2022夏の注目選手たち➁~左投手編(1)




今夏の注目選手シリーズ、続いては左投手編。2回にわけてまとめていきます。(球速の「最速」は筆者が実際に観戦した時のもの)

九州国際大付・香西

■香西一希(九州国際大付・3年)
昨秋の福岡大会、九州大会を制し、明治神宮大会でも2勝。今春センバツでもクラーク国際、広陵を相手に完投勝ちを納めて8強入りの原動力になりました。130キロ前後の直球(最速134キロ)を軸にスライダー、カーブ、チェンジアップを自在に操り、いずれもコーナーいっぱいに決めてくる絶妙の制球力の持ち主です。四死球も多くても1試合2個まで。九州大会を記録的猛打で制した九州国際大付でしたが、明治神宮大会およびセンバツは完全に香西投手が主役でした。

特にセンバツ2回戦で強打・広陵を1点に抑えて完投した投球は、制球力や球のキレもさることながら、相手の打者の読みを外して直球、変化球と投げ分ける投球術が秀逸でした。前半と後半で配球の組み立てを変えることで広陵の各打者の狙いを外し、自分たちのスイングをさせませんでした。配球は野田捕手のリードに依るところも大きいかもしれませんが、120キロ台の直球を「速い」と体感させる制球力、配球は見事のひと言。クレバーな投球は、今夏も冴えわたりそうです。

福岡大大濠・森本

■森本光紀(福岡大大濠・3年)
昨春の九州大会準々決勝・明豊戦で登板し6回を無失点。夏の福岡大会は2~4回戦で先発し、17イニングスで失点1という好投を見せました。直球は120キロ台後半というところですが、100キロを切るようなカーブにスライダ―を使いながら打たせてとっていきます。中でも左投手特有の大きなカーブが武器。調子のよい時は、このカーブが左打者の背中から来るような感覚にとらわれます。変化球でポンポンとストライクをとり、直球で詰まらせるのが一つの好投パターンです。

期待された昨秋は調子を落としていたのか、準々決勝の飯塚戦では終盤の勝ち越した場面でマウンドに上がったものの1回をもたず降板、春は準々決勝の西日本短大附戦で先発しながら制球が乱れてやはり途中降板するなど不本意な出来でした。4月の福岡地区大会準決勝では4回途中からリリーフ、ほぼ直球とカーブだけで福工大城東を無失点に抑え復調の兆しが見えました。左腕エースの復活が、同校の上位進出のポイントとなりそうです。

折尾愛真・田端

■田端 類(折尾愛真・3年)
春の大会ではベスト4進出の立役者となりました。上背はさほどありませんが、大きなフォームから130キロ台前半(最速136キロ)の回転のよい直球、縦に落ちてくるスライダー、カーブを投げてきます。特にスライダーは鋭く縦に落ち、三振が取れるウイニングショット。春の大会5回戦では優勝候補の飯塚から12個の三振を奪って4安打2失点、準々決勝の福岡工戦では14奪三振で3安打1失点。準決勝では四死球や失策もからみ小倉工に7回コールドで敗れましたが、この試合でも7イニングスで9三振と高い奪三振率を誇ります。

春の大会では重要な試合はほぼ彼が一人で投げており、猛暑の中で行われる夏の大会ではスタミナも一つ課題になってきそうです。

東筑・高﨑

■髙﨑陽登(東筑・3年)
長身から投げ込んでくる内外角低めへ直球に力があり、この直球にスライダ―を交えて三振のとれる投手。観戦の機会は北九州市長杯準決勝の小倉戦だけでしたが、3回途中から登板して9つの三振を奪いました。この試合では制球に苦しみ四死球も6つ与えるなど再三得点圏に走者を背負いましたが、ピンチになるとギアを上げて三振を狙いに行く、そんな意図を感じました。

細かなコントロールの精度に課題を感じますが、まだまだ伸びしろを感じさせる投手です。

東海大福岡・松山

■松山 哲(東海大福岡・3年)
入江投手と並ぶ東海大福岡の2枚看板の一人。130キロ前後の直球(最速138キロ)に100キロ台のカーブ、さらに縦に落ちてくる変化球を交え、緩急をつけた投球を見せます。直球も120キロ台後半から130キロ台後半まで、状況に応じて使い分けている印象を受けます。130キロ前後の直球でも打者を詰まらせることが多く、緩急が利いていることが分かります。

春の大会準々決勝で福岡を相手に7回を投げて4安打無四球(2失点)、準決勝の西日本短大附戦では7回途中まで5四死球とやや制球が乱れましたが、基本的に安定感のある投手。入江投手と同様、打力もあり中軸に座ります。投打にわたる活躍が期待される選手です。

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