大大濠を下し、昨年の雪辱を果たした。

福大大濠・永田

福岡大大濠の先発はパート決勝、準々決勝に続いて左の永田。初回に直球、スライダーで二つの三振を奪うなど上々の立ち上がり。しかし2回、先頭の藤本にセンター後方、フェンス直撃の三塁打を浴びると四球、三邪飛のあと井上に右犠飛を許して先制を許す。続く3回も9番西村に死球を与え、犠打と宗の中前打で一死一、三塁となったところで、早くも2番手の柴田がマウンドへ。この試合の福岡大大濠も早いタイミングでの継投に入った。

福大大濠・柴田

準々決勝でも3番手として好リリーフを見せた柴田はいきなり迎えた一死一、三塁のピンチで3番山本を138キロの直球でニゴロ併殺打に打ち取ると、4~6回といずれも三者凡退。130キロ台なかば(この日最速139キロ)の直球、低めのスライダーで内野ゴロを打たせていった。

東海大福岡は絶対的エースの佐藤がこの日も先発。130キロ台なかば(同139キロ)の直球にカットボール、カーブを交えて打たせて取る投球を見せた。3回二死から四球と安打で一、二塁とされたが得点を許さず、4回まで危なげない投球でゼロを並べた。三振の山を築くような派手さはないが、制球にすぐれ安定した投球ができるのがこの投手の強みだ。

東海大福岡・佐藤

試合が動いたのは5回。福岡大大濠は四球で出た柴田を送り、野口はショート前への弱いゴロ。一塁送球が乱れる間に二塁から柴田がホームを突き、ヘッドスライディングで生還。さらに一死一塁から法村はサード正面へのゴロ。併殺と思われたが送球を焦ったか、山本が一度ボールを落としてしまいアウトは一塁のみ。このわずかな隙を逃さず大神が佐藤のカットボールを叩いてセンターの左を破る逆転三塁打、さらに先村もバットの先に当たった打球がコースよくショート右を破るタイムリーとなり、一気にリードを奪った。

ミスがからんでの逆転で福岡大大濠に流れが傾く。6回は一死から立川の二塁打が飛び出し、7回も一死から法村の遊ゴロが一塁低投となって二進したが、いずれも後続が凡退で突き放せない。佐藤が追加点を与えずに踏ん張っているうちに、東海大福岡が徐々に柴田をとらえはじめる。7回藤本が柴田の直球を叩き、きわどくセカンドの右を破ると捕逸で二進。続く野上がバスターでセンター前に運び無死一、三塁。代打唐崎は1-6-3の併殺に倒れたが三塁から藤本が還って1点差に詰め寄る。8回表の福岡大大濠は三者凡退、東海大福岡はその裏も二死二塁と迫って攻勢を続ける。

5回表 福大大濠 一死二塁 野口の遊内野安打の時、一塁送球が乱れる間に柴田が生還

福岡大大濠は9回も一死二塁のチャンスを逃し、1点差のまま9回裏へ。一死後、藤本の止めたバットがショート後方に落ちるラッキーなヒットで出塁すると、野上は0-2と追い込まれながら外角スライダーに逆らわず左前に運び一死一、二塁。途中出場の福田は初球から送る構えを見せ、3球目を投手左にセーフティー気味のバント。これが内野安打となって一死満塁とチャンスを広げると、井上は137キロの直球に詰まりながらライト前に落として同点。今度はサヨナラの場面を迎えた。しかし柴田も踏ん張る。佐藤をスライダーで三振、西村はニゴロに打ち取ってタイブレークに持ち込んだ。

9回裏 東海大福岡 一死満塁 井上が右前に同点打を放つ

10回は両校とも1番からの好打順。福岡大大濠は無死一、二塁から大神がバントを決めて二、三塁としたが、先村の一打は三塁キャンバス付近へのライナーとなり、捕球した光富がそのままベースを踏む。三走の中川も慌てて帰塁するが間一髪アウト。その裏、東海大福岡も光富がバントを試みたが捕手法村の好フィールディングで三封、福岡大大濠も懸命の守りを見せたが、続く宗がやや高めに入った直球をライト前にはじき返して勝負を決めた。

福岡大大濠が相手のミスにつけこんで中盤に逆転したが、その後のチャンスを逃し続けるうちに東海大福岡に流れが傾いてしまった、そんな展開だった。

投手陣は登板した3投手とも好投した。佐藤は6回以降、2安打無四球で味方の反撃につなげ、柴田も二度の無死一、三塁をいずれも内野ゴロ併殺でしのいだ。9回の同点劇は東海大福岡の執念が上回った印象で、むしろ同点にされたあとの一死満塁で柴田はサヨナラを許さず、よく粘ったと言える。

5回表 福大大濠 二死二塁 大神が逆転の中越え二塁打を放つ

打線では東海大福岡は4番藤本が3安打でチャンスメイク、出塁した三度すべてでホームを踏んだ。7番井上は2回は犠飛、土壇場の9回は同点打と好機での勝負強さが光った。1年生ながら5番に座る左の野上もクリーンヒット2本を放った好打者で、9回一死一塁から追い込まれながら左前打でつないだ一打が大きかった。

福岡大大濠は1番大神、2番先村の二人で4安打2打点と打線をけん引した。守りではショート高田が6回、三遊間の弱い当たりを一塁で刺す強肩を披露。送りバントを二度封殺するなど隙なく守り、互角の試合を演じたが9回あと二つのアウトが遠かった。

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