【観戦記】戸畑９－２九産大九産（春季大会準々決勝）

【戸畑９－２九産大九産（春季大会準々決勝）】

　９安打で９点と効率の良い攻めを見せた戸畑が、竹下の好投で九産大九産を下した。

　戸畑は初回、先頭の藤野がライト右への二塁打で出ると、続く藤江の右飛で三進し、木村の三ゴロの間に先制のホームを踏んだ。同点で迎えた３回は藤野が死球で出塁。藤江の送りバントを処理した捕手の一塁送球が逸れて無死一、二塁。木村が送った後、４番大津が三遊間を破ってまず１点。さらに西井が四球を選んで満塁とすると、女鹿は二飛に倒れたが、７番坂根の右前打で２者が還ってこの回３点を奪った。
　５回は、中前打で出た木村が投手の牽制悪送球で一気に三塁まで進み、一死後、西井の中犠飛で１点を追加。８回は６番女鹿が右中間を破る二塁打を放つと、中継が乱れる間に三進し、続く坂根の左前打で生還した。さらに竹下が送り、赤星の右前打で一死一、三塁から藤野の右越え三塁打で２点を追加。藤江四球のあと、木村の一ゴロで３－６－３の併殺崩れの間に藤野が生還して、コールドゲームとなった。

　九産大九産は２回、４番吉川が中前打、続く鶴も左前打を放ち、遠藤が送って一死二、三塁。五島死球で満塁とし、８番細井の遊ゴロ（二塁封殺）の間に吉川がホームを踏んで同点に追いついた。４点を追う８回は吉川が中前打、鶴も右前打で続き、遠藤のニゴロでそれぞれ進塁し一死二、三塁。続く五島の三ゴロが失策を誘って１点を返した。
　しかし、なおも一死一、三塁と追加点のチャンスに後続が倒れ、戸畑を上回る１０安打を放ちながら、竹下に要所を抑えられた。

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　戸畑が８つの四死球や敵失を効率よく絡めた攻撃で好機に着実に得点を重ね、竹下が要所を抑える粘りの投球でベスト４進出を決めた。

　大きかったのが同点で迎えた３回の３点。死球、犠打と敵失、犠打で労せず二、三塁の好機を得ると、４番大津がショート左を破って勝ち越し。さらに四球で満塁と好機を広げると坂根もしぶとく右前に落として２者を迎え入れた。５回の追加点もヒットで出た木村が牽制悪送球で三塁まで進み、犠飛で得た１点。８回は女鹿が右中間を破ると、中継の乱れを突いて三塁まで進み、坂根が前進守備のショート左を破ってダメ押し。相手のミスで得た好機を確実にものにして、点差を広げていった。

　このリードを先発の竹下が守り切った。やや体をひねって始動する右のスリークォーターで、小柄ながらなかなか力強い直球を低めに投げ込んでくる。内角もよく突けており、九産大九産の打者は、この直球に詰まらされたり、差し込まれたりする場面も多かった。ピンチには右打者の外に逃げるスライダーでタイミングを外し、凡打に仕留めた。制球力にもすぐれ、死球を２つ与えたが四球はゼロ。１０安打を許しながらも要所を締め、失点を最小限に抑えて主導権を渡さなかった。
　野手ではトップバッターの藤野が長打を２本放った。特に８回の三塁打はライトのラバーフェンスに直接当たる大きな当たり。ショートの守りでも、７回のピンチで三遊間浅いゴロをダッシュよくさばく好プレーを見せるなど、攻守の要といった存在。２安打の９番赤星も小柄な左打者だが、ミートがうまくセンスを感じさせる。ともに１年秋からレギュラーとして出場しており、試合慣れをしている印象。

　九産大九産は初回を除いて毎回のように走者を出したが、チャンスで竹下のスライダーに泳いで飛球をあげるなど、あと一本が出なかった。また、２回一死満塁では、遊ゴロ併殺崩れの間に二塁走者も本塁を狙ったがタッチアウト。７回も一死二塁から川杉の右前打で内野返球が乱れるのを見て二塁走者が本塁を突いたが憤死するなど、二つの走塁死も痛かった。

　先発は背番号１０の梶原。右上手から投げ下ろす直球に大きなカーブを交えての投球だったが、直球が高めに抜けるなど制球に苦しみ、３回までに５つの四死球を与えリズムに乗れなかった。３回は死球からつくったピンチで２本のタイムリーを浴び、踏ん張れなかった。
　４回からはファーストから吉川がマウンドへ。右サイドハンドから直球とスライダーをテンポよく投げ込み、７回までの４イニングスを２安打１失点に抑えて好投したが、疲れの見えた８回は犠打を挟んで４本の長短打を浴びて力尽きた。守りでも３つの失策がいずれも失点につながるなど、最後まで流れを掴めなかった。

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