【観戦記】福岡大大濠6-4筑陽学園(秋季大会2回戦)




【福岡大大濠6-4筑陽学園(秋季大会2回戦)】

※本記録は公式記録ではありません

 両校合わせて8人の投手が登板し2時間30分を超える長い試合となったが、福岡大大濠が筑陽学園の追撃を振り切って競り勝った。
 福岡大大濠は初回、三塁内野安打で出た平山を川上が送り、山城の左前打と暴投で一死二、三塁とし、深浦の遊内野安打で先制した。なおも一死一、二塁から松尾の左前打で山城が生還して、この回2点を奪った。
 1点差とされた4回裏は二死後、8番白石の三ゴロが一塁悪送球を招き、続く毛利が右翼線二塁打を放って1点を追加。5回は死球で出た川上を山城が送り、深浦の右翼線二塁打で川上が生還。さらに松尾も左前打で続き、一死一、三塁から6番宮本の三ゴロの間に深浦が還って5-1と突き放した。
 再び1点差に迫られた8回裏には9番古川が四球、平山の一塁線へのバントで打者にタッチしたファーストのグラブからボールがこぼれ(記録は失策)、無死一、三塁。渡邉はスリーバント失敗に終わったが、山城が右前打を放って貴重な追加点を挙げた。

 

5回裏福岡大大濠一死二塁、深浦が右翼線二塁打を放つ

 3回まで毎回のように走者を出しながら得点できなかった筑陽学園は4回、4番増田の遊ゴロが一塁悪送球を招き出塁すると、濱田が送って一死二塁。小川右飛の後、7番松本左前打で二死一、三塁とし松波の中前打で1点を返した。6回は増田四球、濱田三振、小川死球で一、二塁とし、松本の左越え二塁打で2人が還って2点を奪った。
 8回にも松本が右前打で出ると、松波の遊ゴロで一死二塁。代打錦織は中飛に倒れたが、1番西村がセンター右を破る三塁打を放って1点差としたが、追撃もここまで。1回、3回、7回と得点圏に走者を送るなど塁上を賑わしながら決定打を欠き、7回途中から登板した福岡大大濠の3番手・山城に追撃を断たれた。


 新チームを結成して約1カ月、甲子園帰りの筑陽学園は半月足らず。両校とも特に投手陣については整備途上という中で、中軸を中心とした打力の差で福岡大大濠に軍配が上がった。
 福岡大大濠は1年生左腕の毛利が先発。130キロ前後の直球はまずまず力がありそうでスライダー、カーブを交えた投球を見せた。ただ、高く浮く直球が目立ち6回途中で降板するまで5四死球。途中、低めに集まるようになったかと思えば、再び高く浮き始めるなど安定感を欠いた。それでも5回1失点と粘ったが、6回、四死球の走者2人を置いて松本に2点タイムリー二塁打を浴びたところで降板。

福岡大大濠・毛利

 2番手はエースナンバーを背負う長身右腕の山下。前チームから実績は十分で直球は144キロを計測したが、課題の制球に苦しんだ。一死二塁で登板した6回、2つの四球を与えて招いた二死満塁のピンチは何とか無失点で切り抜けたものの、7回も先頭打者を歩かせたところで降板。高めに抜ける直球が多く、打者5人に3四球では交代もやむなしか。

福岡大大濠・山城

 ここでセンターの深浦が登板かと思われたが、マウンドに立ったのはショートの山城。右上手からのオーソドックスなフォームから投げ込む直球は140キロ超を連発し、120キロ台のスライダーもキレがある。7回無死一塁で後続を断つと、8回は松本、西村に短長打を浴びて1点差に迫られなおも二死三塁という同点のピンチを迎えたが、2番中山を外角直球で三振に打ち取り、9回も2つの三振を奪って筑陽学園の反撃を退けた。制球力もあり、この日登板した3人ではもっとも安定感があった。深浦ともども打者との二刀流での起用となりそうだが、山城は球威があり制球力もあるため、抑えとしての起用となりそうだ。

 打線は3番に山城、4番に深浦を据えた。深浦は初回の先制内野安打こそ打ち取られた当たりだったが、3回一死一塁では右前に快心の一打でチャンスを広げ、5回の一死二塁では右翼線へのタイムリー二塁打を放つなどこの日は内野安打2本を含む4安打2打点の活躍。5打席目も一死一、二塁でレフト右を襲うライナー性を当たりを放ったが、レフト濱田のダイビングキャッチに阻まれた。山城も2安打1打点、5番に座った1年生の松尾も2安打1打点と中軸がよく振れていた。
 守備では途中出場していたセンターの渡邊が8回一死二塁のピンチで錦織の右中間への当たりを俊足を生かして好捕。続く西村の当たりも完全に抜けたと思われたセンター右への当たりを追いつき、最後は打球をこぼしたがここでも広範な守備範囲を披露、小柄ながら守備のスペシャリストとしての活躍を予感させる。

