
【西短大附6-4希望が丘(春季大会準決勝)】

西短大附が終盤の集中打で希望が丘を再逆転、3季連続の決勝進出を決めた。
1点を追う西短大附は8回、多久が左前打で出ると古賀の時にヒットエンドランが決まり(左前打)無死一、三塁。深町の一ゴロで二、三塁とし、荒木が右翼線二塁打を放って逆転した。9回は中前打で出た村上を高峰が送り、多久三振のあと古賀の右前打で村上が生還してリードを広げた。
先制したのは希望が丘。2回、敷田が中前打で出ると江越が送り一死二塁。敷田が三盗を決めたあと山野のスクイズで生還した。
西短大附は4回、先頭の村上が左越え本塁打を放って追いつくと一死後、死球で出た多久が二盗を決め、さらに二塁送球が逸れる間に三進。古賀は浅い中飛に倒れたが、深町のセンター前の飛球にショートが追いつきながら落球(記録はヒット)、多久が生還して勝ち越した。続く5回には先頭の江口が右越え三塁打を放ち、中継が乱れる間に一気にホームをついて点差を広げた。
2点を追う希望が丘は6回、右前打で出た江越を山野が送り、松崎の一ゴロをファーストが後逸する間に江越が生還。さらに打者江藤の時に暴投で二進すると、江藤三振のあと渡邊の中前打で松崎が同点のホームを踏んだ。7回は一死後、下田が中前打で出塁し、敷田三振のあと江越の右飛が失策を招き二死二、三塁。ここで山野が三遊間を破って勝ち越した。
しかし8回に再び逆転を許すと、9回一死から下田が中前打を放って粘りを見せたが、後続が続かず力尽きた。
第152回九州地区高校野球福岡大会準決勝(2023年4月4日・火/久留米市野球場) |
一二三四五六七八九 計HE 西短大附 000210021 6163 希望が丘 010002100 4113 西短大附 打安点 希望が丘 打安点 ◆投手成績 (遊)江 口 310 (中)渡 邊 521 西短附 回 安球振責 (二)轟 木 410 (左)石 本 410 中塚 9 11261 (中)村 上 541 (三)熊 野 410 (三)高 峰 400 (打 松 村 100 希望丘 回 安球振責 (捕)多 久 420 (一)下 田 520 江越 9 16545 (一)古 賀 521 (遊)敷 田 520 (右)深 町 521 (投)江 越 310 試合時間 (左)荒 木 432 (右)山 野 112 13:26~15:46 (投)中 塚 310 (捕)松 崎 310 (--------- (二)江 藤 400 ー振球犠盗残 打安点 振球犠盗残 打安点 ー452111 37165 625111 35113 —- ※公式記録ではありません |
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地力に勝る西短大附に対し、希望が丘も11安打を放って互角の戦いを演じたが、最後は西短大附の底力に屈した。
希望が丘の先発はエース江越。この日も130キロ台前半の直球(この日最速136キロ)を見せながら、打者の手元で沈むチェンジアップを多投して3回まで無得点に抑えた。ただ、西短大附の打者も目が慣れてきたか、徐々にこの決め球を捕らえ始める。4回、村上がレフト左に打ち込む同点弾。5回には江口がライトの左を破り、失策も絡んで一気に生還した。
それでも江越は粘り強く投げて大崩れせず、7回まで9安打4四死球で3失点にとどめた。バックも4つの併殺を奪って再三のピンチをしのぎ、江越を盛り立てた。
打線も西短大附の先発・中塚にくらいついて行く。2回は中前打で出た敷田が犠打で二進すると、打者山野の時にカウント0-2から意表をつく三盗を決め、山野はスリーバントスクイズ。外角低めの難しい球だったが、最後まで目線を切らさずにフェアゾーンにボールを転がした。
6回は江越が変化球をライト前に落とし、山野が送って一死二塁。続く松崎の弱い一ゴロをファースト古賀がトンネルし、二塁から江越が生還。グラウンドが乾燥しているためか、ここ数日の試合では内野ゴロでのイレギュラーが多く、今回も微妙にバウンドが変わったようにも見えたが「転がせば何かが起きる」ことを示す結果となった。

そして問題となったのが7回裏、希望が丘の攻撃。二死一塁から江越が放ったライト左への一打は深町が追いつき捕球、スリーアウトかと思われた。しかし直後にボールを落とし、塁審はセーフのゼスチャー。西短ベンチは「捕球後の送球動作に移った際の落球ではないか」と再三にわたって塁審に認識を質したが、「完全捕球ではなかった」という判断は覆らずに二死二、三塁から試合再開。続く山野は変化球を三遊間に運んで4-3と勝ち越した。
西短大附にとっては納得のいかない判定からの失点だったが、逆にこれが西短ナインの闘志に火をつけた。8回、先頭の多久がつまりながらも左前に落とすと、次打者古賀の時に1-2からのヒットエンドラン。これが見事に決まり無死一、三塁。深町一ゴロで一死二、三塁となったあと、荒木がチェンジアップをうまく拾ってライトの右に運び、2人が相次いで生還。この間、わずか10球という速攻であった。

なおも一死二塁で中塚が中前打を放ち、二走の荒木がホームを衝いたが、ここはセンター渡邊が好返球を見せてタッチアウト。希望が丘も簡単には引き下がらない。それでも8回裏、それまで毎回安打を許して来た中塚が三者凡退で締めると、9回に西短大附が追加点をあげて逃げ切った。
それにしても、追い込まれた時の西短大附の驚異的な粘りはどこから生まれるものなのか。先日の準々決勝・九国大付戦(5-10から9回逆転サヨナラ)をはじめ、昨秋5回戦(久留米商戦)では4-5から9回逆転サヨナラ勝ち。4回戦(福岡第一戦)は1-2から9回に追い付き延長でサヨナラ勝ち。昨夏2回戦(純真戦)も2-3とリードを許した直後、9回表に逆転するなど、その例は枚挙にいとまがない。今春センバツでは「逆転の報徳」が久々に脚光を浴びたが、福岡における「逆転」の代名詞は西短大附のものとなりつつある。
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