
【筑陽学園6-0福岡第一(福岡地区大会決勝)】

7回までに12安打で6点を奪った筑陽学園が、投げては先発西村が福岡第一打線を完封、投打にわたって圧倒した。
筑陽学園は2回二死後、前田が中前打で出塁。続く内野が一塁強襲安打を放ち、ライトからの三塁送球が高投となる間に前田が生還、さらにサードからの本塁送球が乱れる間に内野も還って2点を先制した。4回は木竹が右越え二塁打を放ち、小西が送って一死三塁から前田の左前打で1点を加えた。
6回はこの回から登板した杉本から横家が中前打で出ると、木竹がレフト右へ本塁打を放って2点を追加。7回には3番手川波から田中が左前に安打を放ち、レフトが後逸する間に三塁を陥れ(記録は三塁打)、井上拓の右前打で生還した。
福岡第一は初回田中が四球を選び、前田煌の左前打で無死一、二塁。中尾はニゴロ併殺打に倒れ二死三塁から、江口、横山の連続四球で二死満塁としたが山口が三振。二回も一死から前田明が四球で出ると日田が送って二死二塁としたが、前田がけん制で刺され無得点に終わった。7回にも代打粟野の左前打と横山の四球で無死一、二塁としたが、坂井三振、久保田は遊ゴロ併殺打に倒れて好機を生かせなかった。
9回裏も二死から江副、横山がいずれも中前打、坂井左前打で二死満塁と最後の粘りを見せたが、代打東野が三振に倒れ、最後まで西村を攻略できなかった。
第10回福岡地区高校野球大会 決勝(2023年5月14日・日/小郡市野球場) |
一二三四五六七八九 計HE 筑陽学園 020102100 6120 福岡第一 000000000 062 筑陽学園 打安点 福岡第一 打安点 ◆投手成績 (遊)田 中 540 (中)田 中 300 筑陽学 回 安球振責 (一)井上拓 211 (二)前田煌 410 西村 9 6530 (三)西 山 400 (三)中 尾 410 (左)横 家 510 (一)江 口 100 福岡一 回 安球振責 (捕)木 竹 422 (打 粟 野 110 前田明 5 7041 (二)小 西 200 (走 尾 崎 000 杉本 1 3002 (右)前 田 431 (一 江 副 110 川波 3 2321 (中)内 野 210 (右)横 山 210 (投)西 村 300 (左)山 口 200 試合時間 ーーーーーーーーーー (左 坂 井 210 09:56~11:53 ーーーーーーーーーー (捕)久保田 300 ーーーーーーーーーー 打 東 野 100 ーーーーーーーーーー (投)前田明 000 ーーーーーーーーーー (打 柳 井 100 ーーーーーーーーーー (投 杉 本 000 ーーーーーーーーーー (投 川 波 100 ーーーーーーーーーー (遊)日 田 200 ー振球犠盗残 打安点 振球犠盗残 打安点 ー63708 31124 35107 2860 ———————————————- ※公式記録ではありません |
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序盤の攻防が明暗を分けた。筑陽学園の先発は背番号10の西村。春の福岡大会では背番号1をつけてパート決勝の西短大附戦に先発。3回までに7失点(自責点4)ながら中盤以降立ち直り完投した2年生右腕だ。直球は125キロ前後ながら、落差のあるチェンジアップを武器としている。
この日は立ち上がりから直球の制球が定まらず、先頭の田中を歩かせると前田に左前打を許し、いきなり無死一、二塁。福岡第一としては一気に畳みかけたかったが、中尾は2-1からのバントがファールになり、強攻に出て4-6-3の併殺。その後も江口、横山の連続四球で満塁としたが、山口がチェンジアップに空振り三振。2回も一死から前田(明)が四球を選び二死二塁としながらけん制で刺され、序盤不安定な西村から得点できなかった。

西村は3回以降、徐々に立ち直り、3~6回はいずれも三者凡退。福岡第一の打者は思わず手が出てしまうのかチェンジアップを簡単に打ち上げてしまい、4回は6球、6回はわずか5球で攻撃を終えた。終わってみれば外野飛球9、内野飛球4とアウトの半分近くがフライアウトだった。
福岡第一の先発・前田(明)は昨夏1年生ながら、同校の「勝利の方程式」の一角を担い8強入りに貢献した右腕。当時はサイドハンドに近いフォームだったが、スリークォーター気味になった印象。力のある内角直球で筑陽学園の打者をたびたび詰まらせた。制球もよく四死球はゼロだったが、直球を続けて投球が単調になったきらいがあり毎回の7安打を許した。それでも自責点は1にとどめ、よく粘ったというべきだろう。スライダーをもう少し多用してもよいのでは、と感じた。

この試合で目立ったのは筑陽学園の打力と堅実さ。7回まで毎回の12安打で、そのほとんどがクリーンヒット。1番田中は4安打、7番前田は3安打と左打者が活躍した。中でも田中は昨秋3回戦の大牟田戦で4打数3安打、今春の西短大附戦で5打数4安打、そしてこの日も4安打と観戦した試合では驚異的な打率を誇る。5番木竹(右)は4回、ライト頭上をライナーで破る二塁打。6回は左腕杉本の高め直球をレフトの右、いちばん深いところに運んだ。
今春の西短大附戦でもエース中塚に15安打を浴びせるなど、切れ目のない打線は県下屈指といえそう。
一方で、送りバントも7つを確実に決めた。2番井上は3つのバントを成功させた。うち二度は2ストライクからだったが、最後にしっかりと決めてきた。9回を除いて常に得点圏に走者を置いての攻撃が続き、流れをガッチリと掴んで離さなかった。

福岡第一は2番手に杉本(2年)、3番手に川波と二人の左腕を送り込んだ。昨夏も3投手の継投で勝ち上がったが、今年はこの3人のリレーになりそう。杉本は小柄で変化球で打たせて取るタイプ。1年秋は九州大会も経験している川波は、やや腕を下げて投げるようになったように見えたが、そのぶん球威が上がった印象。ただ、この日はややボール先行の投球となった。
打線はこの日はいいところがなく、わずかに2番前田(煌)の柔らかなバットコントロールが目に留まった程度。西村のチェンジアップを簡単に打ち上げるシーンが目立ち、3~8回は淡泊な攻撃に終始した。投手力は高いだけに、打撃の強化が夏までの課題となりそうだ。
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