【観戦記】東筑3-0福岡大大濠(選手権大会5回戦)




【観戦記】東筑3-0福岡大大濠(選手権大会5回戦)

東筑の先発・堂満が福岡大大濠打線を5安打に抑えて完封、2回に集中打で挙げた3点を守り切ってベスト8進出を決めた。

▼5回戦(20日・久留米)
東  筑 030 000 000=3
福大大濠 000 000 000=0

【東】堂満
【福】森本→松尾

2回表東筑一死二、三塁 佐藤の左犠飛で三塁から藤岡が生還

東筑は2回、この回先頭の7番吉川が左前打で出ると、堂満の送りバントは捕邪飛となったが、平山が右前打を放って一死一、二塁。続く9番藤岡の左前打で二塁から吉川が生還して先制した。なおも一死一、二塁から1番藤井の左越え二塁打で1点を加えると、一死二、三塁から佐藤の左犠飛で藤岡も還り、この回3点をあげた。

3回は一死から7番堂満が右前打。平山が送ったあと、藤岡が左前打を放ち堂満が本塁を狙ったがタッチアウト。4回は一死から佐藤が左翼線二塁打で出塁したが後続が凡退。5回以降は2安打に抑えられて追加点を奪えなかったが、このリードを堂満が守り切った。

福岡大大濠は初回、先頭の友納が四球を選び、大神が送って一死二塁としたが、後続が続かず無得点。2回は先頭の5番北嶋が中前打で出塁したが、藤田三振、高田は二直併殺。3回も一死から森本、友納が連続四球で出たが、大神三振、黒田ニゴロで得点できなかった。

8回は8番の代打渡辺が中前打で出たが代打馬場は遊ゴロ(二塁封殺)、友納も遊ゴロ(同)。友納が二盗を決め大神の左前打で二死一、三塁と初めて三塁に走者を送ったが、黒田が三振に倒れた。9回も先頭の4番山下が右前打を放ったが、北嶋がニゴロ併殺に倒れ、最後まで堂満から得点を奪えなかった。

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福岡大大濠の左腕エース森本と強打を誇る東筑打線の対決が注目された一戦は、東筑が投打にわたって福岡大大濠を圧倒した。

福岡大大濠・森本

森本は130キロ台半ばの直球(この日最速139キロ)にスライダ―、カーブなどをまじえての投球。直球もまずまず走っているように見えたが2回はその直球を狙われ、藤岡を詰まらせながらもレフト前に落とされて先制を許した。続く藤井、佐藤にはスライダーを打たれてさらに2失点。直球、変化球と打ち返してくる東筑の一気呵成の攻撃の前に、為す術がなかった。さらに連続四死球で二死満塁。ここで失点すればワンサイドゲームになり兼ねない場面を迎えたが、堺をこの日最速の139キロの外角直球で三振に仕留めて踏ん張る。

3回も堂満に変化球をうまく右に運ばれると、一死二塁から前の打席タイムリーの9番藤岡に再び左前打を浴びる。ここはやや強引な本塁突入に救われて無得点でしのぐと、4回も一死から佐藤に二塁打を打たれるも後続を連続三振。5回以降は尻上がりに調子をあげて2安打に抑え、8回までに三振も10個を重ねて味方の反撃を待った。

東筑・堂満

東筑は背番号2の堂満が今大会3試合目の先発。初回一死二塁、2回無死一塁、3回一死一、二塁と序盤はピンチを迎えたが、最速142キロを計測した直球のほか縦に落ちてくるスライダー、110キロ台のチェンジアップ、100キロ台のカーブと多彩な変化球を織り交ぜながら、得点を与えなかった。4~7回で走者を出したのは、6回二死から右前打を許した黒田だけ。スライダーで凡飛を打たせるなど7回まで2安打、三塁を踏ませなかった。左腕エースの高﨑が注目されてきたが、高﨑の登板は今大会3分の2イニングだけ。温存しているというより、安定感のある堂満を主戦として起用しているのが実情かもしれない。

東筑打線はこの日、中軸はノーヒットに終わったが6~9番で7安打。初戦で本塁打を放っている7番堂満は、この日も2安打と打撃でも活躍。好機に一気に畳みかける得意の集中打で、一気に勝負をつけた。

福岡大大濠・松尾

福岡大大濠打線は、縦に落ちてくる堂満のスライダーにタイミングが合わなかった。それでも8回、先頭の代打・渡辺がバットの先ながらしぶとくセンター前に転がして出塁する。森本に代えて、代打は馬場。1年生秋の九州大会準決勝で宮﨑商を完封するなど活躍しながら、故障で登板できずにいた馬場をここで代打として起用してきた。思いを込めた一打はいい当たりだったがショートへのゴロ。併殺を逃れるのが精いっぱいだった。友納も遊ゴロで二死一塁となったが、友納が二盗を決め1年生大神の左前打で一、三塁。この試合初めて三塁に走者を送った。一矢を迎えるチャンスだったが、黒田が113キロのチェンジアップに空振り三振。最後まで堂満の変化球を打ち崩せなかった。

福岡大大濠は9回表のマウンドに2番手の松尾がのぼる。130キロ台(同138キロ)の直球にスライダーを駆使して2者連続三振。小気味よい投球を見せた。昨年は毛利、今年は森本という好左腕を擁しながら頂点に届かなかった福岡大大濠。同校がつむぐ好投手の系譜は、この右腕に引き継がれることになりそうだ。

 

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