【観戦記】西日本短大附7-0祐誠(筑後地区大会準決勝)




【西日本短大附7-0祐誠(筑後地区大会準決勝)】

2回裏西短大附二死二塁、今田の遊内野安打で穴井が生還し先制点をあげる

 じわじわとリードを広げた西日本短大附が、7回に長打攻勢で一気に勝負を決めた。

 初回無死一、二塁の好機を逃した西日本短大附は2回、一死から6番穴井が四球を選ぶと和田が送って二死二塁。今田の三遊間へのゴロをショートが飛びついてはじく間に、二塁から穴井が生還して先制した。4回は先頭の4番林が左中間本塁打を放って加点。6回は遊ゴロ失で出た穴井を和田が送って一死二塁。今田は中飛に倒れたが、大嶋四球のあと、1番池田の右前打で3点目を挙げた。
 7回は一死後、林が左中間に落ちる二塁打で出ると、蓑田、穴井が連続四球で一死満塁。7番和田のニゴロで4-6-3の併殺崩れの間に林が生還してまず1点。なおも二死一、三塁から今田が中越え3点本塁打を放って7-0とし、コールド勝ちを収めた。

 祐誠は2回、先頭の4番堀田が左翼線二塁打で出塁。青木のバントが投飛となったあと、春山の遊内野安打で一死一、三塁としたが後続が凡退。3回も一死から1番吉田が右中間二塁打で出たが横山三ゴロ、光冨遊ゴロで無得点。4回は堀田四球、青木左前打、春山の犠打でつくった一死二、三塁の好機も逃し、5回も先頭の佐保が右前打で出ながら生かせず、投手陣を援護できなかった。

第67回筑後地区高校野球大会準決勝 (2021年5月2日・日/大牟田延命球場)
       一二三四五六七八九 計HE
 祐 誠 0000000   051

 西短附 0101014   760(7回コールド)
 祐   誠 打安点  西短大附  打安点 ◆投手成績
(遊)吉 田 310 (中)池 田 321 祐 誠 回 安球振失
(二)横 山 300 (二)疋 田 200 光冨  2 1311
(投三)光冨 300 (一)山口雄 400 佐保  4.2 5635
(一)堀 田 110 (遊) 林  321 

(中)青 木 310 (左)蓑 田 300 西短附 回 安球振失
(左)春 山 210  右 山口紘 000 大嶋  7 5270
 左 八 並 000 (三)穴 井 100 
(右)谷 川 300 (捕)和 田 101 試合時間
(捕)西 村 300 (右左)今田 324 12:57~14:50
(三)平 田 100 (投)大 嶋 200 
 投 佐 保 210          
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
72106  2450    49418 2267
※公式記録ではありません
西短大附・大嶋

—————-
 序盤から両校とも走者を得点圏に送り、得点をうかがう展開。内容的には6回まで安打数で上回った祐誠が押し気味だったが、相手のスキを突いた西日本短大附が勝利を引き寄せた。

 2回、西日本短大附は四球の走者を犠打で送り、今田の内野安打でしぶとく先制。4回も一死一塁から和田が、5回も無死二塁から2番疋田がそれぞれ送ってチャンスを広げた。いずれも得点にはつながらなかったが6回、和田がこの日3つ目の送りバントを決めると、池田の右前適時打で貴重な追加点をもぎとる。先発の大嶋の調子から見て、この3点目で勝負があった感じがした。

祐誠の先発・光冨

 一方の祐誠は2回無死二塁からの送りバントが投飛になり、その後一死一、三塁とチャンスを広げたが無得点。5回無死一塁では送りバントがファールになって追い込まれ、最後は三振。直後に内野ゴロ併殺を喫するなどリズムがつかめなかった。守りでも6回は失策から失点を許し、7回も一死満塁で内野ゴロを併殺にできずに走者を残した直後、3点本塁打を浴びて試合を決められた。

 得点圏に走者を背負ってからの西日本短大附の先発・大嶋の投球も見事だった。ゆったりとしたフォームからキレのある直球にチェンジアップ、鋭く落ちるスライダーを使った投球。ピンチになるとギアを一段上げ、直球の威力が増す感じだった。2回一死一、三塁では谷川を直球で押し込んで一飛。西村は高めの直球で空振り三振。4回の一死二、三塁でも谷川を捕邪飛、西村をやはり高めの直球で三振に打ち取るなど、力のある直球で抑え込んだ。2年前の夏に準優勝した時のエース江崎投手も走者を出しながら得点を与えない投手だったが、その江崎投手を彷彿とさせる圧巻の投球だった。

祐誠・佐保

 祐誠の先発は背番号5の光冨。右上手から縦に落ちてくるスライダー系の変化球を軸にした投球だったが立ち上がり制球に苦しみ、いきなり連続四球。ここは自ら牽制で二塁走者を刺すなど無失点で抑えたが、2回も一死から四球で出した走者を犠打と内野安打で還された。2回1安打3四球という内容で、この回で降板した。

 3回からはエースナンバーを付けた大型左腕の佐保が登板。テイクバックはさほど取らずに鋭く曲がるスライダー、スピードを殺したチェンジアップ系の変化球を投げてくる。いきなりスライダーで連続三振を奪ったが4回、そのスライダーを林に左中間スタンドに運ばれた。続く蓑田にも大きな中飛を打たれ、ここから慎重になりすぎたか、四死球が増えた。4回の二死一、二塁、5回の一死三塁は踏ん張ったが、6回の二死一、二塁では池田に右前に痛打を浴びた。7回は林の二塁打と2つの四球で満塁。併殺崩れで1点を失うと、今田に一発を浴びた。ただ、6回は味方の失策からピンチを招き、7回の林の二塁打も深く守っていた外野手の前に落ちたもの。併殺と思われた当たりが送球ミスで走者が残るなど、不運なところもあった。四死球が6つと多かったが、左打者の外に大きく逸れていく変化球には西短の打者も手こずった。

 西日本短大附は池田、林、今田と右打者3人が2安打ずつを放った。林はさすが4番という大きな一発。今田は前の打席で詰まった中飛に打ち取られていたが次の打席できっちり修正、小柄ながらバックスクリーンに叩き込んだ。
 祐誠も5回までに5本のヒットを重ねて打力のあるところを見せた。守っても正面の難しいライナー性の打球を好捕したセンター青木、センターに抜けようかというゴロをスライディングしながら逆シングルですくい、一塁で刺したセカンド横山などの好プレーもあった。ただ、勝負処でのプレーの精度の差が勝敗をわけた。

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