【観戦記】福工大城東6-3青豊(選手権大会4回戦)




1回表福工大城東二死一、二塁 松永が中越え二塁打を放つ

【福工大城東6-3青豊】
 序盤にリードを広げた福工大城東が、終盤の青豊の追い上げを交わして逃げ切った。
 福工大城東は初回一死後、矢野が四球を選ぶと、続く藤原の一塁線を破る二塁打で先制。藤原は三塁を狙って憤死したが誉田、北原の連続死球で二死一、二塁。6番竹島の時に誉田が三盗を決めて二死一、三塁とし、竹島の左前打で誉田が生還した。さらに松永もセンター左を破る二塁打を放って2者を迎え入れ、この回4点を挙げた。
 3回は中前打で出た3番藤原が誉田、北原の2つの遊ゴロで三塁に進むと、竹島が中前打を放って1点を追加。5回はセカンド左への内野安打で出た誉田を北原が送り、竹島遊ゴロで二死三塁とし、7番松永の左越え二塁打で竹島が生還、6-0とした。

5回裏青豊二死三塁、楠の左前打で金石が生還

 2回二死一、三塁、4回一死一、二塁のチャンスを逃してきた青豊は5回、7番金石が中前打。2つのニゴロで二死三塁とし、1番楠の左前打で1点を返した。7回は、前の回から登板した福工大城東の2番手・中村から6番黒川がセカンド右への内野安打を放って出塁。金石も右前に落とし、工藤が送って一死二、三塁から9番高尾の右前に落ちる適時打で黒川が生還した。
 9回も金石が四球を選び、代打安藤温は三振に倒れたが、高尾の右前打で一死一、三塁とし、楠の右前打で1点を返した。しかし反撃もここまで。続く一死一、二塁から後続が倒れ、福工大城東を上回る13安打も実らなかった。

▼4回戦(19日・小郡)
福工大城東 401 010 000=6
青   豊 000 010 101=3


青豊・工藤

 後半の青豊の猛追を、福工大城東が辛うじて振り切った。
 序盤は完全に福工大城東のペース。立ち上がり、制球に苦しむ青豊の先発・工藤を攻め、3つの四死球にタイムリー3本で幸先よく4点を先制。3回は竹島が甘く入ってきたスライダーを中前に運び、5回は松永が内角寄りの変化球をレフトのラバーフェンスを直撃する大きな二塁打で加点。5回表が終わって6-0とコールドゲームも視野に入る展開だった。
 青豊は5回裏、楠がバットの先端ながらショート後方に落として1点を返すと、福工大城東は6回から軟投派の坂本に代えて直球に威力のある中村を送り込んだが、ここから流れが青豊に傾き始める。

福工大城東・坂本

 6回裏、中村の代わりばな、山本がスライダーを中前にはじき返し反撃の狼煙を上げる。この回は無得点だったが、7回表の福工大城東の攻撃を併殺で切り抜けると、7回先頭の黒川が直球に押し込まれながらセカンド右へ転がし内野安打。金石の詰まった当たりはセカンド右後方に落ち、工藤が送って二、三塁。高尾のバット先端に当たった打球がライト前に落ち、黒川が生還。いずれも〝渋い〟当たりだったが、中村の速球に食らいついて挙げた1点だった。さらに二死満塁とし、この日2安打の3番山本を迎えた場面がこの試合の一つの山場だったが、ここは内角高めの直球に押し込まれて右飛。
 それでも8回裏、先頭の4番元島が初球を果敢に左前に運び再び流れを引き寄せると、9回は一死一塁から高尾が0-2と追い込まれながらファールで粘って7球目をライト前にはじき返し、楠も右前へのクリーンヒットで金石が還り3点差に。前田一ゴロで二死二、三塁となって中軸に回り、青豊スタンドのボルテージも最高潮に。期待を一身に背負った山本は、3-1からの直球を狙ったものの詰まった投邪飛。最後は1球ごとに叫びながら投げた福工大城東・中村の気迫が勝った。

福工大城東・中村

 青豊の先発・工藤は、立ち上がり直球・スライダーとも甘く入ったところを捕らえられ、3つの四死球も絡んで4失点。5回までに9安打を浴びて6点を失ったが、徐々に球が低めに集まるようになった6回以降は、福工大城東に二塁を踏ませなかった。四死球も2回以降は1つのみと前半と後半では別人のような投球を見せた。後半味方が反撃に転じただけに、初回の4失点が悔やまれる。
 守備も無失策で工藤を盛り立てた。ショート山本が三遊間の深いゴロ、正面のバウンドを合わせるのが難しいゴロをいずれも軽快な動きでさばけば、セカンド楠も正面の弱い打球を反応良くダッシュしてジャンピングスローを見せるなど、苦しい投球を続けていた工藤を救った。打線は単打のみで13安打。芯で捕らえた当たりばかりではなかったが、しぶとく食らいついていった。

 福工大城東の先発・坂本は5回を6安打1失点。外角低めへの直球を軸にスライダー、チェンジアップ、カーブと多彩な変化球を駆使して好投した。四死球もゼロで安定感あふれる投球だったが、5回は芯で捕らえられる打球も多く、この回で降板。中村は直球に勢いはあったがその直球を狙われ、詰まらせながらもヒットにされることが多かった。毎回のように走者を背負う苦しい内容だったが、それでもここぞの場面でも直球で押し込み、決定打は許さなかった。

 


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