
8回に連続タイムリーで逆転した祐誠が、堅守で東海大福岡の追い上げをかわして準決勝進出を決めた。
1点を追う祐誠は8回、先頭の椎葉が遊ゴロ失(一塁悪送球)で出塁。森永が送ったあと菅野は三振に倒れたが松石の左越え二塁打で同点に追いついた。なおも二死二塁から宮口が中越え三塁打を放って勝ち越し、この1点を守り切った。

前半、両校とも走者を出しながら得点できなかったが東海大福岡は7回、この回先頭の小山が右越え三塁打を放ち、続く坂田の中前打でようやく均衡を破った。逆転された直後の8回は四球で出た北を宗が送って一死二塁。丸山中飛のあと野上(夕)の左前打で二塁から北が本塁を突いたがレフトからの好返球に刺され、追いつけなかった。
祐誠は1回一死一、二塁、2回一死満塁、3回一死二、三塁など5回まで毎回のように得点圏に走者を進めながらものにできなかったが、坂田~椎葉とつないだ投手陣が7回まで1失点で踏ん張り、8回の逆転につなげた。
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第156回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝 (2025年4月2日・水/北九州市民球場) |
チ 一二三四五六七八九 計HE 祐 誠 000000020 291 東海福岡 000000100 142 祐 誠 年 打安点 東海福岡 年 打安点 (中)樋 口➂ 500 (左) 宗 ➂ 300 (右)牛 島➂ 200 (二)丸 山➂ 400 (打 寺 田➂ 100(一右)野上夕 ➂310 (右 松 浦② 100 (三)小 山➂ 210 (投左)坂田➂ 410 (右中)坂田② 321 (一)猪 口③ 410 (遊)安 部③ 400 (左)山 本② 200 (中)中 矢➂ 100 (投 椎 葉➂ 200 打 坂 口➂ 000 (三)森 永➂ 310 一 野上夢 ➂ 200 (遊)菅 野② 410 (投)納 富② 200 (捕)松 石➂ 421 投 西 村➂ 100 (二)宮 口② 431 (捕) 北 ② 200 球犠振盗残 球犠振盗残 2210111 421006 —————————————- 投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責 坂田 2 1120 納富 5 6250 椎葉 7 3381 西村 4 3050 ———————————————— ▼試合時間/9:58~12:12 ※公式記録ではありません ※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ |
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東海大福岡の先発は、救援登板した5回戦・希望が丘戦で2回をパーフェクトに抑えた納富。5回戦では安定して決まっていたスライダーでこの日はストライクが取れず、初回から30球近くを要するなど苦しい投球となった。初回一死一、二塁はファースト野上の好守もあって切り抜け、2回も2つの内野安打などで一死満塁、樋口に対してカウント3-1と絶体絶命の状況に陥ったが、そこからこの日最速の132キロの直球で空振り三振、牛島も左飛に打ち取り踏ん張る。3回も四球と犠打野選などで一死二、三塁とされたが遊ゴロに飛び出した三走を三本間で挟殺。4回無死一、二塁では松石が仕掛けた三盗を北が阻止。5回二死二塁もしのいだところで降板。崩れそうで最後まで崩れなかった。

祐誠の先発は坂田。125キロ前後の直球(この日最速129キロ)にスライダーを織り交ぜる。2回先頭の坂田に左翼線二塁打を許し一死三塁とされたが、中矢のファールフライを猪口が一塁ベンチ前で飛びついて好捕。納富を三振に仕留め、やはり得点を許さない。

祐誠は3回から早くも背番号11の椎葉にスイッチ。坂田同様、前チームからマウンドを経験している右腕だ。130キロ前後(同136キロ)の直球に右打者の外角低めに鋭く落ちるスライダーを使って6回まで四球1つと味方の失策による走者を出しただけの無安打投球をみせた。
東海大福岡も6回からは抑えの切り札・西村をマウンドへ。この日最速142キロを計測した直球にカットボール、スライダーに時折カーブも交えて6回7回と危なげなく抑え、後半は一転、投手戦の様相となった。

均衡が破れたのは7回裏。東海大福岡の4番小山が内角低めのスライダーをすくい上げ、ライトラバーフェンスを直撃する三塁打。坂田は追い込まれながら、椎葉のウイニングショットである外角スライダーに体勢を崩されながらもバットの先で拾ってセンター前に運んだ。
惜しむらくは続く無死一塁から追加点が得られなかったこと。安部がスリーバント失敗。坂田が二盗を決めて一死二塁としたが、野上(夢)が一邪飛、西村は三振に倒れた。
直後の8回、椎葉の叩きつけた当たりは高いバウンドとなって投手の頭上を抜けていく。ショート安部が回り込んで追いついたが一塁送球が高く、ファーストの足が離れてセーフ(記録は失策)。犠打、三振で二死二塁となり打席には8番松石。2-1から中に入ってきたスライダーをすくうようにバットに乗せた打球は左翼フェンスを直撃する同点二塁打となった。前の打席、西村から中前打を放っていた9番宮口も122キロのカットボールをジャストミート。バックホームに備えて浅めの守備を敷いていたセンターの頭上を破る三塁打となった。

東海大福岡も簡単には引き下がらない。8回裏、四球を選んだ北を送った二死二塁から野上(夕)が痛烈な左前打。北は一気に同点のホームを狙ったが、レフト坂田の好返球で間一髪でアウト。9回も四球で出た小山をバントで二塁に送ったものの、あと一本が出なかった。
この試合、東海大福岡の放ったヒット4本は、すべて3~5番で記録した。野上は得点にこそならなかったが8回の同点の好機に左前打、小山は先制につながる7回の三塁打、坂田は先制打と二塁打。相手投手に抑えられながらも、大事なところで1本を出したのはさすが中軸といったところ。一方の祐誠は8番9番が活躍した。松石は同点打を含む2安打。宮口は勝ち越し打を含めた3安打を放ち、2回の一塁線へのバントヒットも絶妙なところに転がした。
流れが両校の間を何度も行き来するなか、7回以降に激しく動いたゲームは、9回まで行われる野球の面白さを改めて示した一戦となった。
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