【観戦記】大牟田7-5飯塚(春季大会準々決勝)




大牟田打線が8回に6安打を集中させて一気に逆転、14安打を放って飯塚に打ち勝った。

1点を追う大牟田は7回、左前打で出た河野を宮本が送り一死二塁。境は左飛に倒れたが打者稲田の時に捕逸で河野が三進し、稲田の左前打で同点とした。

2点差をつけられた8回は杉村が右前打で出ると末廣の捕前バントは二封されたが、山下の左中間二塁打で末廣が生還しまず1点。ここで登板した飯塚2番手の野中から河野の中前適時打で追いつき、宮本もライト左への二塁打で一死二、三塁。3番手倉石に境は二飛に打ち取られたが、代打古賀の死球で満塁とし、渡辺が押し出しの四球を選んで勝ち越した。さらに代わった中島から志垣が右翼線安打を放って2者が生還。二死一、三塁から杉村の右前打で渡辺も還って7-3とリードを広げ、飯塚の追い上げを9回の2点にとどめて逃げ切った。

8回表大牟田一死二塁 河野の中前打で山下が同点のホームイン

飯塚は初回、二死から久我が左中間三塁打を放ち、松永の三塁線を破る安打で先制した。同点とされた直後の7回は、田﨑がセンター左を破る二塁打で出塁し、戸次が送って一死三塁から赤間がセンター左を破る三塁打を放って勝ち越した。さらに久我が四球を選んで一死一、三塁とし、松永の投ゴロ併殺崩れの間に赤間が生還して2点差とした。

4点を追う9回は一死から赤間、松永が連続四球。打者肥後の時に暴投で一死二、三塁とし、肥後の中犠飛で赤間が生還。続く代打山下がセンター左を破る三塁打を放ち、2点差まで追い上げた。しかし代打・牟田口が三振に倒れ、追い上げも及ばなかった。

第154回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝
(2024年4月2日・火/北九州市民球場)
チ  ー一二三四五六七八九 計HE
大牟田 000000160 714
飯 塚 100000202 590
  大牟田 年 打安点   飯  塚 年 打安点
(左)杉 村➁ 521 (中)戸 次 ③ 400 
(中)末 廣② 510 (二)赤 間 ③ 411
(遊)山 下 411 (右)久 我 ③ 310

(一)河 野③ 431 (一)松 永 ③ 312
(捕)宮 本➁ 420  走 神 谷 ➁ 000
(投) 境③ 500 (投一投)肥後③ 331
(右)稲 田③ 211 (捕)脇 元 ③ 300
打 古 賀② 000  打 山 下 ③ 111
右 中 尾③ 000 (左)平 田 ③ 310
(三)渡辺 311  投 野 中 ③ 000
(二)志 垣③ 432  投 倉 石 ➁ 000
(二)志 垣③ 432  投 中 島 ③ 000
(二)志 垣③ 432  打 森 永 ③ 100
(二)志 垣③ 432  左 花 田 ③ 000
(二)志 垣③ 432  打 牟田口 ➁ 100
(打 佐 藤③ 100 (遊)田 上 ③ 300
(打 佐 藤③ 100 (三)田 﨑 ③ 310
(二)志 垣③ 432  走 瀬 口 ③ 000
(二)志 垣③ 432  三 伊 藤 ➁ 100
球犠振盗残        球犠振盗残
33408        734011
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
   9 9745 肥後  7.2 10043
村上  8 7182 野中    0 2002
村上  8 7182 倉石     0.1 0202
村上  8 7182 中島     0.1 2000
村上  8 7182 肥後    1 0100
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▼試合時間/10:00~12:05 ※公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ

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大牟田・境

大牟田の先発・境は1年夏からマウンドに立つ好左腕。昨春はベスト8、夏はベスト4にチームを導いた。快速球をズバズバと投げ込んでくる投げっぷりの良さが持ち味で、昨秋の筑陽学園戦では19三振を奪っている。

中2日での登板となったこの日は初回に飯塚の中軸に3連打を浴びるなど、立ち上がりから苦しい投球となった。4回あたりから徐々にスライダ―が低めに決まりはじめ、直球もテンポよく決まるようになると投球フォームに躍動感も出てきた。ただ、味方が追いついた直後の7回に2本の長打を浴びて勝ち越され、9回裏も連続四球から追い上げを許すなど、最後まで本調子には戻らなかった。バント処理での一塁高投や、一二塁間のゴロでベースカバーがおくれて内野安打にするなど、動きにも精彩を欠いた。ただ、この日の大牟田はエースの不調を打線がカバーした。

飯塚の先発は肥後。昨秋までは左腕中島が先発、肥後を抑え役にして九州大会出場を果たしたが、今大会は肥後が背番号1をつける。120キロ台後半(この日最速133キロ)の直球に落差のあるフォークをまじえ、4回まで大牟田に二塁を踏ませなかった。

飯塚・肥後

それでも大牟田は直球に的を絞ってじわじわと反撃に転じる。6回志垣が左翼線に流し打ち、末廣も詰まりながらセンター前に運ぶ。山下のショート左を襲う痛打は飯塚・田上の好守に阻まれ得点できなかったが、7回河野が高めの直球を叩いて三遊間を割り、二死三塁から稲田が差し込まれながらサードの後方に落として追いついた。

7回裏に2点を勝ち越されたが、8回も大牟田打線が肥後に襲いかかる。杉村がライト前にクリーンヒット。一死後、山下が左中間を深々と破るタイムリーを放ち1点差に迫ったところで肥後は降板。6回以降、打者13人で7安打を浴びせてノックアウトした。

投手が右サイドハンドの野中に代わっても大牟田の猛攻は止まらない。一死二塁から河野がセンター前に落として再び追いつくと、宮本もライト右に弾き返す。飯塚ベンチはたまらず左腕の倉石を送り込むが、倉石は境を二飛に打ち取ったものの連続四死球で勝ち越し点を献上してしまう。飯塚は昨秋エースとして活躍した中島を投入して収拾にかかるが、9番志垣が追い込まれながら右翼線に2点タイムリー。続く杉村もこの回2本目となるライト前ヒットで6点目を叩き出し、試合を決めた。

8回表大牟田二死満塁 志垣が右翼線適時打を放つ

大牟田は昨秋5回戦の筑陽学園戦で、19奪三振・3失点の境を援護できずに敗れた。今大会でも5回戦の久留米商戦では9回までわずか1得点。延長タイブレークで勝利はしたが、10回を1点にとどめた境の力に依るところが大きかった。それだけに打ち勝つという新たな勝ち方を経験できたことは、チームにとって大きな自信になりそうだ。

飯塚は肥後が降板したあと、大牟田の勢いを止めることができなかった。複数の投手を抱えるなかで勝利の方程式をどう組み立てていくのか。夏に向けて試行錯誤が続きそうだ。

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