2023夏の注目選手➁~投手編(南部)




福大大濠・松尾

注目の選手「投手編」(南部)、140キロ近い直球を投げる本格派投手から見ていきます。

春の優勝校・福岡大大濠は、130キロ台後半の直球を投げる右の本格派3人を揃えます。松尾尚哉投手(3年)は最速141キロ(筆者観戦時、以下同)の直球にスライダー、カーブを交えてテンポよく打ち取っていきます。四球も少なく制球を乱して崩れることもありません。OBの濱地真澄投手(現阪神)がそうであったように140キロ前後の直球を内外角低めいっぱいに決める能力がありますが、制球が甘くなり失点する試合も散見されました。春の九州大会では中継ぎとして3試合に登板して無失点と好投しましたが、本来は先発完投型の投手。直球の精度が上がってくると、より高いレベルの投球ができるはずです。

福大大濠・鯉川

鯉川晴輝投手(3年)投手は最速139キロの直球にフォークを交え、三振の取れる投手。春は試合終盤で投げることが多く、抑え的な役割を果たしました。力強いフォームで真上から投げ下ろす姿は、今季ブレイク中の山下瞬平大投手(オリックス)の高校時代にイメージが重なります。

柴田獅子投手(2年)には安定感があります。球威そのものは先輩二人に譲りますが、切れのある直球を内外角に投げ込み、スライダー、カーブを交え打たせて取ります。乱戦となった春の大会準々決勝・飯塚戦は3番手として登板し2回を無失点に抑えて試合を落ち着かせました。先発した準決勝の福工大城東戦では5回途中まで1失点、九州大会の海星戦でも4回1失点と好投しました。先発、救援とどの場面でも安定して力を発揮します。

福工大城東・園田

福工大城東の園田純規投手(3年)は長身から投げ下ろす130キロ台後半の直球(同141キロ)を軸に、右打者の外に逃げていくスライダー、縦に落ちるチェンジアップ、大きく割れるカーブなど、どの球でも安定してストライクがとれます。昨夏もマウンドに立っており経験も十分。多彩な変化球を武器に変幻自在の投球を見せます。

同校には藤家凛太郎投手(3年)という大型右腕もいます。春の大会準決勝・福岡大大濠戦で1インニングを見ただけですが、力感のないフォームから130キロ台後半(同139キロ)をズバズバと投げ込んできます。スライダーもよく抑えとしての適性がありそうで、何より高い素質を秘めてそうな投手です。

昨夏からエースナンバーを背負う久留米商の中島昴(3年)は、186センチの長身を生かして角度ある直球、変化球を投げ込んできます。糸を引くような130キロ台半ば(同137キロ)の直球を外角低めいっぱいに決まり、大きなカーブ、鋭く落ちるスライダーでうまく緩急をつけてきます。

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西短大附・中塚

秋優勝の西日本短大附のマウンドを守る中塚康太朗投手(3年)は、低めいっぱいに決まる90キロ台のカーブが投球の生命線です。特に左打者の外角低めいっぱいに大きな弧を描いて決まるカーブは見事の一言。このカーブでカウントを整えることで投球の幅が広がり、逆にストライクがとれない試合では直球を狙われて失点する傾向にあります。直球は130キロ前後(同132キロ)と特別速いわけではありませんが、カーブの後に内角を厳しく攻めて詰まらせるのが一つの投球パターン。近年、変化球の主流ではなくなったカーブですが、その球を効果的に使える投手です。

筑陽学園の西村龍仁投手(2年)は春季大会では西日本短大附に打ち込まれましたが、続く福岡中央地区大会では決勝で福岡第一を完封。直球は120キロ台後半(同131キロ)といったところですが、低めに沈むチェンジアップが冴えわたりました。立ち上がりを中心に直球が浮くなど自分のリズムをつかむまでに少し時間がかかる傾向にありますが、一旦エンジンがかかるとポンポンとアウトを重ねていきます。

大牟田・境

左投手では、まず大牟田の境雄斗投手(2年)。1年生だった昨夏もマウンドを経験しています。130キロ超(同133キロ)に力があり、細かなコントロールは気にせず直球でどんどん押し込んでくる、そんな投球を見せます。鋭く縦に落ちてくる変化球も時折投げますが、それでも直球一本槍ともいえるこのスタイルで春はベスト8入りを果たしました。

武蔵台の坂本櫂投手(3年)は全身を使った力強いフォームから直球に100キロを切るカーブ、さらにスライダーを低めに集め、テンポのよい投球を見せます。直球は昨秋の段階で120キロ台後半(同129キロ)でしたが緩急が効いており、直球で詰まらせるシーンも散見されました。秋春とも西日本短大附に敗れましたが、春は強打の西短打線を4点に抑えるなど好投しています。

修猷館・武内

公立校にも好投手が目につきます。修猷館の武内健真投手(3年)は130キロ前半の直球(同136キロ)に交える、鋭く落ちるスライダーがウイニングショット。福岡工の高濵稜太投手(3年)は、130キロ前後の直球と縦に落ちてくる変化球をテンポよく投げ込んできます。秋8強の福岡は右サイドハンドの廣瀬裕一投手(福岡)が安定してます。

このほか三井の吉田希人投手(3年)は変化球を低めに集め、走者を出してからも粘り強い投球を見せて昨秋は東福岡を相手に好投しました。三池の久保昊輝投手(3年)は直球は110キロ台後半(同122キロ)ながら、100キロ台のカーブを内外角の低めいっぱいに決める絶妙のコントロールの持ち主。昨秋はシード祐誠を破るなど3勝をあげています。

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