【観戦記】九州国際大付9-1福岡(秋季大会準々決勝)




【九州国際大付9-1福岡(秋季大会準々決勝)】

5回表九国大付無死、佐倉が右越え本塁打を放ち生還

初回から小刻みに得点を重ねた九州国際大付が、投打に力の差を見せつけて快勝した。

九州国際大付は初回、先頭の黒田が左翼フェンス直撃の二塁打で出ると中上が送って一死三塁とし、大島は三振に倒れたが4番佐倉がセンター右に運んで先制した。2回無死二、三塁の好機は逃したが、3回大島がセカンド左への内野安打で出ると一死後、5番野田が右中間を破る三塁打を放って1点を追加。4回にも右翼ラバーフェンス直撃の三塁打で出た8番香西を、尾﨑の右犠飛で迎え入れ、この回で福岡の先発・緒方を降板に追い込んだ。

2点差とされた直後の5回は、2番手池田から佐倉が右越え本塁打を放ち4点目。さらに一死から6番白井が中前打で出塁。続く毛利の三塁線へのゴロが失策を誘って二、三塁とし、香西の右翼線二塁打で2点を加えて6-1とリードを広げた。6回は一死から四球で出た佐倉が二盗を決め、野田の左中間二塁打で生還。池田をKOした。
9回は再登板した緒方から途中出場の浅嶋が左中間二塁打で出塁し、香西が送って一死三塁。代打小田原四球で一、三塁とし、1番黒田一ゴロ失でまず1点。さらに一死一、二塁から代打横町の遊ゴロで二封後、併殺を狙った一塁送球が逸れる間に二塁から小田原が生還して試合を決めた。

福岡は4回、2番田川が左越え二塁打で出ると藤田のニゴロで三進し、4番松尾の中犠飛で1点を返した。しかし5回以降は九州国際大付の先発・香西に散発2安打に抑えられ、二塁を踏むことができなかった。

第149回九州地区高校野球福岡大会準々決勝 (2021年10月17日・日/北九州市民球場)
       一二三四五六七八九   計 HE
  九国付  101131002 9130

  福 岡  000100000 1044
 九国大付  打安点  福  岡  打安点 ◆投手成績
(中)黒 田 410 (左)小 林 400 九国付 回 安球振失
(右)中 上 310 (捕)田 川 310 香西  9 4171
 打 横 町 100 (中)藤 田 400 
 遊 藤 木 000 (一三)松尾 300 柳 川 回 安球振失

(左右)大島 510 (投右投)緒方410 緒方  3.2 7323
(一)佐 倉 322 (二)藤 川 310 池田  1.2 4201
 三 太 田 000 (遊)三 好 200 亀田  2.2 1240
(捕)野 田 522  打 新 田 100 緒方    1 1100
(二)白 井 520  右 今 村 000
(三)毛 利 310 (右)藤 井 100 試合時間

三 浅 嶋 110  投一 池田 210 9:20~11:32
(投)香 西 422 (三)中 光 100
(遊)尾 崎 201  投遊 亀田 200
打左小田原 000      

振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
684112  3613   71104 3041
※公式記録ではありません

—————-

九国大付・香西

九州国際大付は前チームで4番に座っていた黒田を1番に置き、4番に1年生の左打者・佐倉を抜擢した新打線が13安打9得点と機能して快勝した。

佐倉は初回の先制機で福岡・緒方の132キロの直球をセンター右に弾き返すと、5回には左サイドハンドの池田から右翼席への一発。直球で追い込まれた後の変化球だったが、少しこすりぎみの打球は高々と上がり、ライトフライと思われたがそのままフェンスを越えていった。6回は警戒されて四球で歩くと、ノーマークのバッテリーの隙をついて盗塁を決め、続く野田の左中間二塁打でホームを踏んだ。

前チームから中軸を打っていた5番野田も2本の長打で2打点。6番の1年生白井も速いゴロで内野を抜く中前打2本でチャンスメイク。投手の8番・香西も思い切りのよい打撃を見せて2安打2打点と打っても活躍するなど、上位から下位まで切れ目のない打線となっている。

福岡の先発・緒方

その香西は左上手から130キロ前後の直球(この日の最速131キロ)を軸に110キロ台のスライダー、さらに時折100キロ台のカーブを交えて好投した。直球は内外角低めの厳しいコースによく決まり、与えた四球は9回の一つだけ。スリーボールになっても簡単に歩かせず、高い制球力を示した。

福岡の先発は左腕の緒方。130キロ前後の直球(同133キロ)に、鋭く落ちるスライダーを交えてくる。内外角低めに決まった時の直球には力があったが、やや高く入ったところを叩かれた。

2番手の池田は左のサイドハンド。120キロ台の直球にスライダ―、カーブを交えての投球。左打者の外角低めいっぱいに決まる直球にはキレがあったが、変化球が中途半端な高さ・コースに入ってきたところを痛打された。

福岡・池田

3番手の亀田は、直球の球速は125キロ前後(同127キロ)だが、縦に落ちてくるスライダーが武器の右腕。鋭く落ちるこの球で打者10人から4つの三振を奪った。直球の制球にやや苦しんだこともあってこの球を多投したため、途中から見極められた感はあったが、2回3分の2を無得点に抑えた。直球のスピード・制球力がもう少しついてくると、さらに威力を発揮しそうな球だ。

タイプの違う3人の投手がそれぞれ持ち味を発揮したが、少しでも甘く入ると見逃さない九州国際大付打線の力が一枚上だった印象。

福岡・亀田

打線は前チームから主力として経験を積んできた田川、藤田、松尾の2~4番が得点源。4回の1点も田川の長打と松尾の犠飛によるもので、いずれも香西の直球を芯で捕らえた強い打球だった。この日は1年生が並んでいた下位打線の強化が、今後の課題となってきそうだ。

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