【観戦記】西日本短大附11-5福岡大大濠(秋季大会準決勝)




【西日本短大附11-5福岡大大濠(秋季大会準決勝)】

西日本短大附打線が終盤に福岡大大濠の投手陣を攻略、16安打で11点を奪って決勝進出を決めた。

1点を追う西日本短大附は4回、この回先頭の4番高峰が右翼線に落ちるヒットで出ると、続く古賀が右越え本塁打を放って逆転。再びリードされた5回は右前打で出た9番荒木を江口が送り、轟木の左前打で一死一、三塁。続く村上の投ゴロで併殺を狙った二塁送球が乱れる間に荒木が生還、1点差とした。

7回表西短大附一死一、二塁 轟木が逆転の左中間三塁打を放つ

1点差のまま迎えた7回一死後、9番荒木が遊内野安打で出ると江口四球で一、二塁。ここで2番轟木がセンター左を破る三塁打を放って2者が生還、中継に入ったショートの三塁送球がそれる間に轟木も還って6-4とした。
続く8回にも一死から荒木が四球を選び、江口右前打、轟木四球で一死満塁とし、村上の左前打で2点を追加した。
9回はこの回から登板した鯉川を攻め、多久左前打、中塚四球のあと、深町が送って一死二、三塁。林は三振に倒れたが、江口の中前打で2点を追加した。さらに轟木も左前打で続き、村上の中前に落ちる安打で江口も生還。この回3点を加えて試合を決めた。

福岡大大濠は初回一死後、大神が四球で出ると黒田中前打で一、二塁とし、4番藤田の右前打で先制した。逆転された直後の4回は二死から9番高尾が四球を選び、高田右前打で二死一、二塁から2番大神がセンター左を破る三塁打を放って再逆転。続く黒田の中前打で大神も生還し4-2とリードを広げた。

4点を追う8回は5番日高が左前打、柴田も右前打で続き無死一、二塁。八島三振のあと代打・龍の左前打で一死満塁とし、高尾の右犠飛で1点を返した。しかし続く二死一、二塁で高田が中飛に倒れ1点止まり。9回に3点を奪われて突き放され、2年ぶりの秋の九州大会出場はならなかった。

第151回九州地区高校野球福岡大会準決勝(2022年10月8日・土/久留米市野球場)
        一二三四五六七八九    計 HE
  西短大附  000210323 11160

  福大大濠  100300010 05092
  西短大附 打安点  福大大濠  打安点 ◆投手成績
(遊)江 口 422 (遊)高 田 520 西短附 回 安球振責
(二)轟 木 532 (中)大 神 312 中塚     9 9555
(中)村 上 523 (二)黒 田 421 
(三)高 峰 630 (捕)藤 田 511 大 濠 回 安球振責

(一)古 賀 522 (三)日 高 310 柴田   4.1 5232
(捕)多 久 520 (投一)柴田 410 松尾   3.1 7334
(投)中 塚 400 (左)八 島 400 鯉川     1 4113
(右)深 町 300 (一)村 上 200 
(左)荒 木 320 投 松 尾 100 試合時間
走 飯 田 000 打  龍  110 13:05~15:27
左  林  100 走 中 山 000
(左  林  100 (投 鯉 川 000
(左  林  100 (右)高 尾 100
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
862011  41169    55208 3395
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※公式記録ではありません

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福大大濠・柴田

右の本格派3人を擁する福岡大大濠の投手陣と、西日本短大附の大型打線が真っ向から激突した一戦は、西日本短大附に軍配が上がった。

福岡大大濠の先発は背番号11の1年生右腕・柴田。長身から投げ下ろす130キロ台前半(この日最速136キロ)の直球に110キロ台なかばのスライダーをまじえながら3回まで3塁を踏ませない好投を見せた。4回は高峰の打ち取った当たりが右翼線に落ちるヒットとなり、直後に古賀に逆転本塁打を許したが、4回まで3安打2失点。先発の役割は十分に果たした。

悔やまれるのは5回。一死一、三塁で村上を投ゴロに打ち取りながら併殺を焦ったか二塁に高投し、1点を献上。直前に味方が逆転していただけに、併殺で切り抜けて試合の主導権をがっちりと掴みたかったところ。それでも続く一死一、二塁のピンチで登板したエース格の松尾が4番高峰をスライダーで遊ゴロ併殺打に仕留め、6回もわずか9球で三者凡退に打ち取ったあたりでは福岡大大濠のペースで試合が進んでいるように感じた。この日も130キロ台後半(同140キロ)の直球とスライダーを交えた投球を見せる松尾は、快調そのものに見えた。

福大大濠・松尾

この秋、西日本短大附の試合を観戦するのは2回戦の武蔵台戦(9月9日)についで2試合目だが、この時は江口、轟木、村上、古賀ら主力が出場しておらずベストメンバーが揃った試合を見るのは今回が初めて。村上・高峰・古賀の中軸はすべて1年生だが、いずれも堂々たる体格を誇る大型打者。前チームで4番だった多久が6番、同じく前チームの主力で長打力もある轟木が2番に入る。トップに不動の1番江口を据えた打線は破壊力がありそうだったが、その大型打線が終盤、松尾に襲い掛かる。

7回一死後、荒木のショート右へのハーフライナーにショート高田が飛びついたが落球(記録は内野安打)。球に不規則な回転がかかって少しスライスしていたのか、飛び込むタイミングが合わなかったように見えた。江口が四球で出ると、轟木が2-0からストライクをとりにきた133キロの直球を叩き、これがセンターの左を破る三塁打となって、瞬く間に逆転。松尾は江口に四球を出したあと、轟木にもカウントを悪くしたところを突かれる形となった。

西短大附・中塚

轟木も悪送球の間に生還して走者が一掃されたが、西日本短大附の勢いは止まらない。高峰が中前に運ぶと古賀・多久がいずれも三遊間を破って満塁。追加点にはつながらなかったが、迫力十分の3連打だった。8回は2つの四球と江口の右前打で満塁と再び松尾を攻め立て、3番村上がスライダーを三遊間に運び8-4と勝利を引き寄せた。福岡大大濠は8回に1点を返して食らいついたが、9回は3番手の鮎川に3連打を含む4安打を浴びせて3点を奪いダメ押し。7~9回だけで11安打を放つ猛攻だった。

4回の古賀の逆転本塁打は、無死一塁からの送りバントがファールとなった直後の球をバスターでとらえたもの。135キロの高めの球をコンパクトに振り抜いた当たりがフェンスオーバーになる驚きの一打だった。

西日本短大附のエース中塚は、初回は2つの四球に暴投と乱れ、4回も四球からピンチを招き、大神、黒田とも3-1から直球を狙われて連続タイムリーを浴びるなど、ボールが先行する苦しい投球が続いた。それでも130キロ前後(同132キロ)の直球で内角を厳しく攻め、スライダーやチェンジアップなどで緩急をつける投球で立ち直り、5~7回はいずれも三者凡退で片付けて終盤の逆転劇につなげた。

1回表福大大濠一死一、二塁 藤田が先制の右前適時打を放つ

福岡大大濠は初回4番藤田のタイムリーで先制、逆転された直後に3連打で再逆転するなど、中盤までリズムよく試合を運んだ。柴田~松尾と継投し、このまま押し切りたいところだったが、頼みの松尾が終盤につかまっての敗戦。130キロ後半の直球を持つ右本格派3人を揃えるが、この日の西日本短大附打線には3人で16本のヒットを浴びた。この敗戦を糧に、3人の投手がどこまで成長して春の舞台に戻ってくるのか、楽しみにしたい。

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