筑陽学園・坂本

 筑陽学園の先発は1年生左腕の藤田。夏の大会初戦(福岡工戦)でも先発しており、期待の大きさがうかがわれる。スリークォーター気味のフォームから130キロ前後の直球を投じてきたが、先頭の平山にサード右へ強い当たりを打たれ(グラブをはじく内野安打)、山城にサード右を破られると、深浦は打ち取った打球だったが三遊間に転がる不運な内野安打となり先制を許した。続く松尾には2-0からストライクを取りにいった高めの球をショート頭上にはじき返され、早くもここで降板した。
 2番手は背番号1の右腕坂本。120キロ台の直球とスライダーをテンポよく投げ込み、一死一、二塁のピンチをしのぐと、2回は三者凡退。3回は一死一、三塁のピンチを招いたが中飛で本塁を突いた走者をセンター中山の好返球にも助けられ無失点で切り抜けた。4回も簡単に二死を取ったあと、三ゴロ失で走者を出し毛利には0-2と追い込みながら、高めの吊り球が中途半端な高さに浮いて右翼線に運ばれた。坂本は死球を一つ与えたが無四球で安定感があっただけに、もう少し引っ張るかと思ったが、ここで3番手の岩室へスイッチする。

筑陽学園・中山

 岩室も今夏のマウンドを経験している右腕。4回は後続を断ったが、5回死球、犠打のあと深浦にタイムリーを浴びて早くも降板。篠崎を挟んで6回からはセンターから中山がマウンドへ。今夏は、実質的にエースの西舘に次ぐ2番手投手として優勝に貢献。新チームではエースナンバーを背負うと思っていたが、この日は2番センターで出場していた。6、7回と内野安打の走者を出したが、130キロ台前半の直球にスライダーを低めに集めて無失点。特に右打者の内角低めに落ちてくるスライダーは打ち辛そうだった。9回こそ初めて出した四球の走者を山城の好打で返されたが、この日登板した5人の中では安定感は一番で、さすがと思わせる内容だった。

4回表筑陽学園二死一、三塁 松波が中前適時打を放つ

 打線は7安打。詰まった当たりのヒットも多くやや迫力に欠けた。その中で途中出場の松本(2年・右)が3打数3安打と気を吐いた。最初の打席となった4回二死二塁では、高めの甘い直球を逃さず叩いて左前打、松波のタイムリーにつなげた。6回は一死一、二塁で登場すると、レフト頭上をライナーで破るタイムリー二塁打。8回は先頭打者として登場、山城の140キロの直球をセカンド頭上にはじき返しチャンスメイク。西村のタイムリーで生還した。体格はどちらかと言えば小柄な部類に入るが、腰の据わった力強い打撃を見せる。
 1番西村が山城から放ったセンター右への三塁打も大きな当たり。2つの四球を選び1番打者としての役割も果たした。

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2 Comments

  1. 福岡の高校野球様
    こんばんは。
    筑陽学園ですが、春選抜8強、選手権は初戦敗退でしたが、よく頑張りましたね。選抜でピリッとしなかった西舘投手ですが成長した姿を見せてくれました。
    打線も作新学院の林投手に抑えられましたが、9回の攻撃は春8強の意地でしょう。勝つにはあの場面しかなかったです。
    さて筑陽学園ですが早々と敗退。筑陽をひいきにしている訳ではありませんが、そこには疑問が。
    福岡の高野連に言いたいのですが旧チームは選手権出場でお盆前まで甲子園にいたと思います(勝ちす進んでいたらまだ長かった)。新チームはそれからです。選手権の予選で敗退したチームは敗退した翌日からチームを作っていくと思いますし、期間がまるで違います。秋季大会前の4地区に別れた新人戦も出来ます。選手権出場のチームは出場出来ませんし、監督さん他、関係者の挨拶周りもあります。チームを見る時間も少ないです。
    来年からは、せめて選手権に出場したチームの秋季大会の初戦はくじを引くのではなく最初から最終日に組んでもらいたいですね。

    • 明太子ぼうや さん

      お久しぶりです。コメント、ありがとうございます。
      まず筑陽学園は前年度のチームの中では実力的に頭一つ抜きんでいていた印象でした。
      それでも強いチームが必ずしも勝つわけではないのが夏の大会ですから、
      その重圧の中での春夏連続出場はお見事でした。

      甲子園では、作新学院のソツのない試合運びに敗れましたが、
      作新のような攻撃的な守備、走塁を見せるようなチームは福岡では見当たらないので、
      またひとつ福岡に宿題を持って帰ってきてくれたと思っています。

      秋の大会の日程に関しては、確かにおっしゃる通りですね。
      開幕から2週間の余裕があれば随分違うと思います。
      現状は、選手権出場校の救済措置として無条件でのシード指定がありますが(2014年まではそれすらありませんでしたが・・)、
      シード指定は外して日程を優遇する方が、全体の公平性が保てるかもしれません。

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