【観戦記】福岡大大濠7-1福工大城東(春季大会準決勝)




【福岡大大濠7-1福工大城東(春季大会準決勝)】

3回表福大大濠二死二、三塁 藤田が先制の左前適時打を放つ

試合巧者の福大大濠が福工大城東の好投手・園田を攻略、決勝進出を決めた。

福大大濠は3回二死後、野口が四球を選び、黒田の左前打で二死一、三塁。黒田が二盗を決めたあと、藤田が左前打を放って2点を先制した。1点差に迫られた直後の6回は先頭の黒田が四球で歩き、藤田の二塁強襲安打で一、二塁。日高の投前バントが内野安打となって満塁とし、高田の押し出し死球でまず1点。続く龍の中前打で2点を追加した。さらに代わった小林から高尾が右前打を放ち高田が生還。なおも無死一、二塁から松尾ニゴロ(二塁封殺)で一死一、三塁となったあと、大神の中前打で龍が還り、この回5点を奪って突き放した。

福工大城東は4回一死後、齋藤がライト右への安打で出ると平川も右前打を放ち一死一、二塁。阿南遊飛のあと、宮口の中前打で齋藤が本塁を狙ったがセンターからの好返球で憤死。5回は園田が左前打、松永が送ったあと谷口の一ゴロで二死三塁とし、松岡の中前打で1点を返した。しかし6回以降は松尾、鯉川の前にわずか1安打に抑えられて反撃できなかった。

第152回九州地区高校野球福岡大会準決勝(2023年4月4日・火/久留米市野球場)
         一二三四五六七八九   計HE
  福岡大大濠  002005000 710

  福工大城東  000010000 161
 福大大濠  打安点  福工大城東 打安点 ◆投手成績
(中)大 神 521 (二)谷 口 400 大 濠 回 安球振責
(左)野 口 200 (中)松 岡 311 柴田  4.2 5111
打 立 川 100 (遊)前 川 400 松尾    3.1 1020
左 八 島 000 (右)齋 藤 310 鯉川  1 0000

(二)黒 田 410 (左)平 川 410 
(捕)藤 田 532 (捕)阿 南 300 城 東 回 安球振責
(三)日 高 410 打 青 木 100 園田純 5.0 6447
(遊)高 田 301 (一)宮 口 420 小林  0.1 2000
(一) 龍  322 (投)園田純 210 川畑  0.2 1000
走 戸 高 000  小 林 000 柿原  2 1110
 村 上100  川 畑 000 藤家  1 0020 
(右)高 尾 311 投 柿 原 000 
(投)柴 田 200 投 藤 家 000 試合時間
投 松 尾 200 (三)松 永 100 09:56~12:43
投 鯉 川 000 打 奥 田 100
ーーーーーーーーーーー 永 山 000
振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
75229 35107  31306   3061
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※公式記録ではありません

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福工大城東の先発・園田

福大大濠打線が、福工大城東・園田のわずかな失投を逃さず試合の主導権を握った。

園田は135キロ前後の直球(この日最速139キロ)を軸に、縦に落ちてくる110キロ台の変化球、右打者の外に逃げていく120キロ台の変化球、落差のあるカーブと多彩な球種を持つ長身右腕。3回二死までは快調に飛ばしたが、野口に四球を出したあと、黒田に高めに浮いた直球を左前に運ばれ、藤田にも真ん中高めの直球を叩かれた。5回を投げて被安打3、与四死球2と好投したが、数少ない失投を福大大濠の中軸は見逃さなかった。

福大大濠の先発・柴田

福大大濠の先発は2年生の柴田。130キロ前半(同136キロ)の切れのある直球を内外角に投げ込み、110キロ台のスライダーを交えながら打たせて取る投球で3回まで無安打に抑えた。4回は2安打を許し宮口にも直球を中前に運ばれたが、ここはセンター大神の好返球に救われた。5回、松岡に中前適時打を浴びたところで松尾に交代したが、先発の役割を十分に果たしての降板だった。

前半の5回を終えて2-1。ここからさらに投手戦が続くと思われたが、6回に大きく試合が動いた。この回の園田は、多用してきた縦の変化球が抜け始めた。黒田を歩かせたあと、藤田のセカンドへのライナーが、グラブをはじく内野安打となり無死一、二塁。日高は投手左へのバント、これがやや強かったことから園田は三塁封殺を狙ったが、サードも打球処理のために前進しており三塁は無人の状態。慌てて一塁に投じたが間に合わず無死満塁(記録は内野安打)。さらに高田に死球を与えて押し出しで1点を献上すると、続く龍には内角高め、見逃せばボールという球を詰まりながらもセンター前に運ばれ1-5。ここで無念の降板となった。打ち込まれた感じではなかったが疲れもあってか、勝負処で球が浮いたのが悔やまれる。

6回表福大大濠無死満塁 龍が中前に2点適時打を放つ
福大大濠・松尾

一方、5回途中からマウンドに上がった松尾は、過去2試合とは見違える出来だった。130キロ台後半(同141キロ)の直球がよく走り、スライダーも含めて制球も安定し、テンポよく打ち取っていった。7回に唯一の安打を打たれて一死二塁のピンチはあったが、危なげなく後続を断った。6~8回をわずか39球で投げ切り、被安打1・四死球はゼロ。8回に4番齋藤を空振り三振に打ち取った内角低めの直球は、コース高さともギリギリに決まるこの日一番の球だった。

福大大濠・鯉川

9回には背番号10の鯉川が登板。130キロ後半(同139キロ)の直球にフォークを交え、3人を危なげなく退けた。福大大濠の誇る3人の右本格派投手がそれぞれ持ち味を発揮し、福工大城東打線を6安打1点に封じた。

攻撃面では藤田、龍がこの日も勝負強さを発揮。藤田は貴重な先制打、龍は流れを大きく引き寄せるタイムリーを放った。黒田、大神が盗塁を決めてチャンスを広げたほか、大神・野口はセーフティバントを仕掛けるなど足を使った攻撃も随所で見せ、送りバントも2つ確実に決めた。安打がそれほど出なくても高い得点力を誇る背景には、こうした攻撃がある。

福工大城東・藤家

守備ではセカンドの黒田が躍動。7回一死二塁で一二塁間を抜けようかという当たりを飛びついて抑えて一塁アウト。9回には二塁ベース寄りの高いバウンドをさばくと一塁へ軽やかなジャンピングスロー。飯塚戦では手痛い失策もあったが、その汚名を返上する好プレーを見せた。センターの大神は4回二死一、二塁で中前打を本塁へノーバウンド返球、本塁を狙った二走を見事に刺した。

福工大城東は園田降板後、4投手をつぎ込んだ。7回から4番手として登板した2年生左腕の柿原は、7回一死二塁、8回無死二塁のピンチを無失点で切り抜け、コールド負けの危機を回避した。直球は125キロ前後だが変化球を低めに集め、決定打を許さなかった。

5番手で9回のマウンドに上がった藤家は大型右腕。あまりタメをつくらずメジャーの投手ばりの「立ち投げ」から、130キロ台後半(同139キロ)の威力ある直球をバンバン投げ込んでくる。スライダーなどの変化球で緩急をつけることもでき、打者3人から2三振。将来性を感じさせる投手だ。

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