【観戦記】東筑10-3近大福岡(選手権大会準々決勝)




◇東筑10-3近大福岡(選手権大会準々決勝)

序盤にリードを広げた東筑が3投手による継投で近大福岡の反撃を封じ、2019年以来となる準決勝進出を果たした。

▼準々決勝(22日・久留米)〔試合記録
東  筑 331 000 012=10
近大福岡 010 200 000
=3
【東】尾形→中嶋→安田
【近】田邊→宮本

東筑は初回一死後、関屋が右前打で出ると、尾形の一塁前へのバントが内野安打となり、森木四球で一死満塁。ここで5番阿部が左前打を放って先制した。さらに渡邉三振のあと7番中嶋の左前打で2者が還って、この回3点をあげた。

1回表 東筑 一死満塁 阿部が先制の左前打適時打を放つ

2回は9番岡田がライト左を破る三塁打で出塁し、永田の左越え二塁打で生還。関屋が送って一死三塁とし、3番尾形の右翼線二塁打で永田も還り、尾形が三盗を決めたあと、森木の右前打で3点を加えた。3回はこの回から登板した近大福岡2番手・宮本から8番大越が四球を選び、岡田が送って一死二塁。永田四球のあと関屋の右飛で二死一、三塁から永田が二盗を決め、尾形の遊内野安打で大越を迎え入れた。

4回以降は宮本から得点を奪えずにいたが8回、右前打で出た5番阿部を渡邉が送り、一死二塁。打者中嶋の時に暴投で阿部が三進し、さらに四球となった球が暴投となりホームを踏んだ。9回は二死から森木が死球で出ると阿部の右前打で一、三塁とし、阿部が二盗を決めた二死二、三塁から途中出場の6番池田が左前に落として2人が還って突き放した。

近大福岡は2回、5番田邊が四球、中野右前打で一、二塁。上野が送って一死二、三塁から中川の一ゴロの間に田邊が生還して1点を返した。4回は中野の遊内野安打のあと上野も左前打で続き、中川の三塁前バントが内野安打となって無死満塁。小長は三振に倒れたが、ここで登板した3番手安田から1番坪根が右前打を放ってまず1点。さらに岩屋の右前打でこの回2点を挙げた。

4回裏 近大福岡 一死満塁 坪根が右前適時打を放つ

その後も7回無死一、二塁、8回二死一、二塁と得点機を得たが後続が凡退。9回も二死から宮本、田邊の連打で一、二塁としたが得点できず、安田の前に反撃を断たれた。

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5回戦で西日本短大附をコールドで下した東筑の打棒が、この試合も初回から炸裂した。初回一死から関屋の右前打をきっかけに満塁の好機をつくると、阿部が131キロの直球を目の覚めるような当たりでレフト前にはじき返す。二死後、中嶋は変化球をレフト右に運んで、あっという間に3点。2回も犠打を挟んで4連打で3点と、東筑打線の快音が鳴りやまなかった。2回の5安打はいずれも3球目以内の球を捕らえたもの。迫力のある積極的なスイングが、若い近大福岡バッテリーを飲み込んでしまった感があった。

近大福岡・宮本

それでも3回にレフトから宮本がマウンドに上がると、2回まで9安打を放っていた東筑打線から快音が消える。宮本は長身を生かした130キロ台半ばの直球(この日最速140キロ)にチェンジアップを交え、登板直後こそ内野安打で1点を許したものの、その後は7回までゼロを並べた。11個の四死球を与えるなど毎回のように走者を背負いながらも、時折声をあげながらの気合十分の投球で向かっていった。適度に荒れていたこともあってか東筑の打者は直球に差し込まれ、走者を出しながらも残塁を重ねた。

東筑・尾形

東筑の先発・尾形も130キロ前後の直球(同135キロ)とカットボールを軸に、テンポのよい投球で2回を1失点。ただ、3回にショートから中嶋がマウンドに上がると、今度は4回戦の博多工戦で15安打を放った近大福岡が襲い掛かる。

3回に岩屋と宮本が短長打を放ち反撃の狼煙を上げると4回、中野がショート左への内野安打で出塁、上野も三遊間を破り、中川が三塁前に絶妙のバントを決めてわずか5球で無死満塁。小長が三振となり1番に戻ったところで、東筑ベンチは3番手安田(2年)を送りこむ。それでも近大福岡の勢いは止まらない。坪根が一・二塁間を破り1点を返すと、続く岩屋もライト前に運び三塁から上野がまず生還、続いて二塁から中川も本塁を突くが、ここはライト永田の好返球に阻まれタッチアウト。近大福岡の勢いを止める大きなプレーで、続く3番河内も右中間へ大飛球を放ったがもうひと伸びがなく、一気に畳み掛けることはできなかった。

東筑・安田

4回からは安田が調子を上げていく。120キロ台後半(同132キロ)の直球にスライダ―、チェンジアップと織り交ぜながらテンポよく投げていった。近大福岡も7回に坪根右前打、岩屋死球で無死一、二塁とチャンスを迎えたが、河内の強烈な一打はライト正面。宮本はチェンジアップ3つを振らされて、あと一本が出ない。近大福岡としては宮本が東筑の追加点を阻んでいる間に何とか点差を縮めたかったが叶わず、8回東筑に「次の1点」が入って大勢が決した。

近大福岡・田邊

近大福岡にとって痛かったのは、正捕手の門司を内転筋の肉離れで欠いたこと。3回戦の小倉工戦から痛めており、5回戦の博多工戦はベンチスタート。途中、味方のピンチの場面で出場してチームを勝利に導いたが、この日は歩くのさえ困難な状況だったという。普段はショートを守る2年生の中川が急遽代役を務めたが、キャッチングやリード、コミュニケーションなどの部分で門司のレベルを求めるのは酷だろう。

門司のリードの下で田邊は3回戦の小倉工戦、4回戦の柳川戦と無失点の好投を見せていただけに、このバッテリーと東筑打線の対決を見てみたかったが、田邊はまだ2年生。創部初のベスト8という新しい歴史の扉を開いた今年のチームが目指した、その先の舞台に挑むチャンスはまだ残されている。

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