【観戦記】福大大濠6-4西短大附(春季大会5回戦)




相手のミスに乗じて初回に4点をあげた福岡大大濠が、エース柴田の力投で西日本短大附の追い上げをかわして県大会に進出を決めた。

福岡大大濠は初回一死後、先村が二ゴロ失で出塁すると高田の左前打で一、二塁とし、柴田の右前打で先制した。なおも一死一、三塁から暴投で柴田が二進し、豊田の投前スクイズで高田が生還(豊田も野選で出塁)。豊田が二盗を決めて一死二、三塁から中川は浅い左飛に倒れたが、菅野の遊ゴロの一塁送球が乱れる間に2者が還って、この回4点をあげた。

1回裏福大大濠一死一、二塁 柴田が先制の右前適時打を放つ

3回は先頭の高田が左翼線二塁打で出塁し、柴田の中前打で生還。6回は中川が四球を選び(代走野口)菅野が送ったあと代打永田の左前打で一死一、三塁とし、法村の左前打で1点を追加した。

4回まで2安打に封じられてきた西日本短大附は5回一死後、斉藤が左越え二塁打で出塁。藤岡三振のあと奥の二ゴロ失で1点を返した。7回は古賀が右中間三塁打を放ち、荒木遊飛のあと安田がレフト右を破る二塁打を放って1点を加えた。

9回は福岡大大濠2番手の平川から古賀が三塁線を破って出塁し、荒木は左飛に倒れたが安田の右翼線三塁打でまず1点。斉藤も中前打で続き、三塁から安田を迎え入れた。しかし反撃もここまで。福岡大大濠を上回る9安打を放って追い上げたが、初回の大量失点が最後まで響いた。

第154回九州地区高校野球福岡大会 5回戦
(2024年3月31日・日/久留米市野球場)
チ   ー一二三四五六七八九 計HE
西短大附 000010102 493
福大大濠 40100100x 671
 西短大附 年 打安点  福大大濠 年 打安点
(二) 奥 ➁ 510 (中)大 神③ 300 
(遊)井上蓮② 300 (左)先 村② 400
(投)村 上③ 400 (二)高 田③ 420

(三)高 峰③ 400 (投一)柴田③ 422
(一)古 賀③ 430 (一三)豊田② 101
(捕)荒 木③ 300 (右)中 川② 210
(中)安 田② 422  走右 野口③ 100
右)斉 藤 431 (遊)菅 野② 300
(左藤 岡③ 300 (三)立 川③ 200
打 佐 藤② 100  打一 永田③ 110
(打 佐 藤③ 100  投 平 川③ 000
(打 佐 藤③ 100 (捕)法 村③ 311
球犠振盗残        球犠振盗残
11806        33114
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
村上  8 7182 柴田   7.2 6171
村上  8 7182 平川   1.1 3012
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▼試合時間/12:38~14:36 公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、▽は両打ち、投手名の下線は左投げ

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ここ数年、福岡の頂点を争ってきた両校が5回戦で激突した。昨秋は9回表まで西日本短大附が1-0とリードしていたが土壇場で福岡大大濠が追いつき、延長タイブレークの末に逆転サヨナラ勝ち。西日本短大附は雪辱を期しての一戦で1点を争う接戦が予想されたが、初回から思わぬ形で試合が動いた。

一死後、先村の二ゴロをセカンド奥がこぼして出塁を許すと高田、柴田の連打であっさりと福岡大大濠が先制。暴投で柴田が二進したあと豊田が意表をつくスリーバントスクイズを決め、自らも野選で一塁に生きて二盗を仕掛けて成功。息もつかせない連続攻撃に守備陣も浮足立ったか、菅野のショートゴロで井上の一塁送球が短く、古賀が後逸して2人が生還。二つの失策に暴投、野選なども絡んでの4失点で、強打を誇る西日本短大附とはいえ大きなハンデとなった。

福大大濠・柴田

福岡大大濠の先発柴田は、昨秋の西日本短大附戦では救援登板だったが、この日は先発のマウンドへ。秋は130キロ台後半だった直球は、初回から140キロ台を安定して計測(この日最速146キロ)。3回戦の祐誠戦では目立った高く抜ける球も少なく、切れ味鋭いスライダーも交えて6回まで7奪三振。味方の失策で1点は失ったが、3安打無四球(死球は1)の力投で西日本短大附打線を沈黙させた。球数が100球に近づいた7回に2本の長打を浴びて1点を失い8回途中で降板したが、リベンジに燃える相手に気迫負けせず、エースとしての風格を感じさせるマウンドとなった。

福大大濠・平川

あとを受けた平川も、登板直後に146キロの直球で4番高峰を三振を奪うなど剛球を披露。ただ、9回は3安打で2点を失い、やや不安を残した。

柴田は打っても先制打を含む2安打1打点。同じく2安打の3番高田と二人で序盤の得点源となった。6回には一死二塁で代打永田が左前打を放ち、続く法村のタイムリーにつなげた。永田は秋までは先発投手としての登板機会もあったが、その時には4番に入るなど打撃もよい選手。今大会は代打の切り札的な存在としてバットで活躍している。

西短大附・村上

西日本短大附もエースの村上が先発。リラックスしたフォームから投げ下ろす直球は130キロ前後(同134キロ)だが、その上背もあって球速表示以上に速さを感じる。この直球に長いリーチを生かしたフォークを交える。初回は味方の失策や自らの野選もあって4点を失うと、3回も高田・柴田の中軸に長短打を浴びて1失点。一方的な展開になりそうだったが、4回以降は走者を出しながらも粘りの投球で1失点にとどめて試合をつくった。

西日本短大附の打者に快音が聞かれるようになったのは7回。古賀が柴田のスライダーを強振した打球は右中間を真っ二つに割る三塁打となり一死後、安田が142キロの直球をレフト前にはじき返した。9回も古賀が三塁線を鋭く破り、安田は直球を右翼線に引っ張って三塁打。斉藤はスライダーをセカンド頭上に運んで2点を返した。最終的には福岡大大濠を上回る9安打。各打者とも打球速度がはやく迫力満点の追い上げだったが、反撃が遅かった。

7回表西短大附一死三塁 安田の左越え二塁打で古賀が生還

古賀のほか8番斉藤も猛打賞、7番安田も長打2本を放つなど下位の打者が活躍した半面、3番村上、4番高峰は無安打。3・4番で得点を重ねた福岡大大濠と明暗を分けた。打線のスケールでは県内屈指の西日本短大附だが、同じく県内屈指を誇る福岡大大濠の投手陣を攻略するには至らなかった。

 

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