【観戦記】福岡大大濠6-5福工大城東(秋季大会3回戦)




福岡大大濠が土壇場で2点差をひっくり返し、福工大城東との強豪対決を制した。

2点を追う福岡大大濠は9回、先頭の永田が左前打で出塁し、続く法村の時にヒットエンドランが決まり(中前打)無死一、三塁。大賀四球で満塁とし、中川の右犠飛でまず1点。なおも一死二、三塁から高田の左前打で同点に追いついた。さらに一死一、三塁から代打毛利が2-2からスリーバントスクイズを敢行したが空振り、三走の大神が三本間に挟まれたが挟殺プレーの隙をついて本塁突入、これが決勝点となった。

9回表 福大大濠 一死一、三塁 毛利のスクイズ空振りとなるが三走の大神が生還し逆転

福岡大大濠は初回に4点を失う苦しい試合となったが4回一死後、高田が右翼線二塁打で出塁し、宮本三振のあと立川の右前打で1点を返した。さらに立川二盗のあと東、豊田の連続四球で二死満塁とし、柴田の左前適時打と法村の押し出し四球で1点差に迫った。5回以降は福工大城東・大堂を打ちあぐんだが、土壇場の集中打で逆転勝ちを収めた。

先制したのは福工大城東。初回一死後、松永が左前打で出ると、続く松岡の時にヒットエンドランが決まり(左前打)一死一、三塁。田中二飛のあと阿南の中前打でまず1点。奥田死球で二死満塁とし、岩崎が走者一掃の中越え三塁打を放ってこの回4点を奪った。

1点差となった5回は和田がレフト右を破る二塁打で出塁し、松永の投前バントが内野安打となって無死一、三塁。続く松岡の遊ゴロ(二塁封殺)の間に和田が生還して2点差とした。しかし6回途中から登板した福岡大大濠の2番手・永田の前に走者を出せず、9回二死から岩﨑四球、永山遊ゴロ失(一塁悪送球)で一、二塁としたが代打堤が三振。勝利を目前にしながら、無念の逆転負けとなった。

第153回九州地区高校野球福岡大会3回戦
(2023年9月15日・金/春日公園野球場)
チー ム名 一二三四五六七八九 計HE
福岡大大濠 000300003 691
福工大城東 400010000 580
 福大大濠 年 打安点  福工城東 年 打安点
(中)大 神② 400 (遊)和 田➀ 410 
(右)鹿 毛➀ 200 (左)松 永② 420
打右 中川➀ 211 (中)松 岡② 411
(遊)高 田② 531 (三)田 中② 400 

(一)宮 本➀ 400 (捕)阿 南② 421
打一 毛利② 100 (右)奥 田② 310
(三)立 川② 511 (一)岩 﨑➀ 213 
(左) 東 ➀ 200 走 北 野② 000
左 野 口② 000 (二)永 山② 400
(二)豊 田➀ 210 (投)大 堂② 300
(投)柴 田② 311 打  堤 ② 100
投 永 田② 110
(捕)法 村② 311
振球犠盗残   打安点  振球犠盗残  打安点
85148  3495  62104 3385

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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
柴田  5.0  8135 大堂  9 9586
永田  4 0120 
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▼試合時間:9:48~12:05
※公式記録ではありません/選手名の下線は左打者

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右の柴田・平川、左の永田・小峰と前チームからマウンド経験のある複数の投手を抱える福岡大大濠と、夏の大会初戦敗退の汚名返上に燃える福工大城東の対戦は、初回いきなり試合が動いた。

福岡大大濠・柴田

福岡大大濠の先発は柴田。立ち上がり130キロ台半ば(この日最速138キロ)の直球を狙われた。松永に外角球を合わせられて左前に運ばれると、松岡の時にヒットエンドラン、ショートが逆をつかれてレフト前に転がり一、三塁。田中のセカンド後方の飛球は前進守備を敷いていたセカンド豊田が懸命に背走して抑えたが、阿南には3-1から投じた直球を狙われ、自らの足もとを破られた。岩﨑は追い込みながら134キロの直球をセンター右に運ばれてこの回4失点。ただ、縦に落ちてくるスライダーの割合を増やした2回以降は5回の1失点にとどめた。

