【観戦記】春日2-1九国大付(春季大会準決勝)




春日・前田、九州国際大付・田端の両エースによる投手戦を春日が制し、初の九州大会出場を決めた。

1点を先制された春日は3回、先頭の石松が三塁内野安打で出塁すると前田も四球を選んで無死一、二塁。信國の三前バントで一塁送球が乱れる間に二塁から石松が生還して同点に追い付いた。

なおも無死二、三塁から田口は三飛に倒れ、続く樋渡のスクイズは空振りとなったがこの投球が暴投となり、前田が勝ち越しのホームを踏んだ。その後、4回と7回に迎えた一死二塁の好機に追加点はあげられなかったが、この1点をエース前田を中心に守り切った。

3回裏春日一死二、三塁 樋渡のスクイズは空振りとなるが投球が暴投となり勝ち越し

九州国際大付は初回二死後、四球で出た秀嶋が二盗を決め、三宅の右中間二塁打で先制した。さらに免田の左前打と田端死球で二死満塁としたが、追加点をあげることはできなかった。2回と3回には先頭打者を四球で出すと、2回は送りバントで、3回は盗塁で一死二塁の好機をつくったが得点できなかった。

5回は2つの敵失を得て一死一、二塁としたものの後続が凡退。6回以降は一人の走者を出すこともできず、力投する田端を援護できなかった。

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第154回九州地区高校野球福岡大会 準決勝
(2024年4月4日・木/北九州市民球場)
チ   ー一二三四五六七八九 計HE
九国大付 100000000 121
春  日 00200000x 232
 九国大付 年 打安点   春 日 年 打安点
(右)山 本➁ 400 (中)田 口③ 400 
(二)中 上➁ 400 (捕)樋 渡③ 410
(中)秀 嶋 200 (二)五十嵐③ 400

(遊三 宅③ 411 (一)藤 﨑③ 300
(一)免 田③ 310 (右)大 川③ 210
打一 山口③ 100 (左)横 山③ 200
(投)田 端③ 300 (三)石 松③ 210
(左)嶋 津 200 (投)前 田③ 200
打 長 嶺➁ 100 (遊)信 國➁ 200
左 松 元➁ 000
打 宮 川③ 100
(捕)内 山➁ 200 
(三)今 村③ 200
打 小 島③ 100
球犠振盗残        球犠振盗残
511028        141124
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
田端   3111  前田  9  2510
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▼試合時間/12:38~14:23 公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、▽は両打ち、投手名の下線は左投げ

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春日の先発・前田は立ち上がりから伸びのある130キロ超の直球(この日最速136キロ)にチェンジアップ、スライダー、カーブと多彩な変化球を織り交ぜながら、九国大付打線に挑んだ。

春日・前田

前半は不安定な内容だった。初回は二死をとったあと秀嶋を歩かせ、三宅にはチェンジアップをうまくすくわれて右中間を破られ、先制を許す。さらに免田にも三遊間を破られ、田端には0-2と追い込みながら死球を与え二死満塁。それでも、続く嶋津を135キロの外角直球で空振り三振にとったことが快投の序曲となった。

2回、3回も先頭打者に四球を与え、5回は内野に相次いで2つの失策が出るなど5回まで毎回のように得点圏に走者を背負うが、決定打を与えない。内外角の低めいっぱいに直球をビシビシと決め、直球と同じ軌道から手元でスッと沈むチェンジアップも効果的だった。

6回以降はストライクが先行するようになり、直球やチェンジアップ、さらにタイミングを外すカーブも面白いように低めに決まり、いずれの回も15球以内でテンポよく片づけた。強い当たりも打たれたが、コースを突いているぶん野手の守備範囲内に飛ぶ。終わってみれば2回以降はノーヒット、10三振を奪い2安打1失点の完投勝利。九州国際大付も、ここまでの投球をされてはお手上げといったところだった。

1回表九国大付二死二塁 三宅が右中間に先制の二塁打を放つ

九州国際大付の田端の投球もすばらしく、内容は前田以上と言ってよかった。130キロ台なかばの直球(同140キロ)に落差のあるチェンジアップ、ブレーキの利いたスライダ―、左投手特有の大きなカーブを自在に操り春日打線を翻弄。被安打3、与四死球1、11奪三振の力投を見せたが、3回は一瞬の隙をつかれて失点した。

九州国際大付・田端

この回、先頭の石松の当たりは三塁前のボテボテのゴロだったが、打球の弱さが幸いして内野安打となり、続く前田にはこの試合で唯一の四球を与えてしまう。信國の三塁前バントをサード今村が勢いよくダッシュしてさばいたが、一塁送球が浮いてしまった。ファースト免田がジャンプしておさえたが態勢を崩し、それをみた二走の石松が一気に本塁を突く。クロスプレーとなったが、ヘッドスライディングした石松の手が一瞬早くホームベースをはたいた。

なおも無死二、三塁から田口が三飛に倒れた後、打者樋渡の2球目にスクイズを仕掛ける。投球は外角低めのワンバウンドとなり、樋渡はバットを出すが当てることができない。しかし捕手の内山もこの球を止めることができずに後逸、スタートを切っていた三走の前田がそのままホームを滑り抜けた。

この失点に田端は奮起、樋渡を140キロの直球で三振に打ち取ると、4回は2三振を奪い、5回は三者連続三振。6回はわずか8球で三人を片付け、懸命の力投で流れを引き寄せようとしたが、味方打線が尻上がりに調子を上げる前田に手も足も出なかった。

秋も九州大会まであと1勝と迫りながら準決勝で飯塚に1点差で敗れ、センバツ21世紀枠の県推薦校に選ばれながら九州地区候補校すら逃した春日。秋の悔しさを晴らすように僅差の試合をものにしながら勝ち上がり、最後に九州国際大付という大きな壁を乗り越えて悲願の九州大会の切符をつかんだ。

 

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2 Comments

    • 高校野球ファンさん

      ご指摘、ありがとうございます。
      さっそく修正しました。

      また、お気づきの点がありましたら、よろしくお願いします。

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