【観戦記】飯塚3-2春日(秋季大会準決勝)




飯塚が終盤の春日の激しい追撃を中島~肥後の継投で振り切って1点差を守り切り、決勝進出を決めた。

両校無得点で迎えた3回、飯塚は四球で出た伊藤を中島が送り、戸次のレフト左への二塁打で先制。さらに平田右飛のあと、赤間が左翼線二塁打を放って戸次も生還した。1点差とされた5回は二死から戸次が四球を選び、二盗を決め二死二塁。ここで平田がサード右を破る左前打を放ち1点を追加した。その後は5回途中から登板した春日2番手・前田の前に無安打に抑えられたが、このリードを守り切った。

3回表 飯塚 一死二塁 戸次がレフト左に先制の二塁打を放つ

春日は4回一死後、五十嵐が四球で出ると藤﨑の右前打で一、二塁とし、大川の右前適時打で1点を返した。再び2点差となった6回は右前打で出た信國を五十嵐が送り、藤﨑の右前打で一死一、三塁。大川が中前に落として1点差とした。

しかし続く一死一、二塁の同点機を一直併殺でつぶすと、7回二死二塁、8回一死一、三塁と好機をつくりながら決定打が出なかった。9回も一死から樋渡が左前打で出たが後続が連続三振に倒れ、あと1点が遠かった。

第153回九州地区高校野球福岡大会 準決勝
(2023年10月9日・月/北九州市民球場)
チ  ー一二三四五六七八九 計HE
飯 塚 002010000 340
春 日 000101000 210
 飯  塚 年 打安点  春  日 年 打安点
(中)戸 次➁ 221 (中)田 口➁ 500 
中 久 我➁ 000 (遊)信 國➀ 420
(左)平 田② 311 (二)五十嵐➁ 200

(二赤 間➁ 411 (一)藤 﨑➁ 440
(一)松 永➁ 300 (右)大 川➁ 422
(右投)肥後② 300 (三)石 松➁ 200
(捕)脇 元➁ 400  打左 横山➀ 200
(三)田 﨑➁ 200 (左)大 津➀ 200
打 瀬 口➁ 100  三 山 北➀ 200
三 森 永➁ 100 (捕)樋 渡➁ 420
(遊)伊 藤➀ 200 (投)久保田➁ 100
(投)中 島➁ 200  投 前 田➁ 200
右 小 倉➁ 000
球犠振盗残       球犠振盗残
33524       12908
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
中島   7.0 8152 久保田 4.2 4213
肥後  2 2040   前田 4.1 0140
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▼試合時間/9:56~11:54 ※選手名の下線は左打者

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ここ数年は常に上位に顔を出しながらあと一歩に泣いてきた飯塚が、苦しみながらも2015年春以来となる九州大会出場を決めた。

飯塚・中島

5回までは飯塚のペースで試合が進んだ。先発のエース中島はこの日も120キロ台前半(この日最速125キロ)の直球にスライダ―、時折80~90キロ台のスローカーブを交えながらの投球を見せた。1~4番まで並ぶ左打者に対しては外角低めいっぱいにスライダーを落として3回まで1安打投球。4回に右打者の大川にスライダーを右翼線にうまく流されて1点は失ったものの、5回は三者凡退に抑えて前半を3安打1四球の1失点に抑えた。

打線ではこの日、1番戸次が活躍。初回にファールで5球粘った後に放った左中間二塁打は得点に結びつかなかったが、3回は四球の走者を二塁に置いて外角のスライダーを左翼線にはじき返す先制打。5回の第3打席はフルカウントから内角低めの際どい直球をよく見極めて四球をもぎ取り、次打者平田の初球に二盗を決めると、平田のサードのすぐ右を破るヒットでホームイン。二死走者なしから貴重な1点を加えた。

春日・久保田

春日の先発は背番号11の久保田。今夏もマウンド経験のある右腕で130キロ台前半(同136キロ)の直球にスライダーにチェンジアップ、カーブと多彩な変化球を交えて飯塚打線に対した。力のある直球もさることながら低めに決まる変化球が効果的で、内外野にフライを打たせてアウトを重ねた。3回は戸次、赤間の左打者に外角球をうまくはじき返され、5回は右打者の平田にスライダーをレフト前に運ばれたが、これは打った方を褒めたいところ。ただ、いずれも四球で出した走者にホームを踏まれたことが悔やまれる。

春日・前田

飯塚に3点目が入った後、赤間に2-0となったところで春日は2番手として背番号18の前田を送りこむ。後方に大きくテイクバックをとってからサイド気味に腕を振り下ろす直球は120キロ台後半(同130キロ)といったところだが、数字以上の速さを感じる。これに手元で沈むチェンジアップがよく低めに決まり、飯塚打線は凡打の山を築いていった。

すると前田の好投に応えるように、春日打線が徐々に中島を捕らえ始める。6回は信國がスライダーを一二塁間に運び、藤﨑は直球を叩いての右前打で一死一、三塁。大川はバットの先端に当たったことが幸いしてセンター前に落ちるタイムリーで1点差。なおも一死一、二塁で春日ベンチは左の代打・横山を送り込むが一塁線寄りのライナーとなり、捕球した松永がそのままベースを踏んで併殺となった。

続く7回も一死から樋渡が左前にクリーンヒット。前田が送って二死二塁となったところで飯塚は打撃好調のセンター戸次を久我に代えて、1点を守りに行く。田口の打球はファースト左を襲う痛烈なゴロとなったが、松永が反応よく飛びついて好捕するビッグプレーに阻まれ、ここも無得点。

4回裏 春日一死一、二塁 大川が右前適時打を放つ

8回表の飯塚の攻撃が三者凡退に終わり、春日の追撃ムードが高まる中、先頭の信國がつまりながらライト前に落とすと、続く五十嵐の初球が暴投となり無死二塁となったところで飯塚ベンチは中島を諦め、ライトの肥後をマウンドに送り込んだ。

チーム屈指の長距離打者である肥後は普段外野を守るが、背番号は18。4回戦の戸畑戦ではブルペンにも入っており、投手としての起用もどこかであるのではと思っていたが、1点差の無死二塁で中軸を迎える場面での登板は予想できなかった。投球練習で直球の球速表示は125~6キロ程度。さほど速い球を投げるわけでもなさそうで五十嵐は三ゴロに打ち取ったが、藤﨑に125キロの直球を右前に運ばれ一死一、三塁。さらにピンチが広がった。

飯塚・肥後

しかし徐々に切れ味が出始めたフォークで大川を三振に打ち取ると、横山は128キロの直球で一ゴロに仕留めて無失点でしのぐ。9回は一死から樋渡に左前打を許したが、続く2人をフォークで三振に切ってとり見事に抑えの役割を果たした。落差あるフォークに、緊迫した場面でも安定してストライクがとれる制球力のよさもリリーフ向きといえそうだ。

春日は4番の藤﨑が4安打の活躍。1、2打席目は中島のスライダーをうまく拾って中前、右前に運び、3、4打席目は直球を引っ張ってのクリーンヒットだった。打線は2人の投手から10安打を放ち、ベスト4に残った実力を示した。投手陣も4安打3失点とよく投げたが、再三の好守を見せた松永をはじめとする飯塚の堅守の前にあと1点が遠く、初の九州大会への道を阻まれた。

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