【飯塚12-10福岡大大濠(秋季大会準々決勝)】
両校あわせて29安打13四死球を記録する激しい点の取り合いとなったが、先発全員安打の飯塚が福岡大大濠に打ち勝ってベスト4進出を決めた。
先制したのは飯塚。2回一死後、5番嶋田が左中間二塁打のあと金子のニゴロで三進、7番福田の一塁左への内野安打で生還した。逆転された直後の3回は、9番松田が右前打、縄田四球のあと五島の捕前バントは三塁で封殺されたが、吉村の右前打で一死満塁とし、白浜の左前打で2人を迎え入れた。なおも一死一、二塁から嶋田が右中間二塁打を放ち1点。二死後福田の中前打で白浜が生還してこの回4点を奪い逆転した。
2点差とされた7回は福岡大大濠2番手の若田部を攻め、2番五島の投手強襲安打とカバーした二塁手の一塁悪送球で無死二塁。吉村が送り、白浜死球で一死一、三塁から打者嶋田の時に暴投で五島が生還。嶋田死球で一死一、二塁とし、ここで登板した3番手の松尾から金子三邪飛、福田四球のあと、高橋の中前打でさらに1点を加え、7-3とリードを広げた。
7-8で迎えた8回は4番手・森本から二死後、吉村が左前打、白浜死球、嶋田四球で満塁とし、再登板した友納から金子の右前打で2者が還って再逆転。さらに一、三塁から福田の中前打で嶋田が生還。高橋も中前打を放って金子が還ると、なおも二死一、三塁から暴投で1点を加え、この回5点を奪って突き放した。
福岡大大濠は2回、6番北嶋がニゴロ失で出ると二盗と捕手の悪送球で三進し、日高の遊ゴロで同点。二死後、9番吉田が左越え本塁打を放って勝ち越した。5回は2番高尾が右前打、山下も中前打で続き無死一、二塁。黒田の投前バントは三封され、藤田も三邪飛に倒れたが、北嶋の中前打で1点を返した。
4点を追う7回は3番山下が右前に落とし黒田死球、藤田左前打で無死満塁。ここで北嶋が押し出しとなる死球を受けてまず1点。日高、代打龍は連続三振に倒れたが、続く吉田がこの日2本目となる本塁打を再び左翼スタンドに運び8-7と逆転した。再逆転された8回も一死から山下が遊ゴロ失で出ると、黒田も右前打で続き一、二塁。藤田のニゴロで二死二、三塁とし、北嶋が詰まりながらも中前に落として2点差に詰め寄った。
しかし驚異的な粘りもここまで。9回は2番手の中村に三者凡退に抑えられ、反撃も及ばなかった。
第149回九州地区高校野球福岡大会準々決勝 (2021年10月17日・日/北九州市民球場) |
一二三四五六七八九 計 HE 飯 塚 014000250 12173 福大大濠 020010520 10121 飯 塚 打安点 福大大濠 打安点 ◆投手成績 (右)縄 田 510(投二投遊)友納510 飯 塚 回 安球振失 (中)五 島 620 (右)高 尾 310 白浜 8 12679 (左)吉 村 520 (遊投)山下 530 中村 1 1000 (投)白 浜 322 (中)黒 田 410 投 中 村 000 (捕)藤 田 520 大 濠 回 安球振失 (捕)嶋 田 421 (左)北 嶋 424 友納 4.1 8125 (五)金 子 512 (三一三)日高501 若田部 2 2211 (二)福 田 433 (一)福 澤 200 松尾 0.2 1100 (一)高 橋 522 投 若田部 100 森本 0.2 1223 (遊)松 田 520 投 松 尾 000 友納 0.2 5002 ーーーーーーーーーーー 打 龍 100 山下 0.2 0100 ーーーーーーーーーーー 投 森 本 000 ーーーーーーーーーーー 一 中 村 000 試合時間 ーーーーーーーーーーー 打 井上大 100 15:01~18:00 ーーーーーーーーーーー(二三二)吉田425 振球犠盗残 打安点 振球犠盗残 打安点 671011 421710 86010 401210 ※公式記録ではありません |
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両校の意地と意地がぶつかり、3時間にわたって激しい攻防が繰り広げられた。
福岡大大濠の先発のマウンドには背番号1の左腕森本ではなく、前チームで強肩好守の三塁手として活躍した友納が上がった。友納は小柄ながら130キロ台半ば(この日最速137キロ)の速球に加え、縦に落ちるスライダー、100キロ台のカーブを持つ。2回は打ち取った当たりが内野安打になる不運もあって先制されたが、まずまずの立ち上がり。
