【観戦記】九産大九州6-2福岡第一(選手権大会3回戦)




【観戦記】九産大九州6-2福岡第一(選手権大会3回戦)

▼3回戦(15日・小郡)      RHE
福岡第一  100 000 001=274
九産大九州 030 000 21x=671
【福】高橋(2.2/3)→冨田(2.1/3)→西元(1.2/3)→沢田(1.1/3)
【九】古川(9)
〈本〉阿部(九)〈二〉井元、朱(福)

7回裏九産大九州二死二塁、阿部が左中間本塁打を放つ

先発の左腕古川が福岡第一を2点に抑える好投を見せた九産大九州が、逆転で福岡第一を下した。

1点を追う九産大九州は2回、4番小島が中前打。石田の投前バントは二封されたが、打者久保の時にけん制悪送球で二進。久保中直で二死となったが、矢野が四球を選び、米田のセカンド前内野安打で満塁とし、9番古川が右前に2点適時打を放って逆転した。なおも一、三塁から1番井手の中前打で米田が生還、この回3点を奪った。

その後は、福岡第一の冨田、西本と小刻みな継投の前に得点できなかったが、7回一死から、井手の三塁前セーフティバントが投手の一塁悪送球を誘い二進。井上左飛のあと、3番阿部が左中間本塁打を放って2点を追加した。8回は5番石田の遊ゴロで一塁ベースに入ろうとしたファーストが転倒して送球を逸らし(記録は失策)、無死二塁。久保が送り、7番矢野が一塁線にスクイズを決めてリードを広げた。

福岡第一は初回、井元が右中間二塁打で出塁。辻の三塁前送りバントが内野安打となり、大塚が詰まりながらレフト前に落として先制した。しかし続く無死一、二塁のチャンスを潰すと、2回以降は立ち直った古川の前に7回まで2安打に抑えられて沈黙。8回は7番北井の中前打をきっかけに一死満塁としたが、代打永井が浅い中飛、3番大塚も右飛に倒れて得点できなかった。
9回、4番朱が左中間二塁打で出ると一死後、三盗を決め、古川の暴投で1点を返すにとどまった。

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試合の興味は、九産大九州のエース古川を福岡第一打線がどう攻略するか、にあったが、古川に軍配が上がった。

九産大九州・古川

持ち球には直球にスライダ―、チェンジアップ、それにスローカーブがあるが、投球の軸は直球とスライダー。直球は手元でピュッと伸びる感じで、内角球で詰まらせる。コースを突いているためか、芯で捕らえられても野手の正面に飛ぶ。直球が伸びているのでスライダ―も効果的で、タイミングを外してフライを打たせる。
立ち上がりこそ長打から失点したが、しり上がりに調子を上げ、4回6回7回はいずれも10球、5回もわずか11球でテンポよく片づけた。四球も8回に与えた1つだけで、抜群の安定感だった。

福岡第一もチャンスがないわけではなかった。特に初回は井元の二塁打のあと、送りバントが内野安打になり、詰まった当たりがタイムリーになるなど、流れも味方につけてわずか7球で先制点を奪う最高の立ち上がり。なおも無死一、二塁のチャンスだったが、4番朱は大きな当たりながらセンター左への飛球、宮島はニゴロ併殺打に倒れ、追加点が奪えなかったことが結果的に響いた。

1回表福岡第一無死一、三塁、大塚の左前打で井元が生還

3回も富岡が内野安打で出たが、井元は初球を打ち上げて右飛。辻は送りバントを試みたが二度ファールとなり、強攻に出てニゴロとちぐはぐな攻めになってしまった。4回も先頭の朱が左前打で出たが、宮島ニゴロ、細川は投ゴロ併殺打。無死から出した走者を生かせなかった。

最後の見せ場は8回にやってきた。中前打の北井を送り、三ゴロ失と四球で一死満塁。ベンチは2番辻に替えて代打永井を送り勝負をかけたが、浅い中飛に倒れ、大塚も直球に押された右飛。最後まで古川を攻略できなかった。9回朱が二塁打と三盗、暴投でホームを踏んで意地を見せ、福岡第一の今年の夏が終わった。

福岡第一の先発・高橋

福岡第一の先発は背番号10の高橋。手元で小さく沈むスライダーを交え、初回は三者凡退と上々の滑り出し。2回の3失点は、二死二塁から矢野に与えた四球が分岐点だった。米田はセカンド前のボテボテの当たりが内野安打になる不運もあり満塁とされ、古川に投じたスライダーも悪い球ではなかったが巧く合わせられ、井手には初球の直球を狙われた。

福岡第一・冨田

3回二死から登板した冨田は、4回5回と得点圏に走者を背負いながら無失点で踏ん張る。6回からマウンドに上がった西本は力のある直球で押し6回は三者凡退。7回はセーフティバントを処理した一塁送球が逸れてピンチを招き、二死をとったところでエースナンバーをつけた沢田に託す。だが沢田が登板直後、阿部に痛恨の一発を浴び、必死の継投も実らなかった。

福岡第一・西本

九産大九州は7安打で6点とチャンスにタイムリーが効果的に出た。阿部の一発は左中間を破るとは思ったが、予想以上に伸びてスタンドまで届いた。8回は一死二塁から二つの犠牲バントで1点をもぎ取る手堅さも見せ、大技小技を織り交ぜての理想的な点の取り方ではなかったか。
守備では4回一死一塁で投ゴロ、併殺を狙った古川の二塁送球がショートバウンドになったが、ショートの井手がうまくさばいて併殺を完成させ、流れを渡さなかった。

次は優勝候補・九州国際大付との一戦。山本、柳川ら強力投手陣との投げ合いに、古川が挑む。

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