2022夏の大会展望➀~優勝候補・九国大付に迫るのは…!?




選手権福岡大会の組み合わせ抽選(24日)を前に、今年の大会を展望してみたいと思います。考察にあたって、昨秋以降に行われた各大会上位進出校の得失点、その1試合平均の数字をまとめたのが下表です(センバツ、明治神宮大会、秋春の九州大会および福岡大会、春の地区大会を対象)。

優勝候補の筆頭は、昨秋九州大会優勝で今春センバツ8強の九州国際大付であることは、論を待たないと思います。絶妙な制球力を誇り安定感のあるエース香西を中心とした堅い守りと、黒田・佐倉らを中心とした打線の破壊力は、これまでも数字などをあげながら紹介してきた通りです。

新チームになって公式戦20試合を戦い、敗れたのは大阪桐蔭、浦和学院(埼玉)、神村学園(鹿児島)の県外3チーム。神村学園戦では香西投手が負傷による途中降板の直後に勝ち越される不運もありました。20試合のうち13試合がセンバツ、明治神宮大会、九州大会とレベルの高い大会でありながら平均得点は7点を超え、失点は2点台。広陵(広島)や日大三島(静岡)など全国区のチームとの接戦を制するなど、競り合いでもスキを見せません。

今年の福岡大会では「どのチームが九州国際大付を倒すか」に焦点が集まります。
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九国を追う西短、飯塚、東海大福岡

春の福岡大会を制した西日本短大附は九州大会でも有田工、長崎日大とセンバツ出場校を連破して準優勝。力のあるところを示しました。投打とも特筆すべき数字ではありませんが、何といっても競り合いに無類の強さを発揮します。
福岡大会準々決勝の真颯館戦は8回表に2-3と逆転されながらもその裏に再逆転、準決勝の東海大福岡戦では終盤2度許したリードを追いつきました。九州大会準決勝の小林西(宮崎)戦でも2度にわたって逆転を許しながら、いずれもその直後に再逆転。リードされても食らいつく戦いぶりで終盤勝負に持ち込めれば、九州国際大付が相手でも十分に勝機が出てきそうです。

【春季福岡大会準々決勝/真颯館―西短大附】8回裏西短大附二死二塁、轟木が右中間に同点二塁打を放つ

飯塚はエース白濱の右腕に託します。昨夏もエースとしてチームを4強まで牽引。秋の福岡大会でもベスト4まで進出し、九州大会まであと一歩に迫りました。最速145キロの直球にスライダ―、フォークを駆使した投球は県下屈指の右腕として注目を集めます。今春はフォークに磨きがかかり、敗れはしたものの5回戦の折尾愛真戦では7回までに13奪三振。四球がやや多いのが気になりますが、強打の九州国際大付といえど攻略は容易ではなさそうです。
白濱投手が九州国際大付打線を抑え込んで接戦に持ち込み、春はやや湿り気味だった打線の奮起が勝利のカギとなりそうです。

九州国際大付と互角の打撃戦に持ち込めるチームがあるとするならば、それは東海大福岡ではないかと見ています。ここまで公式戦13試合の平均得点は唯一の10点台。清水から始まり、間世田、松山、入江、生田ら力のある打者がズラリと並ぶスキのない打線で、どこからでも一発が飛び出す怖さがあります。
どの選手も特に身体の大きいわけではありませんが、コンパクトに振り抜き外野の間を破っていく長打が目に留まりました。投手は入江、松山と完投能力のある左右の2本柱を揃え、平均失点も2点台。投手戦、打撃戦といずれの展開でも勝負に持ち込める力を備えます。

九州国際大付とがっぷり四つに組んで好勝負ができるチームとして、まずは上記3校を挙げたいと思います。
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春の実績校・小倉工、東筑などに勢い

投打にバランスのよい筑陽学園も有力校の一つ。野田、小野原など昨夏4強を経験した経験豊かな選手を揃え、打力のあるチームです。投手陣ではスリークォーターから140キロ近い直球を投げ込む木口に、右上手から縦に落ちるスライダーやカーブを交える盛田が控えます。春の大会では小倉工・山田投手の前に敗れましたが、実力校が揃う福岡地区大会を制した実力はやはり侮れません。

春の準優勝校・小倉工は山田投手に注目です。春の福岡大会では準決勝までの6試合でわずか2失点。右上手からの直球は130キロ台半ばですが、同じ軌道からスッと沈む変化球で凡打の山を築いていきました。九州大会でも明豊(大分)を相手に7回まで3安打1失点と好投。終盤崩れて惜しくも敗れましたが、そのピッチングが九州地区の強豪相手にも通用することを証明しました。あとは打線がどこまで援護できるかにかかってきそうです。春の大会では北九州市長杯で優勝した東筑も破っており、北九州地区では九州国際大付を追う最有力候補と言えます。

【春季福岡大会準決勝/折尾愛真-小倉工】勝利の瞬間、拳を握る小倉工・山田

東筑は北九州市長杯で優勝。九州国際大付、小倉工が不在の大会だったとはいえ、春4強の折尾愛真、同8強の真颯館など強豪を下しての優勝は評価できるものです。
中心となるのは大型左腕の高﨑投手。力のある直球に変化球を交えてピンチで三振がとれる投手ですが、まだ成長の途上という印象です。例年攻撃重視のチームづくりを進め、夏になると強さを発揮するのも東筑の強みです。無欲の快進撃で優勝を勝ち取った5年前の再現なるでしょうか。
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好投手、強力打線が最後の夏に挑む

春4強の折尾愛真は、高い奪三振率を誇る左腕・田端投手の投球に注目が集まります。春の筑後地区大会を制した大牟田は打線が看板のチーム。投手力にやや課題を抱えますが、点を取られても取り返す攻撃野球が魅力です。

左腕森本を中心に投打にまとまりを見せる福岡大大濠昨夏以降コンスタントに上位進出を果たし古豪復活への歩みを進める柳川特筆する選手はいませんが粘り強い戦いで秋春ともに8強入りを果たした南部屈指の公立校・福岡、春はやや精彩を欠いたものの昨秋準優勝の実績のある福岡第一、好投手・内田を擁する福工大城東、昨秋4強で打力のある自由ケ丘なども上位進出を狙えるチームですが、打倒・九州国際大付を果たすには、夏までにもうワンランクのレベルアップを図りたいところです。

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