4校とも投手力は安定、打線は東筑・九国大付が好調~準決勝展望




第105回全国高校野球選手権記念福岡大会は残すところ3試合。25日(火)には準決勝2試合が行われます。勝ち残った4校のここまでの戦いぶりをデータをもとに振り返りながら、準決勝以降の展望をしてみたいと思います。

数字の赤文字は特に数値の高いもの

 

 

 

 

【東筑】

唯一ノーシードから勝ち上がってきた東筑は、打率が4校の中で唯一の4割台。5試合中4試合で2桁得点を記録しており、その中にはシード校の西日本短大附、近大福岡も含まれています。尾形・森木・阿部の中軸はいずれも打率4割超で、特に5番阿部の打率は7割を超えています。強打に加えて犠打や盗塁の数も多く、機動力を使いながら得点圏に走者を進めたあと効果的にタイムリーが出ているため、結果として得点力(48点)も高くなっています。

東筑・尾形

投手陣はここまで尾形、安田、中嶋の3投手が登板しており、チーム防御率は1点台と安定しています。不安材料があるとすれば、準々決勝を2回で降板した故障明けのエース尾形投手の状態ですが、2年生の安田投手もここまで10イニングスを投げて無失点投球を続けています。普段はショートを守る中嶋もリリーフとして控えており、序盤でリードを奪い継投で逃げ切る勝ちパターンに持ち込みたいところ。まだ一度もリードを許す展開を経験していませんが、北筑戦では接戦を制しており、この点も問題なさそうです。

一気に畳みかける集中打は迫力満点。「最強打線」の称号は今や同校の手にあると言えそうです。

【希望が丘】

大黒柱であるエース江越投手の出来が、チームの浮沈を握ります。ここまで36イニングスを投げて防御率1.25。130キロ台半ばの力のある直球とチェンジアップなど変化球の緩急の付け方がうまく、準々決勝では強打の真颯館を2安打に抑えました。イニング数と同じ三振を奪っており、ここぞの場面では三振を取ることもできます。ただ、全5試合に登板し494球と4チームの投手の中で最多の球数を投げており、疲労の回復具合が気になるところです。

希望が丘・江越

失策が7個とやや多いのも不安材料で、この先は特に一つのミスが試合の行方を左右しかねだいだけに、守りをしっかり堅めたいところ。打線は長打力はそれほどありませんが、犠打や盗塁を絡めながらしぶとく得点を重ねていきます。1点差ゲームを2試合経験しており、競り合いになると力を発揮します。下位に好調な打者が並んでいるもの特徴です。

【大牟田】

好投手を擁し失点が少ないという点で、希望が丘と似たようなチームカラーです。130キロ半ばの直球で強気に押してくる2年生左腕・境の防御率0.75は、4チームの投手の中で最高の数字。それも飯塚、東海大福岡といった北部の強豪も相手にしながらのこの数字ですから価値もあります。東海大福岡戦では何度もピンチを背負いながら得点を許さず、走者を背負っても粘り強い投球ができる投手です。

大牟田・境

ただ、境投手もここまで471球を投げています。準決勝の相手・九州国際大付はこれまでのチームよりもさらに打力があるだけに、これまでの調子を維持できるかがポイントとなりそうです。

チーム打率は3割弱の数字。飯塚や東海大福岡など好投手との対戦が多かったことを考えると悪い数字ではないものの、この先の試合ではさらに打線の援護が欠かせません。好打者の猿渡蒼、1発のある成清らの中軸で得点を重ねたいところです。

これまで夏は3度のベスト4を経験していますがいずれも準決勝で敗退しており、初の決勝の舞台を目指します。

【九州国際大付】

チーム打率は4割に近く、チーム防御率も1.00と、4校の中では投打のバランスがもっとも取れているチームです。5回戦、準々決勝と苦しい試合が続きましたが、2年生左腕・田端の力投でものにしてきました。切れのある直球に精度の高い変化球で2年生とは思えない安定感を誇る田端投手ですが、4日間でタフな2試合を完投しただけに疲労の蓄積が気になるところです。状態次第では下酔尾投手や池田投手などを先発させ、田端投手を抑えにまわすような起用も考えられそうです。

九国大付・田端

打線は上位から下位までほとんどの打者が打率3割以上を記録しています。4番佐倉も本塁打こそありませんが打率5割と打線を牽引しています。数字だけを見ると悪くないのですが、送りバントや盗塁が少ないこともあってか、安打数の割に得点に結びついていない印象です。東筑と比べてみると安打数は4本少ないだけですが、得点は13点も差を付けられています。準々決勝までチーム本塁打もゼロと、佐倉を中心に準々決勝までに4本塁打を記録していた前年と比べても破壊力に欠ける印象はぬぐえません。

準決勝では大牟田・境投手との対戦が予想されますが、好投手相手にどのような形で点を取っていくのか注目されます。ここ2試合は田端投手に頼り切りの試合になっているだけに、打線の奮起が望まれます。

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