【観戦記】大牟田4-3九産大九産(春季大会準決勝)




大牟田が5回に中軸の長打攻勢で逆転、九産大九産の追い上げを振り切り、決勝進出と25季ぶりの九州大会出場を決めた。

1点を追う大牟田は5回、この回から登板した九産大九産の3番手・書川から末廣が二塁内野安打で出ると、山下がレフト右への二塁打を放ち無死二、三塁。続く河野のセンター右を破る二塁打で逆転した。さらに宮本が送って境四球で一死一、三塁から、稲田の投ゴロ併殺崩れの間に河野が生還、3点目をあげた。

5回裏大牟田無死二、三塁 河野がセンター左に逆転の二塁打を放つ

8回は志垣、杉村が連続四球で歩き、打者末廣のときに捕手から二塁へのけん制球が乱れて志垣が三進。無死一、三塁から末廣が遊ゴロ併殺打に倒れる間に志垣が還り、リードを広げた。

九産大九産は初回、四球で出た大石を野﨑が送り、梅野(稔)のニゴロで二死三塁。続く平野の右前打で先制した。2回以降は散発3安打に抑えられ三塁を踏めなかったが、9回先頭の笠が遊内野安打で出塁。南は左直に倒れたが廣津が四球を選び、代打坂上の中前打で一死満塁とし、大石三振のあと野﨑の左前打で2点を返した。しかし梅野(稔)が一ゴロに倒れ、1点が届かなかった。

第154回九州地区高校野球福岡大会 準決勝
(2024年4月4日・木/北九州市民球場)
チ  ー  一二三四五六七八九 計HE
九産大九産 100000002 371
大 牟 田 00003001x 461
  大牟田 年 打安点   九州産 年 打安点
(左)杉 村➁ 300 (左)大 石③ 400 
(中)末 廣② 310 (遊)野 﨑➁ 412
(遊)山 下 420 (捕)梅野③ 400

(一)河 野③ 312 (一)平 野➁ 431
(捕)宮 本➁ 200 (三)福 永③ 400
(投) 境③ 320 (右) 笠 ③ 410
(右)稲 田③ 401 (中) 南 ③ 310
(三)渡辺 200 (二)津 村③ 100
(二)志 垣③ 200  打二 廣津③ 100
(二)志 垣③ 432 (投)與 田③ 100
(二)志 垣③ 432  投 川 杉③ 100
(二)志 垣③ 432  打 渡 辺➁ 000
(二)志 垣③ 432  投 書 川③ 000
(二)志 垣③ 432  投 梅野③ 100
(二)志 垣③ 432  打 坂 上③ 110
球犠振盗残        球犠振盗残
1034111        42909
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
   9 7493 與田  3 1620
村上  8 7182 川杉  1 0010
村上  8 7182 書川       0.1 3103
村上  8 7182 梅野彦   3.2 2311
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▼試合時間/9:56~12:00 ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ

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大牟田はエース境が156球を投げた準々決勝・飯塚戦から中1日で先発。初回先頭の大石に四球を与え、4番平野にセカンド右を破られてあっさりと先制点を許す。飯塚戦に続き、厳しいマウンドを想起させる立ち上がりとなった。

大牟田・境

2回も一死から四球を与えたが、徐々に直球が低めに集まるようになる。130キロ台前半(この日最速134キロ)の直球が勢いよくキャッチャーミットを叩き、2~6回までは毎回の7奪三振。120キロ台のカットボールやチェンジアップなども織り交ぜながら、15のアウトのうち半分近くを三振で奪った。2~8回を3安打に抑え、うち2本は内野安打。外野に飛んだ打球は2つだけで三塁を踏ませなかった。四球も2つだけと制球を乱す場面もほとんどなく、特にカーブで安定してストライクがとれるのが大きかった。

九産大九産・與田

九産大九産は右サイドハンドの與田が先発。直球は110キロ台半ば(同119キロ)ながら打者の手元で沈む変化球が効果的だった。徹底して低めに集めた結果、3回までに6つの四球を出したが、打たれたヒットは1本だけ。大牟田の各打者はタイミングをずらされ、飛球で凡打を重ねた。

3回まで1安打無失点の與田だったが、九産大九産は4回から川杉にスパッと代えた。直球は110キロ台(同122キロ)でスライダーは100キロそこそこ。與田と同じように緩い球がベースだが、左スリークォーターからの異なる球筋を持つ川杉の前に、大牟田の4回の攻撃はわずか8球で終了。ここまでは九産大九産の目論見通りだった。

九産大九産・川杉

5回からは右サイドハンドの書川が登板。それまでの二人に比べて10キロほど速い120キロ台後半(同131キロ)の直球を投げ込んできたが、緩い球に手を焼いていた大牟田の打者にとっておあつらえ向きの球となった。

先頭の末廣はボテボテのニゴロだったが、打球の弱さが幸いして出塁すると3番山下、4番河野の連続長打で、あっさりと逆転。3回無死一塁では山下に送らせていたが、同じ無死一塁で今回は強打。その期待に応えるようにレフトの右を抜いた。河野のタイムリーは0-2から高めの球を豪快に叩いた一打。飯塚戦でも山下、河野の連打で同点に追いつき、その後の逆転につなげており、二人が大牟田打線の得点源となっている。

九産大九産・梅野

その後、犠打、四球となったところでエースナンバーをつけた梅野(彦)が登板。内野ゴロで1点を失ったが、6回7回と走者を出しながら追加点は許さない。柔らかなフォームから投じる120キロ台後半(同129キロ)の直球、チェンジアップを低めに集めて好投した。

8回は連続四球と捕手のけん制悪送球で無死一、三塁。境の調子を考えると1点もやれない場面だったが、九産大九産内野陣は中間守備を敷く。梅野は末廣を6-4-3の併殺打に打ち取ったが、大きな1点が入った。

ただ、九産大九産も簡単には引き下がらない。9回、先頭の笠がショート前への弱い当たりを内野安打とすると一死後、廣津が四球を選び、代打の坂上がセンター右に落として満塁。大石は三振に倒れたが、野﨑がカーブをレフト前に落とす執念のヒットで2者が生還、1点差に迫る。しかし、梅野(稔)は一塁ゴロ。あと一本が出なかった。結果論だが「1点やむなし」として許容した8回裏の1点が、勝負を決めることになった。

9回表九産大九産二死満塁 野﨑の左前打で三走に続き二走の廣津も生還

28日の4回戦から一週間で4試合を完投した境。夏に向けて2番手以降の投手育成はチームの課題として残るが、九州大会ではセンバツ出場校も含めた強豪相手にどのような投球を見せるか、期待が膨らむ。

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