【観戦記】折尾愛真2-1福岡工(春季大会準々決勝)




【折尾愛真2-1福岡工(春季大会準々決勝)】

9回裏折尾愛真無死 近藤が左越えにサヨナラ本塁打を放ちホームへ

両校とも序盤から得点圏に走者を送りながら決定打を欠く展開となったが、折尾愛真が近藤のサヨナラ本塁打で接戦を制した。

初回一死三塁、3回二死二、三塁の先制機を逃した折尾愛真は7回、6番深田が四球を選ぶと、二盗を決めて無死二塁。近藤が送って一死三塁とし、8番田端の右前打で先制した。その後、福岡工に追い付かれたが9回裏、この回の先頭の近藤が左越えに本塁打を放って試合を決めた。

福岡工も2回一死一、二塁、3回一死二塁とチャンスを得点に結びつけられなかったが、先制された直後の8回、7番河野の代打・山本が中前打で出塁(代走永松)すると進藤が四球を選び無死一、二塁。9番政重の一塁前送りバントで三塁封殺を狙ったファーストの送球が逸れる間に、永松が同点のホームを踏んだ。さらに小川の送りバントで一死二、三塁と勝ち越しの好機を迎え、冨田三振のあと渡辺が左翼線への大きな当たりを放ったが、折尾愛真のレフト深田の好捕に阻まれ、一気に勝ち越せなかった。

折尾愛真の先発・田端は2~4回と先頭打者を出すなど序盤は苦しい投球が続いたが、ここの無失点で切り抜けると尻上がりに調子を上げ、終わってみれば3安打14奪三振の好投。パート決勝の飯塚戦に続く2桁奪三振で、福岡工打線を封じた。

第150回九州地区高校野球福岡大会準々決勝 (2022年4月2日・土/北九州市民球場)
        一二三四五六七八九  計HE
  福岡工   000000010  131

  折尾愛真  000000101  252
  福 岡 工  打安点  折尾愛真  打安点 ◆投手成績
(二)小 川 300 (二)謝名堂 310 福岡工 回 安球振責
(中)冨 田 400 (一)栗 本 200 鬼倉  2.2 1220
(左)渡 辺 410 (遊)江 崎 300 政重  5.1 4392
(一)田中遼 410 (中)重 富 310

(捕)村 上 300 (三)長 野 400 愛 真 回 安球振責
(遊) 宗  300 (左)深 田 300 田端  9 3314
(右)河 野 200 (捕)近 藤 311
打 山 本 110 (投)田 端 321 試合時間
走右 永松 000 (右)伊 藤 300 09:56~12:04
(三)進 藤   100
(投)鬼 倉 000
投 政 重 200
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
143105  2730  115228 2752
※公式記録ではありません

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折尾愛真・田端

折尾愛真の田端は130キロ前後の直球(この日最速134キロ)に2種類の縦に落ちる変化球を駆使。110キロ台の抜いた球はカウントを整える球、120キロ台のブレーキが効いたスライダーはウイニングショットとして使うことが多かった。
2回は安打と四球で一死一、二塁とされたが、河野を三振にとった時、二走の飛び出しが大きかったのを捕手の近藤が見逃さずに二塁送球、走者を誘い出して三塁で刺して併殺。4回は先頭の渡辺を右前打で出したが、自らのけん制で刺してピンチを防いだ。序盤はボールが先行したが、5回から7回までは失策の走者を一人出しただけ。3イニングス9個のアウトのうち6個を三振で取った。

福岡工先発の鬼倉

福岡工の先発は背番号10の鬼倉。力みのないフォームから130キロ超(同137キロ)の直球にスライダ―を使っての投球。初回四球、犠打と捕手の二塁牽制悪送球で一死三塁のピンチを背負ったが、江崎をスライダーで三振。重富には左中間に大きな当たりを打たれたが、センターの好守備にも救われて無失点。スライダーは直球と同じ軌道から落ちる感じで、折尾愛真の打者は打ち辛そうだった。

それでも福岡工ベンチは3回二死一、二塁の場面で早くもエース政重に替えてきた。政重は右スリークォーターから直球にスライダ―やチェンジアップを交えてくる。代わりばな江崎に粘られたが12球をかけて三振に仕留めると、四球と打撃妨害で無死二塁とされた4回も後続を断った。直球は120キロ台(同128キロ)と決して速いわけではないが、変化球をうまく混ぜながらテンポよく投げ込み、中盤は田端との投手戦を演じた。

福岡工・政重

試合が動いたのは7回裏。折尾愛真は四球で出た深田が近藤の時に果敢に二盗を仕掛けて成功。近藤が送って一死三塁として、田端が内角高めの直球を詰まりながら前進守備のセカンド右を破って待望の先制点をあげる。

直後の8回表、福岡工もすぐに反撃に出る。代打山本がカーブをセカンド頭上にはじき返すと、進藤が送りバントを二度ファールにしながら粘って四球を選び一、二塁。続く政重は一塁側へ送りバント。猛然とダッシュをかけていたファーストが三塁封殺を狙ったが、この送球が乱れて同点となった。

さらに小川が送って一死二、三塁と勝ち越しのチャンス。田端は冨田を縦のスライダーで空振り三振に打ち取り二死までこぎつけ、続く渡辺の打球は左翼ポール際に向かって切れながら伸びていく難しい当たり。折尾愛真のレフト深田が懸命に追いグラブをいっぱいに伸ばしてフェンス際で好捕。抜けていれば2点が入っていただけに、大きなプレーだった。

8回表福岡工無死一、二塁 政重の送りバントで三塁送球が逸れる間に永松が生還

8回裏、折尾愛真は死球と重富の左前に落ちる安打で、一死二、三塁と勝ち越しのチャンスを迎えたが、今度は政重が踏ん張った。長野をチェンジアップで空振り三振に仕留めると、先ほど好プレーを見せた深田を外角直球で空振り三振。田端も負けじと9回表は3者連続三振、勝負球はいずれも縦に鋭く落ちるスライダーだった。

両投手が流れを引き寄せようと必死の力投を続けたが、最後は近藤が120キロの内角直球を左翼席に運んで勝負を決めた。両校あわせて安打は8本、一方で三振は25個にのぼった。3人の投手が持ち味を存分に発揮した好ゲームだった。

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