【観戦記】春日5-2福工大城東(春季大会5回戦)




春日が6回に集中打で逆転、エース前田が10安打を浴びながら要所を締めて2点に抑えて完投し、秋に続く県大会出場を決めた。

2点を追う春日は6回一死後、田口が右中間三塁打を放ち樋渡の右前打で1点差とすると、続く五十嵐も右前打で一死一、二塁。藤﨑は三振に倒れたが、ここで登板した福工大城東の2番手大堂から大川が三遊間を破り、二塁から樋渡が生還して追いついた。なおも二死一、三塁から大川が二盗を決めて二、三塁とし、横山の中前打で2人が還って勝ち越しに成功した。

6回裏春日二死二、三塁 横山が勝ち越しの中前適時打を放つ

8回は遊ゴロ失で出た樋渡を五十嵐が送り、藤﨑の左前打で一死一、三塁。藤﨑が二盗を決めたあと、大川の中犠飛で樋渡が生還してリードを3点に広げ、そのまま逃げ切った。

福工大城東は初回、和田が死球で出ると松永の投ゴロ(ヒットエンドラン)で二進。松岡二ゴロで二死三塁とし、田中の左越え二塁打で先制した。4回は岩﨑が右中間二塁打で出塁し、阿南が送って一死三塁。萩尾は投ゴロに倒れたが、永山のショート左へのゴロが内野安打となって1点を追加した。

しかしその後は5回二死一、二塁、6回一死二塁の好機に追加点を奪えず、逆転された7回以降は得点圏に走者を送れず、反撃できなかった。

第154回九州地区高校野球福岡大会 5回戦
(2024年3月31日・日/久留米市野球場)
チ   ー 一二三四五六七八九 計HE
福工大城東 100100000 210
春   日 00000401x 580
福工大城東 年 打安点   春 日 年 打安点
(遊)和 田➁ 400 (中)田 口③ 410 
(右左)松永 510 (捕)樋 渡③ 411
(中)松 岡 510 (二)五十嵐③ 310

(三)田 中③ 421 (一)藤 﨑③ 420
(一)岩 﨑② 410 (右)大 川③ 112
(捕)阿 南③ 320 (左)横 山③ 212
(左)萩 尾② 200  走左 別府② 100
右 奥 田③ 100 (三)石 松③ 310
(二永 山③ 211 (投)前 田③ 300
(投) 森  310 (遊)信 國➁ 300
投 大 堂③ 000
打 園 田③ 110
球犠振盗残        球犠振盗残
236010       14524
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
    5.2 5143  前田  9  10262
大堂   2.1 3011
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▼試合時間/9:51~12:00 公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち、▽は両打ち、投手名の下線は左投げ

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春日・前田

複数の投手を抱える春日投手陣の中で背番号1を背負う前田が、その番号に恥じない投球を見せた。

昨秋から下半身が大きくなった印象の前田。120キロ台後半だった直球も130キロ中盤(この日最速136キロ)が安定して出るようになり、この直球を6人が並ぶ左打者の外角にきわどく投げ込んできた。2巡目に入った3回からはスライダー、チェンジアップなど変化球も駆使。7回以降は100キロ台のカーブを多用して緩急をつけ、二塁を踏ませなかった。3回を除いて毎回のように安打は許したが四死球は2つだけ。最後まで球威・制球力とも衰えず、堅守にも支えられて完投した。

打線は福工大城東の左腕・森の緩急をつけた投球に5回まで2安打に抑えられてきたが、3巡目に入った6回、田口・樋渡・五十嵐が3連打を浴びせて1点差に迫る。二死一、二塁となり、右の大川を迎えたところで福工大城東ベンチはエース大堂を投入。この試合最大の山場を迎えた。

福工大城東・大堂

大堂は昨秋3回戦の福岡大大濠では、130キロ台なかばの直球にスライダー、フォークをまじえて好投した。この日はいきなり141キロの直球を投げ込み、変化球を使って追い込んだが大川もじっくりと好球を待つ。そしてフルカウントからの6球目、141キロの直球を三遊間に運び同点。なおも二死一、三塁で今度は勝ち越しのチャンスを迎え、打席には横山。大堂は142キロ、144キロ(この日最速)と球速を上げてくるが、横山もファールでくらいつき2-2から139キロの直球をセンター前にはじき返して2人を迎え入れた。8回には4番藤﨑が140キロの直球をレフト前に運ぶなど、春日の中軸は大堂の速球に力負けしなかった。

守備も無失策で前田を支えた。9回無死一塁では、和田の放ったセカンド左を襲うライナーを五十嵐が飛びついて好捕。福工大城東の追い上げムードを断ち切った。

福工大城東の先発・森

福工大城東の先発は背番号10の森。サイドハンドを思わせる低い投球フォームから始動しスリークォーター気味に腕を振る左腕で、130キロ前後(同132キロ)の直球に打者の手元でスッと沈む変化球を交えてくる。スライダーもあるが、これは見せ球的な使い方だった。ストライク先行の投球で四死球は一つだけと安定感があった。序盤は直球で詰まらせるシーンもたびたびあったが、5回あたりから芯で捕らえられる打球が増え6回途中、被安打5・四死球1で降板した。

大堂は秋から球速が5キロほど伸びていたが、その直球を痛打された。タイムリーを許した大川、横山は狙いを直球に絞っていた感があった。ベンチからは「投げ急ぐな」という指示が出ていたが、この剛球をどう生かしていくか、夏への課題が残った。

打線は10安打と3回を除き毎回のように塁上をにぎわせた。4番田中はレフト頭上を破る大きな当たりを含む2安打。2番松永は三塁線に絶妙のセーフティバントを決めた。ただ、走者を置いてからの攻撃が広がらず2得点に終わり、6回に長短5安打を集中して一気に試合を動かした春日と対照をなした。

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