【観戦記】西日本短大附4-3真颯館(春季大会準々決勝)




【西日本短大附4-3真颯館(春季大会準々決勝)】

8回裏西短大附二死三塁 山口(琉)が右前に決勝タイムリーを放つ

投手戦から一転、終盤はもつれる展開となったが、集中打で再逆転に成功した西日本短大附が真颯館を振り切った。

1点を追う西日本短大附は8回二死後、6番和田が中越え二塁打で出塁すると、続く轟木の右中間三塁打で追いついた。さらに山口(琉)が右前打を放ち、これが決勝点となった。

先手を取ったのも西日本短大附。5回、7番轟木が四球を選ぶと、続く山口(琉)が左中間二塁打を放ち無死二、三塁。江川の右犠飛で轟木が先制のホームを踏んだ。なおも一死三塁から打者江口の時に暴投で山口も生還してこの回、2点を挙げた。

7回まで四度にわたる得点機を逃して来た真颯館は8回一死後、3番稲垣が左越え二塁打で出ると、続く山下の中堅右への本塁打で追いついた。さらに野田も右前に落とし、石川が送って二死二塁。ここで7番柴田がレフト左への二塁打を放って勝ち越した。
しかし直後の8回裏に、それまで西日本短大附打線を2安打に抑えていた福島が二死から三連打を浴びて逆転を喫し、涙をのんだ。

第150回九州地区高校野球福岡大会準々決勝(2022年4月3日・日/北九州市民球場)
       一二三四五六七八九   計HE
  真颯館  000000030 362

  西短附  00002002x 452
 真 颯 館   打安点  西短大附  打安点 ◆投手成績
(左)田 中 500 (遊)江 口 400 真颯館 回 安球振責
(遊)山 田 400 (二)穴 井 400 福島  8 5854
(一)稲 垣 310 (中)今 田 410 
(二)山 下 322 (左)多 久 200 西短附 回 安球振責

(捕)野 田 310 (一)山口 雄   400 江川  9 6410
(右)石川 大   310 (捕)和 田 210 
(中)柴 田 311 (三)轟 木 211 試合時間
(三)中 園 400 (右)山口 琉   321 12:54~14:54
(投)福 島 200 (投)江 川 201
打 佐 藤 100
 振球犠盗残 打安点  振球犠盗残 打安点
  104328 3163  58209 2753
※公式記録ではありません

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西日本短大附・江川

昨年夏の選手権福岡大会決勝と同じカード。両校ともメンバーはほとんどが入れ替わったが、昨夏を彷彿とさせる熱戦を演じた。

西日本短大附の先発は背番号1の大型右腕・江川。130キロ台後半(この日最速140キロ)の直球にカーブ、チェンジアップなどで緩急をつけた投球。キレというより重みを感じさせる直球が外角低めによく制球されていたが、序盤はわずかにボールになる球が多く、1~3回は四球で出した走者を盗塁や犠打で二塁に背負う苦しい投球となった。それでも直球やチェンジアップで三振に仕留めるなど後続を断ち、7回まで許したヒットはわずかに2本。6回7回には計4三振を奪うなど尻上がりに調子をあげていった。

真颯館・福島

真颯館は背番号5の福島が先発。130キロ前後(同135キロ)の直球にスライダ―、カーブを交えながら好投した。7回まで7つの四球を与えるなど制球に苦しんだが、失点を5回の2点にとどめて7回までこちらも被安打2。江川と堂々の投手戦を演じた。

2-0のまま試合は8回に入り、このまま西日本短大附が押し切るかに思われたが、ひと波乱が待っていた。この回、真颯館は球数が100球を超えた江川を攻め、一死から稲垣がレフトのラバーフェンスを直撃する二塁打で出塁すると、山下は137キロの直球をセンター右の外野席に打ち込み、一瞬にして試合は振り出しに。さらに右前に落として出塁した野田を犠打で二塁に進めると、柴田が外角の直球に逆らわずにレフト左に運んで勝ち越し。4本のヒットを集めて逆転した。

8回表真颯館一死二塁 山下が中越えに同点本塁打を放ち生還

8回裏、4番から始まった西日本短大附の攻撃も簡単にツーアウト。真颯館が勝利に近づいたと思われたが、和田が直球を中越えに運ぶ二塁打で出ると、轟木が初球を右中間に運んで同点に。ツーアウトをとられてから、わずか3球で追いつく。さらに第二打席で左中間二塁打を放っている山口(琉)が追い込まれながらスライダーを右前に運んで、これが決勝点となった。

守備面では西日本短大附のショート江口のスーパープレイが3つ飛び出した。4回一死一塁で中園の打球はショート左への強烈な一打。走者がスタートを切っていたか、少し逆を突かれた形となった江口だったが、すばやく身をひるがえすと打球に飛びついてショートバウンドで捕球し、6-4-3の併殺を完成させた。5回は先頭の福島のショート左を襲う打球を、スライディングしながら逆シングルでおさえてアウトに。9回も代打佐藤が三遊間に放った強打を好捕すると、三遊間の深いところからすばやく正確な送球で観客を沸かせた。いずれも球足の強い打球だった上、バウンドを合わせるのが難しかったが、抜群の反応と軽やかな身のこなしで全て処理した。

この日江口は無安打だったが、それを補って余りある堅守でチームの危機を救った。九州国際大付のショートには名手・尾﨑がいるが、この二人は見ている人を惚れ惚れとさせる守備を見せてくれる。

 

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