【観戦記】九国大付2-1東筑(選手権大会決勝)




◇九国大付2-1東筑(選手権大会決勝)

九国大付がエース田端の力投で強打の東筑を1点に封じ、2年連続の夏の甲子園出場を決めた。

▼決勝(27日・久留米)〔試合記録
東  筑 000 100 000=1
九国大付 002 000 00x
=2
【東】尾形【九】田端

優勝を決め、マウンド付近で抱き合って喜ぶ九国大付の選手

初回一死二塁、2回一死一、二塁の好機を逃した九国大付は3回、1番秀嶋がセンター右を破る三塁打、続く隠塚の時に東筑先発・尾形の暴投で先制のホームを踏んだ。さらに二死後、4番佐倉が四球で出たあと、白井が中越え二塁打を放って佐倉が生還、2-0とした。

6回は先頭の佐倉が右翼線二塁打で出たものの後続が凡退、追加点をあげられなかったが、このリードを田端の力投で守り切った。

東筑は4回、2番関屋が右翼線二塁打で出塁し、尾形が送って一死三塁。打者森木の時に捕逸で関屋が還って1点差とした。6回は先頭の9番岡田が四球で出塁、続く永田(祥)の時にバスターエンドランを掛けたが、これが三直となって併殺。8回は二死から大越が四球を選んだが後続が倒れ、5回以降は田端の前に二塁を踏むことができず反撃の糸口をつかめなかった。

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九国大付・田端

九国大付の田端は、5回戦の久留米商戦(20日)から4試合連続となる先発。この間400球近くを投げているが、これまでの戦いぶりから九国大付ベンチは田端に全てを託している感がある。とはいえ準決勝の大牟田戦は10安打を許していただけに先行きが不安視されたが、そんな懸念をよそに初回から快調に飛ばした。この日は特にチェンジアップが冴え、2~3回にかけてはこの球で三者連続三振を奪った。3回まで許した安打は尾形の内野安打1本だけ。序盤を無失点で抑え、準決勝までの東筑の勢いを封じた。

東筑の先発はエース尾形。準々決勝の近大福岡戦で2イニングスを投げただけで降板したあと、準決勝の希望が丘戦では安田が完投したため、中4日を空けての登板となった。初回いきなり一死二塁で中軸を迎えたが山口を一ゴロ、佐倉は外角高めの直球で見逃し三振に打ち取った。2回の一死一、二塁では下川を内角低めいっぱいを突く直球で見逃し三振、田端も高めの直球を振らせて三振に打ち取るなど、この日最速138キロを計測した直球がよく走っていた。

東筑・尾形

しかし3回、先頭の秀嶋にセンター右への三塁打を許すと、隠塚を追い込みながら変化球がワンバウンドする暴投となってあっさり失点。隠塚のセンター左への大きな当たりはセンター岡田が飛びついて好捕するファインプレーに救われたが、二死から佐倉を歩かせ、白井にもセンター後方への大きな当たり。岡田の足が一瞬止まりかけたが、そこから打球が伸びたのか頭上を越され、二死ということでスタートを切っていた佐倉が一気に生還した。

それでも4回以降はスライダーを低めに集め、時折見せるクイックモーションを交えて徐々に調子を上げていった。3回までに5安打を許したが4回以降は被安打1。6回は先頭の佐倉に右翼線二塁打を浴びたが、浅嶋の強い当たりの三ゴロを阿部が反応良くさばき、宮崎のセンター後方を襲う飛球は岡田が背走しながら抑えた。7回は先頭の下川に死球を与えたが、田端のバントを捕手大越が素早く飛び出して二塁で刺し、2-6-3の併殺にするなどバックもよく守って追加点を阻んだ。

4回表 東筑 一死三塁 打者森木の時に捕逸で三塁から関屋が生還

再三の東筑の好守があり、どこかで流れが変わっても不思議ではなかったが、この日は田端はそのきっかけさえ与えなかった。130キロ前半(この日最速137キロ)の直球にチェンジアップ、スライダー、大きなカーブも時折交えるなど緩急自在の投球を見せた。4回に関屋の二塁打と犠打、捕逸で1点を許したが、それ以降で走者を出したのは四球の2人だけ。二塁を踏ませることなく、チーム打率4割超の東筑打線を沈黙させた。点差はわずか1点だったが、点差以上に余裕を感じさせる投球だった。

東筑の打者は低めの変化球に手が出てしまい凡飛、ゴロアウトを重ね、自分たちの打撃をさせてもらえなかった。今大会ナンバーワンの打線を抑えた2年生エースは、今大会ナンバーワン投手と呼ぶにふさわしい投球を見せて、甲子園の舞台に乗り込む。

九国大付守備陣は7試合無失策。この日もセンター前に落ちそうな打球を山口が判断よく前進して好捕するなど、派手さはないが堅実なプレーで田端を盛り立てた。打線は5回戦以降の4試合で12得点。大会を通じて本塁打はゼロに終わり、6本塁打が出た前年と比べると得点力が落ちた印象は否めない。それでも中距離打者へと生まれ変わった佐倉に山口・白井を加えたクリーンアップのほか、秀嶋や三宅、田端といった1、2年生も日替わりで活躍し、僅差の試合を制してきた。

強打をうたわれた昨年とは一転、田端を中心とした堅守のチームとして再び全国の強豪に挑む。

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