【観戦記】熊本国府6-2飯塚(九州大会1回戦)




序盤に飯塚のエース中島を攻略した熊本国府が、坂井~植田の継投で飯塚の反撃をかわして逃げ切った。

熊本国府は初回一死後、野田がライト前に落とすと内田も中前打で続き一死一、二塁とし、中島の右前打で先制した。なおも一死一、三塁から岡本の左犠飛でこの回2点をあげた。2回は山田の投前セーフティバントが内野安打となって出塁。寺尾の送りバントは捕邪飛となったが坂井が送り、梅田のショート左を襲う左前打で3-0とした。

1回裏 熊本国府 一死一、三塁 岡本が左犠飛を放つ

1点を返された直後の3回は二死から岡本四球、山下中前打のあと、山田の左前適時打で4-0とし中島をKO。5回は3番手倉石から山下が遊内野安打で出ると山田が送り、寺尾が中越え三塁打を放って山下が生還、中継が乱れる間に寺尾も還って6-1とリードを広げた。

飯塚は3回一死後、山下が中前打。戸次は三ゴロ(二封)に倒れたが、二盗を決めて二死二塁とし、赤間の中越え三塁打で1点を返した。しかしその後は4回一死二塁、7回二死一、二塁と好機を迎えたが得点できなかった。

ようやく9回、2番手の植田から肥後が左翼線二塁打を放ち、代打牟田口遊ゴロのあと山中の中前打で1点を返した。さらに森永も右前打で続いたが反撃もここまで。10安打は放ったものの、守りのミスもあって最後までリズムに乗れなかった。

第153回九州地区高校野球大会1回戦
(2023年10月28日・土/久留米市野球場)
チー ム 一二三四五六七八九 計 HE
飯  塚 001000001 2101
熊本国府 21102000x 6110
 飯  塚 年 打安点  熊本国府 年 打安点
(中)戸 次② 500 (三)梅 田② 521 
(二)赤 間② 311 (二)野 田② 410
打三 田崎② 100 (中)内 田➀ 510
(右)神 谷② 200 (一)中 島② 311
打右 久我② 100  一 戸 田➁ 000

(一)松 永➁ 410 (右)岡 本② 201
(三投)肥後② 430 (左)山 下② 430
(左)平 田➁ 300 (遊)山 田② 221
打 牟田口➀ 100 (捕)寺 尾② 311
(捕)脇 元② 200 (投)坂 井② 200
打捕 山中➀ 211  打 元 山➀ 000
(投)中 島② 100  投 植 田② 000
投 野 中② 000
打 瀬 口② 100
投 倉 石➀ 000
打三二 森永➀ 220
(遊)山 下② 110
遊 伊 藤➀ 100
打遊 田上② 210
振球犠盗残       振球犠盗残
21018       464110

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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
中島   2.1 7114   坂井  7 7121
野中   1.1    1210   植田  2 3001
倉石  1 2011
肥後  3 1310
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▼試合時間:13:32~15:44
※選手名の下線は左打者

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飯塚・中島

飯塚の先発中島は球速こそ120キロ台前半だが、左腕から右打者の膝元に直球・スライダーを集める制球力が武器の投手。しかしこの日はストライクとボールがはっきりしており、甘く入ったところを熊本国府打線につかまった。

初回一死から野田の打ち取った当たりがライト前に落ちる不運はあったが、内田には直球、中島にはスライダーを捕らえられ、わずか13球で先制を許す苦しい立ち上がり。続く岡本の左犠飛も、レフト頭上をライナーで越えようかという当たりだった。

2回は二死二塁から梅田に125キロの直球を叩かれてショート左を破られ、3回は二死をとってリズムに乗りかけたが岡本を歩かせた後、山下・山田に連打されて0-4。飯塚ベンチは立ち直りの気配を見せない中島をあきらめざるを得なかった。打者16人に7安打1四球を許し3回を持たずにエースが降板したことで、リードを奪って抑えの肥後につなぐという目論見は早くも崩れてしまった。

5回は一死二塁から寺尾のセンター後方を襲う飛球が風にも乗って三塁打となり、さらに中継の乱れもあって寺尾にも生還を許す。直前の4回には一・二塁間の挟殺プレーで走者を生かしてしまい、6回は無死二塁から振り逃げを狙った打者を刺そうと脇元が一塁送球した隙を突かれて二走に三塁を奪われるなど守りでも精彩を欠き、反撃の機運も高まらなかった。

熊本国府の先発・坂井

攻撃では走者を出しながら熊本国府・坂井のスライダー、チェンジアップに手を焼き決定打を奪えなかった。得点源である松永、肥後の前に走者を出せず、7回まで7安打を放ちながらわずか1点。変化球を低めに集め、四死球も一つしか出さなかった坂井の安定感だけが目立つ結果となった。

6回裏から4番手として肥後がマウンドへ。福岡大会でも準決勝、決勝と終盤に救援登板して好投しており、本来ならリードしている場面で登板する投手だ。3イニングスを投げて3つの四球を与えたが6回一死一、三塁はフォークで投ゴロ併殺打、7回二死一、二塁では梅田にレフト右へ大きな当たりを打たれたが平田のファインプレーに助けられ得点は許さなかった。

飯塚・肥後

肥後を3回裏の場面で送り出す選択肢はなかったか。3点をリードされたとはいえまだ序盤。切り札を起用して追撃の姿勢を見せ、流れを変える効果も期待できた。しかし中島の後を受けて登板したのは実戦経験の乏しい右サイドハンドの野中。さらに5回からは1年生左腕の倉石を送り出し、肥後が登板したのは1-6とリードを広げられたあと。何らかの事情があったのだろうが、バックネット裏からは起用の意図が今一つ見えてこなかった。

熊本国府・植田

熊本国府は中島の甘い球を逃さず畳み掛け、早々に主導権を握った。その後も常に走者を得点圏に進め、流れを渡さなかった。先発坂井もテンポよく投げ、スライダーを効果的に使って走者を出しながらも要所を締めた。8回から登板した左サイドハンドの植田は9回3安打を浴びたものの、追撃を1点で抑えた。10安打は許したが危なげのない試合運びで、完勝といってよい内容だった。

飯塚はこの日の先発メンバーも福岡大会から一部入れ替わっており、レギュラーがまだ固まっていない様子。中盤以降は目まぐるしく選手が交代し、最終的には19人が出場した。途中出場の森永は2打数2安打、山中もタイムリーを放ち、捕手としても肥後のフォークをよく体を張って止めた。代打でも田上が左前打を放つなど、ベンチスタートの選手も活躍した。

センバツへの道は閉ざされたが、九州大会の舞台を経験した選手、チームが来年以降どう成長していくのか、注目していきたい。

3回表 飯塚 二死二塁 赤間が中越え三塁打を放つ
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