【観戦記】福岡大大濠4-1春日(選手権大会5回戦)




【観戦記】福岡大大濠4-1春日(選手権大会5回戦)

▼5回戦(19日・春日公園)
福岡大大濠 100 000 120=4
春   日 100 000 000=1
【福】毛利【春】飯田→小早川

8回表福岡大大濠一死二塁、川上が左前適時打を放つ

福岡大大濠が春日とのきわどい勝負を制し、準々決勝進出を決めた。

福岡大大濠は初回一死後、2番友納が右越え本塁打を放って先制。4~6回はいずれも得点圏に走者を進めながら得点できなかったが7回、先頭の6番藤田が左中間本塁打を放って勝ち越した。
8回は一死から友納が四球を選ぶと二盗を決め、3番川上の左前打で生還した。さらに一死一塁から松尾(光)は中飛に倒れたが、5番黒田のライト右への安打で三塁を狙った川上が、中継が乱れる間に本塁を突いて、この回2点を加えた。

春日は初回、林が四球で出ると、大和の時にバスターエンドランをかけ、これが三塁線を破るヒットとなって無死二、三塁(大和は三塁への送球間に二進)。3番大林の遊ゴロの間に林が生還して追いついた。その後も2回から7回まで毎回のように得点圏に走者を進めたが、福岡大大濠の先発毛利に要所を抑えられ得点できず、好投を続けていた飯田が一発を浴びて力尽きた。

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序盤から中盤にかけて福岡大大濠・毛利、春日・飯田の両左腕による、長いしのぎあいが続いた。

福岡大大濠・毛利

今大会初先発の毛利は、立ち上がり制球に苦しんだ。初回先頭の林に四球を与えると大和に三塁線を破られ、内野ゴロですぐに追いつかれる。130キロ台中盤(この日最速138キロ)の直球、得意のチェンジアップが決まらず、4回までに3つの四球を与え70球を要した。クイックを試したり、カーブでカウントを整えながらの投球となった。
中盤以降は徐々に制球も定まるようになりチェンジアップでも三振がとれるようになったが、春日打線が一息をつく余裕を与えない。しぶとくヒットを重ね、4回と5回は二死一、二塁、6回は二死三塁と1-1の均衡が続く中、毎回のようにプレッシャーをかけ続けた。それでも100キロ台前半のカーブ、スッと沈むチェンジアップ、力強い内角直球などを使い分けながら決定打は許さずゼロを重ねていくあたりは、さすがのピッチングだった。

飯田も初回いきなりの本塁打を浴びたが、こちらも130キロ台前半(この日最速137キロ)の直球に大きなカーブを交えながら、2回3回は三者凡退で退ける。直球が内外角の低めいっぱいに決まり、6回までに打たれたヒットは友納に許した3本だけ。四死球も1つだけと安定感では毛利を上回った。4回一死二塁では4番松尾を内角低めいっぱいの直球で見逃し三振。6回は友納の二塁打と四球のあと重盗を決められ、一死二、三塁で再び松尾を迎えたが、内角を厳しく攻めた後、最後は外角低めの直球で空振り三振と、見事な投球を見せた。

春日・飯田

1-1のまま緊迫感をはらみながら、試合は終盤へ。膠着状態の試合を動かしたのは1年生・藤田の一発だった。

7回、初球の132キロの直球をすくい上げると、左中間席に飛び込む本塁打。均衡が続いた後だけに重みのある1点となった。7回裏、毛利は二死二塁で4番興膳を迎え、最後の大きな山場を迎える。興膳は133キロの直球をとらえたが、センター正面へのライナー。春日もコンパクトな打撃で毛利の直球をはじき返し、7安打を放って得点をうかがったが、ここぞの投球で毛利が一枚上回った。

飯田は2本の本塁打に泣いた形となったが、毛利と堂々の投手戦を演じた。まだ2年生。130キロ台半ばの直球はまだ伸びる余地がありそうだし、来年は主役の一人として、また戻ってくることだろう。8回黒田に右前打を浴びたところで、大きな拍手を浴びながら降板した。
2番手の小早川も130キロ台なかばの直球、大きなカーブを使って後続を断つと、9回も三人で仕留めて好救援を見せた。

春日の2番手・小早川

福岡大大濠では2番サード友納が飯田の攻略に貢献し、この試合でのキーマンとなった。初回は滞空時間の長い飛球が風にも乗っての本塁打で、初先発の毛利がマウンドに登る前に援護できたのは大きかった。4回は三遊間へのゴロで俊足を飛ばして内野安打にしてチャンスメイク、6回は左翼線二塁打を放ち、重盗を決めて飯田を揺さぶった。8回は四球を選ぶと二盗を決め、続く川上の左前打できわどくホームを陥れた。守っても4度の守備機会を堅実にこなし、走攻守に活躍した。

8回1点を加えたあと二死一塁から、黒田の右翼線への安打で三塁を突いた一塁走者の川上が、中継が乱れる隙を突いて本塁突入したが、これは三塁コーチャーの好判断。突っ込ませるか微妙なタイミングだったが、思い切って腕を回したファインプレーだった。

守りはこの日も無失策。打線にやや迫力に欠けるきらいはあるが、守備、走塁の隙のなさは大会屈指。4試合で失点はわずかに2点。得点を許さない堅守で福岡大大濠が準々決勝までたどり着いた。

 

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