【観戦記】春日3-2香椎工(福岡地区大会3回戦)




【春日3-2香椎工(福岡地区大会3回戦)】

8回表春日二死二塁 清水が決勝の左前適時打を放つ

両校とも再三得点圏に走者を進めながら決定打を欠く展開となったが、春日が8回の勝ち越し点を守りきって競り勝った。

同点で迎えた8回、春日は先頭の梶原が三ゴロ失で出ると、五十嵐も右前打で続き無死一、二塁。暴投で二、三塁となったあと、西久保のスクイズは捕邪飛併殺で二死二塁となったが、清水の左前打で五十嵐が還り、これが決勝点となった。

先制したのも春日。初回二死後、長尾四球、横山右前打で二死一、三塁とし、藤崎の右前打で長尾が生還した。同点で迎えた5回は四球で出た清水を田口が送り、福田のホームベース付近に上がった飛球が風に流されて内野安打となり一死一、二塁。長尾四球で一死満塁から、横山も押し出しの四球を選んで勝ち越した。

香椎工は3回、植垣が右前打で出塁。松尾の遊ゴロで二塁封殺された後、谷口が送って二死二塁。山崎四球で一、二塁とし、立山の左前打で同点に追いついた。6回は高木が遊ゴロ失で出ると、常守が送って一死二塁。内山の三塁強襲安打で一死一、三塁から、植垣の中犠飛で再び追いついた。

続く7回も一死から山崎が中前打、立山の遊前セーフティバントが内野安打となり、さらに次打者の時に暴投で一死二、三塁と勝ち越し機を迎えたが後続が凡退。8回も二死一、二塁で得点できず、9回も二死から連続四球で一、二塁と追いすがったが、ここで登板した春日・久保田に常守が遊飛に抑えられ、1点に泣いた。

第10回福岡地区高校野球大会3回戦(2023年4月22日・土/春日公園野球場)
       一二三四五六七八九   計HE
  春 日  100010010 372

  香椎工  001001000 281
  春 日  打安点   香椎工  打安点 ◆投手成績
(中)田 口 300 (右)松 尾 410 春 日 回 安球振責
投 久保田 000 (二)谷 口 400 清水  8.2 8761
(左右)福田 530 (一)山崎雅 310 久保田 0.1 0000
(一)長 尾 200 打 西 元 100 

(右)横 山 411 (三)立 山 521 香椎工 回 安球振責
(遊)藤 崎 211 (左)香 野 300 植垣  9 7822
遊 西 木 000 左 桒 野 100
打遊 花岡 100 打 荒 谷 000 試合時間
(三)梶 原 400 走 松 本 000 9:50~12:06
(二)五十嵐 410 (遊)常 守 31
(捕)西久保 300 (捕)内 山 320
(投左)清水 211 (投)植 垣 211
振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
282010 3073  674014   3282
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※公式記録ではありません

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春日の先発・清水

春日の先発は背番号1の清水。昨夏も登板していた右腕だが当時より体がひと回り大きくなり、投球フォームにも力強さが加わった。130キロ前後(この日最速140キロ)の直球に100キロ台のチェンジアップが投球の軸で、直球は球速表示以上に速く感じたが高めに浮く球も多く、4回までに4つの四球を与えるなど制球に苦しんだ。中盤は持ち直したが、9回二死から連続四球で締めのマウンドは久保田に譲った。

ただ、許した8安打のうち芯で捕らえられた当たりは半分ほど。7回一死二、三塁のピンチでも直球で押して乗り切った。この直球が安定して低めに集まってくるようになると、右の本格派として注目を集めそう。

香椎工は2年生左腕の植垣が先発。110キロ台半ばの直球(同121キロ)にスライダー、カーブを交えてくる軟投派投手。8つの四死球を与え、5回には3つの四球を与えて1点を献上するなど制球に課題を残したが、打ち込まれたという感じではなく被安打は7。力感あふれる清水とは対照的にのらりくらりと打たせてとる投球で、春日打線は110キロ台の直球を打ち上げるシーンが目立った。

香椎工・植垣

打線は両校とも長打がゼロ。春日は5人、香椎工は6人の2年生が先発メンバーに名を連ねる若いチームということもあり、打線には迫力を欠いた。

香椎工は1回と5回を除き得点圏に走者を送ったが、勝負処で清水の直球に力負けした印象。その中にあって目に付いたのは4番立山(右)。3回二死一、二塁では0-2と追い込まれながら外角直球を2球見極め、勝負球のチェンジアップをうまく三遊間に運ぶタイムリー。初回もアウトにはなったものの、直球をはじき返しライト右に鋭いライナーを飛ばした。7回にはプッシュバントを投手左に決めてチャンスを広げた。昨秋は1番打者だったように、小技も利く打者だ。

このほかにも、セカンド前にドラックバントを決めた常守、鋭い当たりの2安打を放った内山、投手ながら中前へのクリーンヒットを放ち、好機で犠牲フライを放った植垣など、下位の打者の活躍が目立った。

3回裏香椎工二死一、二塁 立山が同点の左前適時打を放つ

春日打線は初回二死からの4、5番の連打による先制は見事だったが、2回以降はボール球に手を出すなど、やや粗い打撃が目についた。9回を除いて毎回のように走者を出しながら、タイムリーは2本だけ。5回はキャッチャーフライが風に流されて捕球できず内野安打になった当たりと3四球で1点が転がり込んできたが、続く一死満塁の畳みかけるチャンスをものにできず。7回無死一、二塁ではスリーバント失敗、8回も敵失や暴投などで得た無死二、三塁でスクイズが捕邪飛~併殺になるなど、もどかしい展開が続いた。

投打とも課題の残る試合となったが、それでも勝利をものにして準々決勝へ。強豪との公式戦を通してこうした課題を解消していきたい。

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