【観戦記】福岡大大濠10-3祐誠(春季大会パート決勝)




【福岡大大濠10-3祐誠(春季大会パート決勝)】

中盤にかけて一進一退の攻防が繰り広げられたが、終盤に突き放した福岡大大濠が8回コールドで祐誠を下して県大会出場を決めた。

福岡大大濠は3回、死球で出た高尾を松尾が送り、大神の一ゴロで三進。野口四球のあと黒田の右前打で先制した。4回はこの回先頭の日高の右越え本塁打で勝ち越し。再び追いつかれた5回には二死から藤田の左越え二塁打と日高の中前適時打で三たびリードを奪った。

3回裏福大大濠二死一、三塁 黒田が先制の中前適時打を放つ

6回は祐誠2番手の野田を攻め、高尾死球のあと松尾の投前バントがフィルダースチョイスを誘い無死一、二塁。大神が送った後、野口がスクイズを決めて加点した。

4-3で迎えた7回は先頭の藤田が左越え二塁打で出塁。日高が送ったあと、高田がセンター左への二塁打でまず1点。代打八島が四球を選び、高尾の中前打で一死満塁から、大神の左前打で2者が生還した。さらに野口四球で再び満塁とし、ここで登板した3番手井上から黒田が中前打を放って2人を迎え入れ、この回5点を奪って突き放した。8回は4番手下村から日高が左前打。高田が送り、八島のセンター左への二塁打で日高が生還、コールド勝ちを決めた。

1点を追う祐誠は4回、福原が左翼線二塁打で出塁。坂井が送り、清水の右前打で同点とした。再びリードされた5回には一死から靏田がセンター右への二塁打で出ると、大嶋は三振に倒れたが古賀の左前打で再び追いついた。7回にも一死から靏田がライト左を破る三塁打で出塁し、大嶋のニゴロの間に生還して1点差とするなどよく追い上げたが、投手陣が福岡大大濠打線を抑えきれなかった。

第152回九州地区高校野球福岡大会パート決勝(2023年3月29日・水/久留米市野球場)
          一二三四五六七八九   計HE
  祐  誠 00011010   370

  福大大濠 00111151  1015
(8回コールド)
 祐  誠  打安点  福大大濠  打安点 ◆投手成績
(遊)靏 田 420 (中)大 神 412 祐 誠 回 安球振責
(一)大 嶋 311 (左一)野口 201  宗  4.2 7223
(三)古 賀 211 (二)黒 田 523 野 田 2 5306
(左)井 手 400 (捕)藤 田 520 井 上 0.1 1000

左 二 宮 000 (三)日 高 442 下 村 0.1 2001
(二)福 原 410 (遊)高 田 421 
(中)坂 井 310 (一) 龍  310 大 濠 回 安球振責
(捕)清 水 411 打左 八島 111 松 尾 7 7333
(投) 宗  200 (右)高 尾 220 小 峰 1 0000
投 野 田 100 (投)松 尾 200 
投 井 上 000 投 小 峰 000 試合時間9:50~12:17
投 下 村 000
(右)春 山 220

振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
33117 3073      256111  321510
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※公式記録ではありません

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福岡大大濠の先発・松尾

好投手・中島のいる久留米商をコールドで下した祐誠打線と、複数の本格派右腕を揃える福岡大大濠投手陣。その対決は互角といったところだったが、福岡大大濠が祐誠投手陣を打ち崩しての勝利だった。

福岡大大濠の先発は松尾。秋は10だった背番号が1となり、名実ともエースとして迎えた今大会。この日は135キロ前後の直球(この日最速139キロ)にスライダーを交えながらの投球だったが、2回を除いて毎回のように得点圏に走者を背負う内容。細かな制球に苦しみ、少しでも甘く入ると鋭く反応してくる祐誠打線に7回まで長打3本を含む7安打を許し3失点。最少失点で切り抜けたあたりはさすがというところだが、直球の走りは今一つ。スライダーも見極められ、ストライクを取りにいったところを叩かれる、そんな内容だった。

これは余談だが、松尾には2015~16年に同校のエースとして活躍した濱地投手(現阪神)の姿を重ねてしまう。どっしりとした下半身。投球フォーム。140キロ近い直球をコーナーいっぱいに決める制球力。粗削りながら一発を秘める打力。期待が高いがゆえに評価も辛くなりがちだが、雰囲気を持っている選手だと思う。

祐誠先発の宗

その本調子ではない松尾を打線が力強く援護した。3番黒田(左)は3打点と勝負強さを見せ、4番藤田(右)はレフト方向へ3本の大飛球を放ち、うち2本が長打となった。これまでの観戦では藤田の強打を見る機会がなかったが、4番に座るのも納得という当たり。身体は決して大きくないが、遠くに飛ばす技術を持った選手だ。5番日高(左)は本塁打を含む4安打。緩い球に惑わされることなく最初の打席からきっちりと安打を重ねた。中軸がしっかりと機能し、6回はバント3つで1点をもぎとるなど強弱をつけた理想的な攻撃だった。

2年生が6人を占める祐誠打線にも迫力があった。1番靏田(2年/右)はいずれも松尾の直球を捕らえた二塁打と三塁打を放ち、得点機を演出。5回の二塁打はセカンド左をライナーで破ったあたりが、球足はやく右中間に達したもの。7回は136キロの直球をライトの左に運ぶなど、好打者ぶりを見せた。3番古賀(左)、7番清水(右)の2年生も130キロ台後半の直球を鋭くはじき返すタイムリーを放つなど、中盤までは互角の打ち合いを演じた。

4回表祐誠一死三塁 清水の右前打で福原が生還

祐誠の先発は背番号11の宗。直球は120キロ台前半(同123キロ)だが、100キロ前後の大きなカーブを武器とする左腕だ。昨秋の三池戦では制球に苦しんでいたが、この日は直球・カーブとも低めによくコントロールされ、2回までは1安打を許したのみ。しかし、2巡目に入った3回は死球で出した走者を黒田に還され、4回には日高に直球をライト右に叩き込まれた。5回も二死をとったあとに藤田、日高に長短打を浴びて3点目を失ったところで降板。

2番手の野田は右スリークォーター。130キロ超の直球(同132キロ)とスライダーがあるが、7回は真ん中高めに球が集まってしまい、福岡大大濠打線の餌食となってしまった。8回にはエースナンバーを付ける下村がマウンドへ。右サイドから120キロ超の力のある球を投げる投手だが、6点差がついた場面での登板は今の状態を示すものか。福岡大大濠打線の勢いを止められず7球でコールドにつながる1点を失ってしまった。上位を狙う夏に向けて、投手陣の強化が課題として残った。

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