【観戦記】育徳館3-0青豊(福岡中央地区大会準々決勝)




【育徳館3-0青豊(福岡中央地区大会準々決勝)】

4回表育徳館無死三塁 田原が右前適時打を放ち2点目

育徳館が先発馬場の好投で青豊に完封勝ちを収めた。

初回2回と一死二塁の先制機を逃した育徳館は4回、先頭の二郎丸が四球を選ぶと、続く信濃の左前打をレフトが後逸する間に二郎丸が一気に生還して先制した。なおも無死三塁から田原の右前打で信濃も生還。さらに藤田のニゴロと暴投で一死三塁とすると友成のニゴロの間に田原が還り、この回3点をあげた。

育徳館は5回以降も毎回のように安打を放ち、5回は二死二塁、8回は無死二塁、9回は二死満塁と好機を得たが決定打を欠き、追加点は奪えなかった。

青豊は3回二死後、保永が右翼線に初安打となる二塁打を放ったが、中野が二飛。4回も二死から峯が右前打で出塁したが二盗に失敗。5回以降は走者を出すことができず、育徳館・馬場の緩急をつけた投球の前に三塁を踏めなかった。

 第10回福岡中央地区高校野球大会準々決勝(2023年5月3日・水/桃園球場)
       一二三四五六七八九   計HE
  育徳館  000300000 390

  青 豊  000000000 021
  育徳館  打安点   青 豊  打安点 ◆投手成績
(捕)山 下 400 (中)保 永 410 育徳館 回 安球振責
(中)那 賀 300 (遊)中 野 400 馬場    9 2130
(三)二郎丸 410 (三)小 野 200 
(右)信 濃 420 (捕)八ツ繁 300 青 豊 回 安球振責

遊)田 原 421 (左) 峯  310 林   3.2 2500
(左)藤 田 300 (投右投)林 300 武田  0.1 1000
(一)友 成 421 (二)中 村 300 林   5 6220
(投)馬 場 300 (一)奥 田 300
(二)谷 口 210 (右)森 渕 100 試合時間
打二 岩田 110 投右 武田 200 09:50~11:28

振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
272111  3292  31002   2820
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※公式記録ではありません
※選手名は球場アナウンスのみによる記載のため誤りありましたらご指摘いただけると幸いです

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育徳館・馬場

育徳館・馬場の巧みな投球が光った。

馬場はベスト8入りした昨夏のチームでは背番号11をつけて3試合に登板。延長14回の末に逆転サヨナラ勝ちした久留米商戦、悔しい逆転負けとなった準々決勝の筑陽学園戦など大舞台でマウンドを踏んだ。当時は120キロ台の直球にカーブを軸としたオーバーハンドだったが、サイドハンドに転向。これによって投球の幅がかなり広がった。

まず右打者の外角低めいっぱいに落としてくるスライダーに、右打者8人が並ぶ青豊は手こずった。さらに、この緩い球を見せた後の高めの直球が効果的だった。ややシュート回転しているのか、青豊の打者はこの直球に押し込まれての凡飛が目立った。最初は高めに直球が抜けていると思って見ていたが、青豊の打者がこの球に手を出して詰まらされている様子から、意図的に投げているのだろう。

スリーボールになったのは二度だけで投球数は94。許した安打はわずかに2本、四死球も一つだけ。塁上に出したのは3人だけという、ほぼ完ぺきな内容だった。守備陣も無失策で試合を締めた。ショート田原(2年)は軽快なグラブさばきを見せた。

4回表育徳館無死三塁、田原の右前打で信濃生還

打線では4番・信濃の存在感が目についた。昨夏は6番を打っていたが体もひと回り大きくなった印象で、4番打者としての貫禄を感じさせる。4回はチーム初安打を左前に運び、7回の右直も鋭い当たりだったが、深く守っていたライトに抑えられたもの。5番田原は4回のチャンスでタイムリー、8回も直球を右翼線にはじき返す二塁打を放つなど2安打1打点と活躍した。9安打7四死球を得て再三得点圏に走者を進めながら追加点が奪えなかったことが、一つ課題として残った。

青豊の先発は右腕の林。力強いフォームから伸びのある直球を投げ込んできたが序盤は高めに抜ける球が目立った。1~3回はいずれも先頭打者を四球で出しながらも何とか切り抜けてきたが、4回にも先頭打者への四球をきっかけに失策もからんで3失点。4回途中で一旦降板し、5回から再びマウンドに上がってからも毎回のように安打を許したが、縦に落ちてくる変化球を多用し、追加点は許さなかった。

青豊・林

打線は馬場の緩急をつけた投球に翻弄された。スライダーには泳がされ、直球には差し込まれ、まともな打撃をさせてもらえなかった。後半はセーフティバントなどで揺さぶりもかけたが及ばなかった。

ただ、守りでは随所に好プレーが飛び出した。センター保永は、8回無死二塁からの中飛でタッチアップを試みた二走をワンバウンドで刺す好返球を見せた。また、センター前に落ちそうな飛球を思い切りよく前進して好捕すること数度、林を盛り立てた。ショート中野は6つの内野ゴロを堅実にさばいた。

この日の会場・桃園球場は両翼100m、中堅125mと県内最大規模の球場(北九州市民球場は92m・119m、久留米市野球場は98m・122m)。外野の守備範囲は広くなるうえ、外野も土のためゴロがイレギュラーすることもままあり(4回に峯が左前打を後逸したのも、あるいはイレギュラーしていたか)、外野手にとってはやっかいな球場であることを再認識させられた。

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