福工大城東・大堂

福工大城東の先発は背番号18の大堂。上背はそこまであるわけではないが、130キロ台半ば(同138キロ)の力のある直球にスライダー、フォークを交えながら3回まで1安打投球。特に右打者の外角に鋭く曲がるスライダ―でたびたび空振りをとるシーンが目についた。

4回はこの試合で唯一投じた104キロの変化球を高田に捕らえられ右翼フェンス直撃の二塁打、立川には高めの直球を右前にはじき返されて1点を失うと2者連続四球、柴田の適時打、さらに法村には押し出し四球。崩れかかったが1点差で踏ん張ると、5回以降は立て直して得点を与えなかった。

福大大濠・永田

福岡大大濠は6回、柴田が先頭の阿南に中前打を浴びると、2番手に左腕の永田を送りこんだ。永田は三振(スリーバント失敗)、遊ゴロ併殺打でこのピンチを切り抜けると、130キロ前後(同133キロ)の直球に制球力抜群の大きなカーブを交えて打たせて取り、8回まで一人の走者も許さなかった。

6~8回は永田と大堂の投げ合いが続いた。福岡大大濠は押し気味に試合を進めたが、走者を出しながらも要所でフォークを投じる大堂を打ちあぐみ、3-5のまま9回へ。

9回の先頭打者は力投を続ける投手の永田だったが、代打の起用はなくそのまま打席へ。すると永田は初球の変化球を合わせて左前に運び、続く法村の時に1-0からヒットエンドラン、打球は中前ではずみ無死一、三塁。わずか3球で同点機を迎えた。

大神四球で無死満塁とチャンスを広げると、途中出場の中川が右犠飛を打ち上げて1点差。この時、タッチアップでスタートを切った二走を刺そうとしたライトからの三塁送球の隙をついて一走の大神も二塁を陥れたことが大きかった。一死二、三塁となり前進守備を敷かざるを得なくなった福工大城東内野陣に対し、高田は外角低めの難しい直球を三遊間に運んで同点となった。

9回表 福大大濠 一死二、三塁 高田が左前に同点打を放つ

なおも一死一、三塁、今度は逆転を狙う福岡大大濠ベンチは、この日無安打の宮本に代えて、同じ右の毛利を起用。2-1からスライダーを空振りするとタイミングがあっていないと見たか、意表をつくスリーバントスクイズを決行。投球は外角へのスライダーだったがこれが大きく外れ、毛利はバットを伸ばすも当たらず三走の大神は急停止。態勢を崩しながら何とか捕球した阿南が立ち上がり、本塁へ詰めてきたサードへ送球したが、この送球がやや低くなってしまう。それを見て大神は本塁へ突入。タイミングはアウトだったが完全捕球できていなかったか、接触プレーでミットからボールがこぼれてしまった。黒岩主審もバックネット方面から一塁側に回り込みながらボールが見える場所に移動する的確なポジショニングで落球を確認、大きく両手を広げた。

9回表 福大大濠 一死一、三塁 毛利のスクイズは空振りに終わる

大神はこの日無安打だったが、9回の一塁からのタッチアップ、挟殺プレーでの機敏な本塁突入と足で勝利に貢献。福岡大大濠は3回表の攻撃でも無死一塁で柴田の送りバントがバックネット方面へのファールフライとなり、これを阿南がダイビングキャッチ。その隙に一塁から豊田がタッチアップで二塁を陥れるなど、日ごろからのベースランニングの意識の高さがうかがわせた。

打線では今夏の福岡大会で2本塁打を放った高田が3安打1打点の活躍。新チームでは打線の中心となりそうだ。まだ打線の迫力不足は否めないところだが、この日見せた隙のない走塁や重厚な投手力で、この秋も上位をうかがってきそう。

1回表 福工大城東 二死満塁 岩﨑が走者一掃の中越え三塁打を放つ

福工大城東は初回こそ見事な先制攻撃を見せたが、2回以降は4安打に終わった。永田のように切れのよい変化球を交えてくる投手をどう打ち崩していくかが、上位を目指す上で課題となりそう。

先発の大堂は力のある直球、キレのあるスライダー、打者の手元でスッと落ちるフォークなど、どの球も質が高い。走者が溜まった時に制球を乱したことで失点につながったが、今後注目したい投手がまた一人出てきたと感じさせる内容だった。

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