【観戦記】小倉工1-0西南学院(選手権大会5回戦)




【観戦記】小倉工1-0西南学院(選手権大会5回戦)

小倉工・山田、西南学院・宇戸の両投手による投手戦が展開されたが、9回裏に小倉工が相手の失策で決勝点を挙げてサヨナラ勝ち。苦しみながらもベスト8進出を果たした。

▼5回戦(20日・久留米)
西南学院 000 000 000=0
小倉工  000 000 001=1

【西】宇戸【小】山田

サヨナラ勝ちを決め、喜びを爆発させる小倉工の選手たち

両校無得点で迎えた9回裏、小倉工は二死から4番島田が中前打で出塁。小畑の時に二盗を決めると、小畑申告敬遠で二死一、二塁。続く川江の三塁後方への飛球が失策を招き、二塁から島田が生還。サヨナラ勝ちを決めた。

序盤は西南学院が押し気味に試合を進めた。初回一死後、塚本が右前打で出ると二盗を決めたが直後に牽制で刺されて逸機。3回も2つの四球で二死一、二塁としたが塚本が三振。5回は一死から7番左座が投前セーフティバントを決めると道田も右前打で続いたが、青木が遊ゴロ併殺打に打ち取られた。6回二死一、二塁の好機も松村二直で逃すと7回以降は走者を出せず、好投を続ける宇戸を援護できなかった。

5回まで1安打に抑えられてきた小倉工は6回、この回先頭の7番柳之内が二塁内野安打で出ると山田はスリーバント失敗に終わったが、柳之内が盗塁を決めて一死二塁。二死後、打者早川の時に捕手からの二塁牽制で柳之内が飛び出し、そのまま三塁を陥れたが早川が三振。7回は一死から3番梅澤、4番島田がいずれも左前打で一、二塁、8回は二死から四球で出た中野が二盗と捕手悪送球で三進したが、いずれも得点できなかった。それでも先発山田を中心とした堅い守りで得点を与えず、サヨナラ勝ちにつなげた。

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小倉工・山田

西南学院は昨夏、初戦で好投手・水崎のいた沖学園に敗れたが、5回まで1-0でリードするなど善戦。出塁すると積極的に次の塁を狙う姿勢を見せ、スキあらば盗塁を仕掛ける攻撃が印象に残るチームだった。その時のスタメンのうち刀祢、塚本、松村、宇戸、左座の5人が残った今年のチームも今大会4試合で8盗塁を決めるなど、機動力を生かした攻撃を見せてきた。

この試合でも初回一死から塚本が右前打で出るとすかさず二盗、3回も一死から道田が四球を選ぶと二盗を決めて得点をうかがった。5回は左座が三塁前に絶妙のセーフティバントを決めて好機を演出。いずれも得点には結びつかなかったが足をからめながら塁上を賑わせ、前半は押し気味に試合を進めた。

西南学院・宇戸

西南学院としては先発の宇戸が好投を続けていただけに、中盤にかけてのチャンスを得点につなげて逃げ切りを図りたかったが、小倉工のエース山田がその前にたちはだかった。西南学院のしぶとい攻撃の前に1~6回は2回を除いて毎回走者を出したが、130キロ台(この日最速137キロ)の直球、切れのあるスライダーを配して決定打を許さなかった。7~9回は100キロ前後のカーブを軸に西南打線を翻弄、一人の走者も出さず流れを引き寄せた。終わってみれば、被安打5の10奪三振。西南学院の足を絡めた攻撃にも慌てることなく自分の投球を貫き、走者は出しながらも三塁を踏ませなかった。

西南学院の宇戸は前年夏はサードを守っていた選手。130キロ前後の直球(同134キロ)と縦に落ちてくるスライダー、ほぼこの2つの球種だけで小倉工打線にのぞみ、4回まで許したのは四球の走者一人だけ。内角を直球で厳しく突くことができた分、スライダーの効果も倍増。小倉工の打者は直球に差し込まれてのフライアウト、スライダーで体勢が崩されての内野ゴロで凡退を重ねた。

それでも小倉工は5回に小畑が初安打を放つと徐々に鋭い当たりがでるようになり、6回二死三塁、7回一死一、二塁、8回二死三塁と攻勢に転じるが、今度は宇戸が踏ん張る。宇戸は序盤の投球も素晴らしかったが、再三のピンチをしのいだ中盤以降の力投は見事のひと言。小倉工を5安打に抑える堂々たるピッチングで好試合を演出した。守備陣も終盤に失策が2つ出たが、よく守った。特にファースト刀祢は内野からのショートバウンド送球を二度、足を大きく伸ばしてすくい上げる好守を見せた。

試合終了後、ベンチ前で小倉工の校歌を聞く西南学院の選手たち

小倉工が押し気味に進めながらも宇戸が踏ん張り、9回裏も3球で二死。このまま延長戦かと思われたが、島田がスライダーをうまく拾ってセンター前に運ぶと二盗を決め、サヨナラの舞台が整う。小畑を申告敬遠で歩かせて塁を埋めたあと、川江の一打は球威に押され三塁後方へのフライ。サードが下がって捕るか、ショートが回り込んで抑えるか。両者が打球を追う。風の影響もあったか打球がレフト側に流される中、最後はサードが下がりながらグラブを差し出す。白球がその先で跳ねた時には、スタートを切っていた二塁走者の島田がホームを駆け抜けていた。

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