2022夏の注目選手たち➀~右投手編




7月3日の選手権福岡大会開幕まで1カ月少々となってきました。昨秋以降の観戦した試合から目に留まった選手を挙げていきたと思います。まずは右投手から。(球速の「最速」表記は筆者が観戦した試合での直球の最速)

西短大附・江川

■江川颯太(西日本短大附・3年)
春の福岡大会を制し、九州大会でも有田工、長崎日大とセンバツ出場校を相手に完投勝利、チームを準優勝に導きました。昨夏からマウンドに上がっていましたが今春以降、本格化した印象です。がっしりした体格から投げ込む130キロ後半(最速140キロ)と同じ軌道からスッと沈むスライダーが武器です。

春季大会準々決勝の真颯館戦は7回まで2安打無失点、準決勝の東海大福岡戦は5回まで1安打無失点とほぼ完ぺきな投球。ただ、両試合とも終盤に集中打を浴び、真颯館戦、東海大福岡戦、さらに九州大会の長崎日大戦、決勝の神村学園戦ではいずれも一発を喫しました。そのため安定感にはやや欠けるきらいがありますが、伸びのある外角直球と落差あるスライダーが決まった時は手に負えない投球を見せる、そんな粗削りなところのある投手と言えます。

飯塚・白浜

■白濱快起(飯塚・3年)
2年生エースとして昨夏ベスト4入りに貢献。秋もベスト4までチームをけん引しました。190センチの長身から投げ下ろす140キロ超(最速145キロ)の直球にスライダ―、フォーク、カーブと多彩な変化球を投げ分け、早くから注目された大型右腕でした。春の大会5回戦・折尾愛真戦では5回までに12奪三振。秋までは三振を量産するタイプの投手ではありませんでしたが、フォークの精度が上がったこともあり、狙って三振がとれるようになりました。

県下ナンバーワン右腕の評価に揺るぎはありませんが、優勝候補に挙げられながら秋春とも大事な一番で勝ちきれないもどかしさがあります。それでも同校には小串、中村、藤原と他校ならエース級の投手が揃っており、層の厚さがものを言ってくる夏の大会は大きなチャンスと言えそうです。

小倉工・山田

■山田裕太(小倉工・3年)
春の大会では準々決勝の筑陽学園戦で4安打1失点、準決勝の折尾愛真戦では2安打完封(7回)と好投を見せて準優勝。同校を2004年以来となる九州大会出場に導きました。130キロ台半ば(最速136キロ)の直球に110キロ台のチェンジアップ、100キロを切るカーブをコーナーいっぱいに決める制球力が武器。特にチェンジアップには自信があるようで、投球の軸となっています。

九州大会でも明豊(大分)を7回まで1点に抑える好投を見せましたが、球数が増えた8回以降に大量失点で敗退。筑陽学園戦では6四死球、明豊戦でも7四死球と四死球がやや多いのが気になるところです。春の大会はほぼ一人で投げ抜いてきましたが、試合間隔の狭まる夏の大会はスタミナも課題となってきそうです。

筑陽学園・木口

■木口永翔(筑陽学園・3年)
長身を一度かがめるようにして、サイドハンドを思わせる低い姿勢から始動し、スリークォーター気味に腕を振ってきます。昨夏は130キロ台前半だった直球のスピードはひと冬越して130キロ後半(最速139キロ)まで伸びています。スライダー、カーブを含めて制球もよく、昨春から登板するなどマウンド経験も十分、完成度の高い投手という感じを受けます。マウンドさばきにも自信が漂います。

ただ、春の大会準々決勝では小倉工に10安打を浴びて5失点。上位と対戦した時に、もう一段上の投球ができるかどうかが同校にとって3年ぶりとなる甲子園出場のカギとなりそうです。

東海大福岡・入江

■入江将汰(東海大福岡・3年
上背はありませんが、身体を目一杯使ったフォームから130キロ台後半(最速138キロ)の直球を投げ込んできます。この直球に大きなカーブにチェンジアップを交えたコンビネーションが持ち味。制球力にもすぐれ、観戦した4試合(春の大会、福岡中央地区大会)では合計14イニングスを投げて四死球はわずかに2つと安定感があります。

左腕の松山投手と左右の2枚看板を形成し、打線でも中軸を担うなど、投打の中心選手。昨夏はエースとして初戦の北九州市立戦に先発したものの3失点で敗退しました。当時に比べると球質の向上はもちろんマウンドさばきにも余裕が見られ、一年前から大きく成長した姿を見せてくれそうです。

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