【観戦記】福岡大大濠4-3東海大福岡(秋季大会準々決勝)




【福岡大大濠4-3東海大福岡(秋季大会準々決勝)】

1点を争う攻防が繰り広げられたが、8回に追い付いた福岡大大濠が9回に松尾のサヨナラ本塁打で東海大福岡を下し、ベスト4入りを果たした。

8回裏福大大濠二死三塁 柴田が同点の右前適時打を放つ

先制したのは福岡大大濠。初回一死後、大神がニゴロ一塁悪送球で出ると、続く黒田のニゴロで併殺を狙った二塁送球が乱れ一死一、二塁。藤田のニゴロで二死二、三塁とすると、5番日高が三遊間を破り2者を迎え入れた。

2点を追う東海大福岡は3回、この回先頭の9番井上がサード右を破って出塁すると、続く上嶋も左前打で続き、宗が送って一死二、三塁。打者砂川の時に暴投で1点を返し、砂川も中前打を放ち同点に追いついた。さらに4回二死後、1番上嶋がセンター右への二塁打を放つと、宗が右前打を放って勝ち越しに成功した。

福岡大大濠は4回一死二塁、5回二死二塁、6回一死一、二塁と同点機をつくりながらあと一本が出なかったが8回、右前打で出た黒田を藤田が送り、日高のニゴロで二死三塁。ここで6番柴田が右前打を放って追いつき、9回は一死から松尾が左中間本塁打を放ってサヨナラ勝ち。3回途中から登板した松尾は4回に1点を許したが、5回以降は無安打投球で追加点を与えず、自らの一発で試合を決めた。

東海大福岡の先発森田も2回以降、走者を出しながらも要所を抑えて追加点を与えなかったが終盤につかまり、137球の力投も報われなかった。

第151回九州地区高校野球福岡大会準々決勝(2022年10月2日・木/春日公園野球場)
        一二三四五六七八九   計HE
  東海福岡  002100000 382

  福大大濠  200000011 471
 東海大福岡 打安点  福大大濠  打安点 ◆投手成績
(右)上 嶋 530 (遊)高 田 400 東海福 回 安球振責
(中) 宗  311 (中)大 神 300 森田   8.2 7362
(二)砂 川 411 (二)黒 田 320 
(一)藤 本 300 (捕)藤 田 300 大 濠 回 安球振責

(捕)岩 﨑 310 (三)日 高 312 鯉川   2.1 5012
(左)有 働 400 (一)柴 田 421 松尾   6.2 3311 
(三)山 本 310 (左)八 島 310 
(投)森 田 300 (右)高 尾 300 試合時間
(遊)井上颯 410 打  龍  100 13:15~15:15
左 近 藤 000 (投)鯉 川 000
(左)岩 田 331  投 松 尾 311
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
23308  3282     63317 3074
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※公式記録ではありません

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東海大福岡・森田

中盤以降、東海大福岡の先発・森田と福岡大大濠打線による激しい攻防が繰り広げられた。

背番号7の森田は投球時に大きく一塁側に踏み出し、腕をクロス気味に振ってくる変則左腕。極端なインステップの左サイドといえば2015年にセンバツ出場を果たした九産大九州の岩田投手(現阪神)がいたが、彼を彷彿とさせるような投球フォームだ。直球は120キロ前後(この日最速123キロ)だが、左打者の背中から外角低めに落ちてくる、あるいは膝元に食い込んでくるスライダーに、左打者が7人並ぶ福岡大大濠は苦しめられた。

初回こそ、相手の連続エラーで転がりこんだ二死二、三塁で日高が直球を三遊間に運んで先制した福岡大大濠だったが、2回以降は快音がピタリと止んだ。3回は四球の走者を得点圏に送ったが藤田、日高がともに凡飛。勝ち越された直後の4回も右前打で出た柴田を二塁に送ったが高尾、松尾がいずれも二飛。スライダーにタイミングが合わずフライを打ち上げるシーンが目立った。5回には2つの見逃し三振を奪うなど、森田の制球力がますます冴えわたる。

6回は四球と八島の中前打で一死一、二塁としたが、高尾は背中からインコースに入って来たスライダーに三振。続く松尾の時に福岡大大濠ベンチは1-0からヒットエンドランをかけたが、これが外角に大きく外れる球となり、松尾はバットを出したが空振りで二塁走者が三塁憤死。7回は三者凡退に終わり、福岡大大濠に1点が重くのしかかってきた。

そして8回。先頭の黒田がスライダーをうまく拾ってセンター前に運ぶと、4番藤田に送らせて一死二塁。初回タイムリーを放っている日高は、フルカウントから内角直球をセカンドの左に打ち返したが、追いつかれて一塁アウト。この回も無得点かと思われたが6番の柴田が追い込まれながらもしぶとくファーストの左に運び、遂に追いついた。再三の逸機を糧に粘り強く、泥臭く、執念でむしりとった1点だった。9回は一死から9番投手の松尾が、打った瞬間それと分かる左中間への大きな一発。松尾はパート決勝の福岡工戦でも左中間を破る大きな一打を放っており、粗さはあるが長打力を秘めた打者だと再認識させられた。

9回裏福大大濠一死、松尾が左中間にサヨナラ本塁打を放ちホームへ
福大大濠・松尾

その松尾は投げても勝利に貢献した。この日は3回同点に追いつかれ、なおも一死一塁の場面で救援登板。直後に四球とポテンヒットで一死満塁とピンチを迎えたが、140キロ超(同141キロ)の直球で押し込み後続を断つ。4回は二死からスライダーを上嶋にセンター右に運ばれたあと、宗には2ストライクと追い込みながら外角直球を右前に打ち返されて勝ち越されたが、ここは勝負を焦りすぎたか。それでも5回以降は2つの四球と味方の失策で出塁を許しただけのノーヒットピッチング。東海大福岡・森田と我慢比べの投手戦を演じた。

福岡大大濠の先発は背番号1の鯉川。松尾に比べるとやや細身だが、直球は130キロ台中盤(同137キロ)をコンスタントに計測する右の本格派。テンポよくストライクをとってきたが、3回に浴びた3本のヒットはいずれも直球。やや投球が単調になったところを狙われた。

福大大濠・鯉川

東海大福岡は初回に失策から2点を失ったが、3回に鯉川をKOすると4回には二死から松尾にも連打を浴びせて逆転に成功。この回までに8安打を放つなど打力のあるところを見せた。松尾の130キロ台後半の直球も果敢に打ち返して来たが差し込まれた分、野手と野手の間を破るまでには至らなかった。ひと冬越えて力をつけてくれば、その打棒は威力を増しそうだ。

1番上嶋(右/2年)は3安打の猛打賞。初回は変化球をセンター右に運び、3回はバスターで直球をレフトにはじき返した。松尾から放った4回のセンター右への二塁打もスライダーを叩いたもの。コンパクトな打撃でチャンスメイクの役割を果たした。

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