2巡目に入った3回は2安打と四球で二死満塁。ここで白浜を2-2と追い込みながら、決めにいったスライダーが外れたのが痛かった。3-2となり再び投じたスライダーを三遊間に運ばれ、続く嶋田、福田にもスライダーを叩かれて4失点。その後は無得点に抑えたが、5回途中まで投げて8安打1四球で降板。直球は基本低めにきていたが、甘く入ったスライダーを飯塚打線は見逃さなかった。
一方の飯塚は、エース白浜が先発。序盤は手元でスッと動く120キロ台のスライダーと130キロ台後半(この日最速145キロ)の直球を軸に、時折130キロ台前半の鋭く落ちるスライダーを交えてきた。しかし福岡大大濠は初回から白浜の球をとらえ、2回は9番の吉田が137キロの直球を左翼席に運び、5回には3安打を集めて1点を返す。
福岡大大濠は5回途中から友納に代えて右サイドハンド・若田部を送り込む。若田部は5回、6回と無得点に抑えたが、7回一死三塁から白浜に与えた死球で動揺したか、直後の球が暴投になり1点を献上。続く嶋田にも死球を与えたところで降板。4番手の松尾がタイムリーを浴び7-3となって勝負あったかに見えたが、試合はここから激しく動いた。
4点を追う福岡大大濠は7回裏、2本のヒットと死球で満塁とすると、北嶋の押し出し死球で3点差に迫り、なおも無死満塁。白浜も踏ん張り、日高をスライダーで、代打龍を141キロの直球で連続三振に打ち取り、二死までこぎつけた。打席は2回に本塁打を放っている吉田。その初球を振り抜くと、2回と同じような軌道を描いた打球は再び左翼席へ。逆転満塁本塁打という劇的な一打で、福岡大大濠ベンチの興奮も最高潮に達した。
そして照明塔に灯が入った8回表、遂にエース森本がマウンドへ。なぜここまで登板しなかったのかは不明だが、試合途中もブルペンで肩を作っていたことからケガではなさそうだった。1番縄田に98キロのカーブから入ると最後は122キロのスライダーで空振り三振。続く五島もフルカウントから104キロのカーブで連続三振。流れは完全に福岡大大濠に傾いていた。しかし続く吉村にスライダーを三遊間に運ばれると、白浜には死球。白浜は前の打席も死球を受けていたこともあり飯塚ベンチが騒然となる中、続く嶋田にはストレートの四球を与えてここで森本は降板。
投手を使い果たした福岡大大濠は再び友納がセカンドからマウンドに上がったが、金子が1-1から叩いた一打は一二塁間を抜ける。三塁から吉村が還りまず同点、さらに二塁から白浜も懸命の力走、際どいタイミングだったが間一髪ホームを陥れて逆転に成功した。さらに福田、高橋も連続タイムリー。暴投もあってこの回5点を奪い返して12-8となり、今度こそ決着がついたと思われた。
しかし福岡大大濠もその裏、敵失をきっかけに二死二、三塁から北嶋がセンター前に落とし2点差に迫り、一打同点の点差に縮めて9回へ。9回表は友納が一死から連打を浴びたところで福岡大大濠はショートの山下をマウンドに上げたが二死後、白浜が3打席連続となる死球を背中に受ける。憤然とする飯塚ベンチに審判たちが駆け寄ってなだめる事態となった。
9回裏のマウンドには1年生右腕の中村が上がった。白浜の球数は8回を終えて170球。それでも8回は140キロ台の球を投げており、死球を受けていなかったら続投していたかもしれないが、ともかく飯塚ベンチは白浜を完全に下げて中村に賭けた。
ところが中村は投球練習で制球が定まらない。場内がざわつく中で打席に入った代打井上大に対して3球連続でボール。もうひと波乱が起きそうな雰囲気だったが、ここから2つストライクを取ると、最後は138キロの直球で空振り三振。2本の本塁打を放っている吉田にも141キロの直球で押し、最後は一邪飛。友納の打球をレフトの吉村が捕球した時、スコアボードの時計の針は18時を指していた。
福岡大大濠は森本を欠いて必死の継投を見せたが、飯塚打線を抑えられなかった。打線も白浜から12安打を放つなど力のあるところを見せたが、投打に飯塚が一枚上回っていた印象。両校あわせて6つの死球があって終盤は少し荒れ気味となったのは残念だったが、打順に関係なく130キロ後半から140キロ台の球を鋭く打ち返す打者が並ぶ、レベルの高い試合だった。
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