九国大付は高松商に競り負けベスト8ならず~2022選手権大会




第104回全国高校野球選手権大会は大会10日目の15日(月)に3回戦4試合が行われ、第二試合に登場した福岡県代表の九州国際大付は高松商(香川)に1-2で敗れ、2015年以来となる準々決勝進出はなりませんでした。

【試合経過】—————————-
九州国際大付・香西、高松商・渡辺の両投手が再三得点圏に走者を背負いながらも要所を抑え、終盤まで1点を巡る攻防が繰り広げられたが、4回に1点を勝ち越した高松商がそのまま押し切った。

高松商は初回、先頭の浅野がセカンド左への内野安打で出塁。井桜はスリーバント失敗(空振り三振)となったが、浅野二盗のあと渡辺升が四球を選んで一死一、二塁とし、4番山田の左前打で先制した。同点で迎えた4回は7番渡辺和が右前打。大坪のバントは捕邪飛となり、横井のニゴロで二塁封殺され二死一塁となったが、浅野が四球を選んだあと、井桜の右前打で横井が生還し、これが決勝点となった。

九州国際大付は2回一死後、5番佐倉が中前打で出ると、白井のショート左への内野安打で一死一、二塁とし、浅嶋の右前適時打で追いついた。なおも一死一、三塁から香西の送りバントで二死二、三塁としたが尾崎が三振。3回も中前打で出た小田原を中上が送って一死二塁としたが黒田、野田が凡退。4回も一死から白井中前打、浅嶋右前打で一、二塁と勝ち越し機を迎えたが、香西遊ゴロ(三塁封殺)、尾崎遊ゴロで得点できなかった。

1点を勝ち越された直後の5回は一死から中上がショート右への内野安打で出塁、黒田右飛のあと中上が二盗を決めて二死二塁としたが、野田が中直に倒れた。6回以降は一人の走者も出せず、再三のピンチにも追加点を許さず粘り強く投げた香西・池田の両投手を援護できなかった。

第104回全国高校野球選手権大会3回戦 (2022年8月15日・月/阪神甲子園球場)
       一二三四五六七八九 計HE
九国大付 010000000 171
高松商  10010000x 290
 九国大付  打安点   高 松 商  打安点 ◆投手成績
(左)小田原 410 (中)浅 野 210 九国付 回 安球振責
(右)中 上 310 (左)井 桜 421 香西  6 6352
(中)黒 田 400 (二)渡辺升 300 池田  2 3010
(捕)野 田 400 (三)山 田 431 

(一)佐 倉 410 (右)久 保 400 高松商 回 安球振責
(二)白 井 420 (一)大 麻 410 渡辺和 9 7061
(三)浅 嶋 421 (投)渡辺和 420 
(投)香 西 100 (捕)大 坪 300 試合時間
打 高 尾 100 (遊)横 井 300 1時間48分
投 池 田 000
(遊)尾 崎 300
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
60216  3271  
63129 3192

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1回裏から5回表まで、両校とも毎回のように走者が得点圏に進み、激しい主導権争いが繰り広げられた前半。再三のピンチを2失点で切り抜け、高松商の先発・渡辺から5回までに7安打を放っていただけに、九州国際大付にも十分勝機のある展開だった。しかし6回表の攻撃をわずか9球で終えると、7回は13球、8回は10球、そして9回も6球で3人が打ち取られ、後半は見せ場すらつくることができなかった。

高松商の渡辺は、左腕から繰り出す130キロ中盤~後半(この日最速139キロ)の直球にスライダー、カーブ、チェンジアップなど多彩な変化球を交えながら投げ込んできた。前半はやや甘く入る球もあり、その球をヒットにしてきた九州国際大付だったが、6回以降は直球と変化球とも低めに集まるようになったことで快音が消えた。渡辺は四死球ゼロ、高松商守備陣も無失策で、ヒット以外で走者を出さなかったことも渡辺がテンポよく投げられた一因だろう。

九州国際大付にとっては福岡大会で得点源となってきた中軸の不発が痛かった。甲子園2試合で黒田と野田が7打数1安打、佐倉が8打数1安打で、打点はいずれもゼロ。チームとしても2試合で12安打3得点に終わった。

昨秋の猛打の印象が強烈だったがゆえに、終始「強打」のイメージがついてまわった九州国際大付だったが、全国レベルではむしろ「守りのチーム」であることに改めて気付かされた甲子園の2試合だった。

昨秋、記録的な猛打で九州大会を制した九州国際大付は、明治神宮大会でも2勝してベスト4入りを果たしたが、明治神宮大会3試合で挙げた得点は9点。センバツでも3試合で10得点と全国の強豪相手には、むしろ投手を中心とした堅守をバックに競り勝ってきた。選手権福岡大会でも福工大城東戦(5回戦)や筑陽学園戦(決勝)は1-0という厳しい試合を制するなど、池田を中心とした守りの堅さが目につく一方、打撃では打率5割で3本塁打の佐倉以外は昨秋ほどの迫力を感じなかった。1番に定着して打率4割5分を記録した2年生・隠塚の活躍はあったが、その隠塚も甲子園では出場機会がなかった。

■九州国際大付の昨秋以降の全国大会成績
明治神宮大会 1回戦 クラーク国際(北海道)5-1
明治神宮大会 準々決勝 日大三島  (静岡) 2-1
明治神宮大会 準決勝 大阪桐蔭  (大阪) 2-9
センバツ 1回戦 クラーク国際(北海道)3-2
センバツ 2回戦 広陵    (広島) 4-1
センバツ 準々決勝 浦和学院  (埼玉) 3-6
選手権大会 2回戦 明徳義塾  (高知) 2-1
選手権大会 3回戦 高松商   (香川) 1-2

堅守をバックに守り勝つ野球は、夏の甲子園でも健在だった。初戦で明徳義塾・吉村との投手戦を制した先発香西は、この日も6回を投げて6安打2失点にまとめた。立ち上がりは微妙な制球に苦しんだが、2回以降は内角低めの直球が秀逸だった。この日奪った4つの三振(スリーバント失敗は除く)はいずれも内角低めの直球で、うち3つは見逃しの三振。球速は120キロ台半ばだったが、打者はコースいっぱいを突かれ手が出なかった。

守りでも、野田が3回無死二塁で捕手前のバントに反応よく飛び出し、素手で拾うと三塁に速く正確に送球してタッチアウト。5回無死一塁でもやはり送りバントを二封して香西を助けた。ショート尾崎は7回、この回から登板した池田が招いた二死二、三塁のピンチで久保のセンターに抜けようかという痛烈な、しかもバウンドを合わせづらいゴロに飛びついて抑えると、一塁へストライク送球。胸のすくようなプレーをみせて甲子園の大観衆から万雷の拍手を浴びた。

6回を除いて毎回走者を送る高松商に追加点を許さず1点差で終盤勝負に持ち込み、「守りのチーム」としての戦い方は存分にできた。ただ、強打をうたわれた打線は全国区の好投手を相手に2試合で3点しか取れなかった。それが現実だった。

佐倉以下、池田、隠塚、白井、浅嶋など今夏活躍した2年生が残り、秋も九州国際大付が優勝候補になってこよう。春夏の甲子園で全国レベルを体感した彼らが、秋以降どこを目標に定め、どのような戦いぶりを見せるのか注目していきたい。

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