【観戦記】西日本短大附2-1春日(選手権大会準々決勝)




【西日本短大附2-1春日(選手権大会準々決勝)】

8回裏西日本短大附二死一、三塁 吉永の三ゴロ失で高浪が決勝のホームイン

 西日本短大附・江崎、春日・坂元、両エースによる投手戦となったが、西日本短大附がきわどく競り勝った。

 1-1の同点で迎えた8回、西日本短大附は先頭の3番今村が一塁左への内野安打で出塁。神宮は三振に倒れたが、高浪が三塁線を破る二塁打を放ち一死二、三塁。代打樋口の三ゴロで三走が三本塁間で挟殺され二死一、三塁となったが、7番吉永のサード右を襲う一打が失策を招き、高浪が決勝のホームを踏んだ。
 先制したのも西日本短大附。両校無得点で迎えた7回、5番高浪が中前打で出ると、宇郷はスリーバント失敗に終わったが、吉永が送って二死二塁。ここで8番江崎が右前打を放ち高浪が生還した。
 1点を追う春日は8回、左前打で出た2番平野を田口が送って一死二塁。坂口も左前打で一死一、三塁とし、鎰廣の左前打で同点とした。再びリードされた9回も先頭の8番菅が左前打を放ち坂元が送って同点のチャンスを得たが、友永は三振、平野はニゴロに倒れ、あと一歩及ばなかった。

▼準々決勝(26日・久留米)
春  日 000 000 010 =1
西短大附 0
00 000 11x =2


 2年前の夏の準々決勝でも対戦した両校の再戦は、今回も西日本短大附に軍配が上がった。

西日本短大附・江崎
春日・坂元

 うだるような暑さの中で、両投手のしのぎあいが続いた。
 西日本短大附の江崎は、130キロ台前半の直球にスライダー、カーブを内外角に投げ分けて、的を絞らせない投球がこの日も冴えた。7回まで5安打4四球。三者凡退は初回のみで、毎回走者を背負っての投球となったが、走者を出しながらも得点を許さないのが江崎の真骨頂。3回、4回の一死一塁はいずれも内野ゴロ併殺打、初めて得点圏に走者を出した5回の二死二塁は、菅を133キロの外角低めの直球で見逃し三振に打ち取った。6回は二死一、二塁で4番坂口を迎えたが、内角高めの直球で詰まらせて二飛。最大のピンチだった7回二死満塁では友永に対し直球で押し、最後は外へのスライダーでニゴロ。内角を厳しく突き、外角低めに直球、スライダーを集める。このコンビネーションがこの日も絶妙だった。
 そしてこの江崎を支えているのが内外野の堅い守備。派手なプレーこそなかったが、内野手は難しいバウンドのゴロも前に出て軽快にさばき、この日も無失策。ここまで5試合で失策わずか2という堅守を誇っている。

 一方、春日の坂元は140キロ超の直球(この日最速145キロ)で押し、ブレーキのきいたスライダーを交えてながら打ち取っていった。直球のあとにくるこのスライダーで空振りを奪うことが多く、7三振の多くがこの球だった。序盤はボールになる球も多かったが、走者を出しても崩れなかった。3回二死三塁では鍛冶をスライダーで泳がせ遊飛。5回二死一、二塁では近藤を外へのスライダーで三振に切って取った。4回無死一塁で神宮の痛烈なゴロをファースト田口が落ち着いてさばき、3-6-3の併殺にとったプレーも大きかった。

8回表春日一死一、三塁 鎰廣が同点の左前打を放つ

 両校ホームが遠い中、攻撃における立役者も江崎だった。3回の打席では141キロの直球を捕らえたがライト正面へのライナー、5回にはスライダーをセンター前にはじき返すなどこの日の江崎はバットがよく振れていた。7回は無死一塁で宇郷がスリーバントに失敗しても再度吉永に送らせたベンチの期待に応え、初球を右前に運んで待望の先制点を奪った。
 8回は今村の当たり損ないの打球を処理しようとしたファーストが、足を滑らせて尻もちをつき内野安打に。すでに球数が120球を超えていた坂元は、神宮をスライダーの連投で三振に打ち取るが、ここで少しホッとしたのか、高浪に初球を三塁線を破られてしまう。代打樋口には力を振り絞って140キロ超の直球で押し三ゴロに仕留めたが、吉永には直球を叩かれサードを襲う強打を許した。記録はエラーとなったが、打球も強くバウンドも難しい一打。強襲安打と言ってもよい当たりだった。
 春日も8回に2本の左前打で一死一、三塁とすると、右打席に入ったスイッチヒッターの鎰廣が初球を左前に運ぶ見事な集中打で追いつく粘りを見せた。9回も菅の左前打から一死二塁と再び同点の場面を作ったが、最後は江崎の懸命の投球にあと一打が出なかった。

 


 

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