【観戦記】福岡大若葉12-7福翔(選手権大会3回戦)




◇福岡大若葉12-7福翔(選手権大会3回戦)

両校あわせて25安打、16四死球を交えた激しい点の取り合いとなり、総勢34人の選手が出場した総力戦を福大若葉が制した。

▼3回戦(13日・春日公園)〔試合記録
福  翔 020 230 000=7
福大若葉 002 320 50x=12
【翔】宮畑→白垣→江崎→牧之瀬→松本→牧之瀬
【若】樗木→古田→大井→川原→井上

7-7の同点で迎えた7回、福大若葉はこの回から登板した福翔・牧之瀬を攻め、一死後、四球で出た9番川原が二盗を決めると、1番水迫の右中間三塁打を放って勝ち越した。さらに藤川の左前打で水迫も生還。3番山内の時にヒットエンドランが決まり(中前打)一死一、三塁とし、山内二盗の後、竹島の右犠飛で3点目を挙げた。なおも二死三塁の場面で登板した松本から5番大井が右越え二塁打を放ち山内も生還。大井が三盗を決め山本の左前打でホームを踏み、この回5点を奪って勝負を決めた。

7回裏 福大若葉 一死二塁 水迫が右中間に決勝三塁打を放つ

序盤から福大若葉が追いかける展開が続いた。2点を追う3回は一死後、水迫が中前打で出塁すると続く藤川の中前打でセンターが打球を後逸する間に一気に生還(藤川も二進)。山内左前打で一死一、三塁から竹島は浅い左飛に倒れたが大井の中前打で追いついた。4回は8番古田四球、河原の三塁前セーフティバントが決まり、水迫右前打で無死満塁。藤川遊ゴロ(二封)の間に1点を返し、二死一、三塁から山内の右中間二塁打で二者を迎え入れて逆転に成功した。

再逆転を許した5回には二死から8番田中が四球を選び、川原の右中間二塁打で1点差とすると、水迫がセンター右への二塁打を放って追いつき、7回の勝ち越しにつなげた。

福翔は2回、4番甲斐が中前打、森の一塁前セーフティバントが決まり西原が送って一死二、三塁。宮畑の投前セーフティスクイズで一塁送球と同時に三走が本塁を突き、これを刺そうとしたファーストからの送球が乱れる間に二者が生還した。追い付かれた直後の4回は甲斐が左翼線二塁打で出ると、森四球のあと西原が送って一死二、三塁とし、代打井上の時に暴投でまず1点。さらに井上も中前打を放って2点を勝ち越した。

4回表 福翔 一死三塁 代打井上が中前適時打を放つ

再び追いつかれた直後の5回は、左前打で出た1番上田を有光が送り、入田、甲斐が連続四球で一死満塁。続く森が中前打を放って2者が生還した。なおも西原四球で満塁とし、白垣はスリーバントスクイズ失敗(三振)で二死となったが、山口が押し出し四球を選んで3点のリードを奪った。

三たび追い付かれた6回も一死二、三塁とチャンスを迎えたが、甲斐の左飛でタッチアップした三走上田が本塁で刺されて勝ち越せず、7回以降も福大若葉の5番手・井上から得点を奪えなかった。

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点の取り合いとなったが、福大若葉の打力が福翔の投手力を上回った。先発メンバーのうち7人が2年生、ベンチ入り20人のうち3年生は4人だけという若いチーム。どちらかといえば小柄な選手が多いが、コンパクトな打撃で16安打を放った。特に1番水迫(6打数4安打)、2番藤川(5打数2安打1死球)の左打者コンビが打線を牽引、その後を打つ山内・竹島・大井の中軸3人で5打点をあげ、大量得点につなげた。

福翔先発の宮畑

福翔の先発は背番号11の右腕宮畑。120キロ前後の直球(この日最速122キロ)にスライダ―、カーブと制球力にすぐれ初戦の筑紫丘戦で8回被安打2、2回戦の山門戦は7回被安打2でいずれも無失点と好投した。この日も2回まで無失点に抑えたが、2巡目に入った3回に3連打を含む4安打を浴びて2失点。4回表の打席で代打が送られ降板したが、安定感のある宮畑を3回で替えざるを得なかったのは福翔にとっては誤算だったはずだ。

2点を勝ち越した4回からは軟投派右腕の白垣が登板したが、セーフティバントやヒットエンドランなど足も絡められ3失点で逆転を許すと、味方が再度逆転した5回も二死からの四球があだとなり、連続二塁打を浴びてリードを守り切れなかった。

福大若葉の先発・樗木

福大若葉は2年生右腕の樗木が先発。長身から90キロ台のカーブを投球の軸とし、初戦の有明高専戦では4回無失点と好投した。2回に中前打とセーフティバントからピンチを背負うと、守備の乱れもあって2失点。次の回に代打を送られて降板した。

福大若葉・古田

3回からはエース古田がマウンドへ。120キロ台(同128キロ)の直球にスライダ―、カーブを交える右腕だが、直球が高めに浮くなど制球に苦しんだ。3回は無得点に抑えたが4回に自らの暴投もあって2点を失い、5回は2つの四球などで満塁とされて逆転打を浴びた。さらに次打者に2-0となったところで、福大若葉ベンチはたまらずレフトの大井をマウンドへ送る。大井はワンアウトをとったものの2つの四球を献上、押し出しで2点差になり、次打者に2-0となったところで今度はライトから左腕川原をつぎこむ。厳しい場面で登板した川原だったが中野を左飛に打ち取り、大量失点の危機を乗り越えた。

5回を終えて7-7。福大若葉はエース古田、2番手の樗木をベンチに下げていただけに苦しい展開が予想された。6回も川原が一死二、三塁とピンチを背負ったが、4番甲斐の左飛でタッチアップから本塁を突いた三走をレフト大井が好返球で刺したのが大きなプレーだった。

福大若葉・井上

7回からは1年生右腕の井上を投入。下半身がどっしりした投手らしい体格をした井上は最初の打者に四球を出したが、ここをしのぐと尻上がりに調子をあげた。130キロ超(同134キロ)の直球に力があり、90キロ台の大きく割れるカーブもきっちりと低めに制球された。何よりも投げっぷりの良さが目を引いた。

福翔も7回裏にエースナンバーをつけた牧之瀬を送りこむ。120キロ台後半(同130キロ)の直球に100キロ台のスライダーを交える右スリークォーターだが、この牧之瀬に福大若葉打線が襲い掛かる。一死から川原が四球を選んで二盗を決めると、水迫が甘く入ったチェンジアップを芯で捕らえ、右中間を真っ二つに割った。さらに藤川、山内と連打を浴びせて4番竹島も犠飛で続き3点を勝ち越し。代わったアンダーハンドの松本にも3連打を浴びせて2点を追加し、これで大勢が決まった感があった。

福翔・牧之瀬

福翔はショート中野、サード森など動きが軽快で、よく鍛えられていた。打線も4番甲斐、5番森などが力強い打撃を見せ、3つのセーフティバントを決めるなど小技も絡めた攻撃で得点を重ねたものの、2試合無失点の投手陣が福大若葉打線を抑えきれなかった。

一方、投手力に不安を抱えるものの若いチームらしく積極果敢な打撃、走塁を見せた福大若葉。一昨年に続く県大会だが、今年はひと暴れしそうな予感を抱かせる、そんな戦いぶりだった。

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