【観戦記】久留米商６－２福岡第一（選手権大会３回戦） |

【久留米商６－２福岡第一】
　久留米商が足をからめた攻撃で福岡第一の好投手・高木を攻略、春の大会２回戦で敗れた雪辱を果たした。
　初回に１点を先制された久留米商は２回二死後、６番中村が左前打で出ると、続く小屋松がセンター左を破る二塁打を放ち、一塁から中村が先制のホームを踏んだ。さらに８番牛島の中前打で小屋松が還って逆転した。
　３回以降は高木に無安打に抑えられてきたが７回先頭の小屋松が中前打で出塁。続く牛島の時にヒットエンド・ランを仕掛け、打球が右中間に落ちる二塁打となる間に小屋松が一気に生還。小川のニゴロで一死三塁とし、１番鳥巣の時に高木の暴投で三塁から牛島が還り、この回２点を加えた。９回にも小川が三塁前にバントヒットを決め、続く鳥巣の時に再びヒットエンド・ラン（右前打）が決まり、ライトの失策も絡んで無死二、三塁。代打木本は三振に倒れたが、３番小北が右翼線二塁打を放って２点を追加し、突き放した。

　先制したのは福岡第一。初回一死後、永尾が左前打、岸本も三遊間を破って一死一、二塁。４番藍のセカンド右を襲う一打は、グラブをはじく内野安打となって永尾が生還した。しかし２回以降は毎回のように走者を出しながら追加点が奪えず、高木を援護できなかった。
　ようやく７回、この回から登板した２番手の安徳から８番高木が右越え本塁打を放ち２点差とすると、続く和間も右前打で続いたが後続が凡退。９回も先頭の柴田が右前打を放ったが後続が倒れ、１０安打を放ちながら２得点に終わり涙をのんだ。

▼３回戦（16日・小郡）
久留米商０２００００２０２＝６
福岡第一１０００００１００＝２

　春の大会２回戦では福岡第一・高木に１１三振を奪われ、６安打１点に抑えられた久留米商。再戦となった夏の舞台で、見事なリベンジを果たした。
　初回に１点を許し、２回も簡単に二死。前回と同じような展開になるかと思われた矢先、６番中村の一打が試合を動かした。サード正面への痛烈な当たりは、直前で少しバウンドが変わったか、サード陳の顔のすぐ横を抜けていくヒットに。続く小屋松が初球を捕らえ、センター左を深々と破る一打で追いつく。牛島はバットの先だったが、飛んだコースがよくセンターへ抜ける逆転打に。中村の当たりといい、このあたりは久留米商にツキも味方した。

　ただ、高木も好投手。３回以降は安打を許してもらえない。２－１のまま膠着状態となったが、今度は足を絡めて突破口を開いた。７回、小屋松が２回以来となるヒットで出塁する。１点差で回は終盤、送ってくるかと思ったが牛島は強打に出る。そして１－２と追い込まれたところでエンドラン。内角直球の厳しい球だったが、腕をうまく畳んで打ち返した一打は右中間へ。ライトの藍が懸命に追いダイビングキャッチを試みるわずかに及ばず、小屋松が一気に生還した。春の大会では４番として打席に立ちながら３三振に倒れた牛島が、２回・７回と大事なところでタイムリーを放つ活躍だった。
　９回も小川がバントヒットで出ると、鳥巣の時に再びエンドラン。うまく右方向に合わせた一打はセカンド頭上を越えて無死二、三塁。小北はライト右に落として２点を加えた。２点差に迫られた９回、確実に送ることも十分想定されたが、ここでもカウント２－２からの思い切った攻撃が吉と出た。

　投げてはエースナンバーを背負った牛島が粘りの投球。初回は３連打であっさり先制を許し、２回以降も４回を除いて毎回のように安打を浴びたが、内角の直球とスライダーのコンビネーションで打たせて取り、福岡第一の拙攻にも助けられて踏ん張った。
　７回からは２年生の安徳。代わりばな、高木にスライダーを右越えに運ばれたものの、伸びのある直球とスライダーを内外角の低めいっぱいに決め、福岡第一に追撃を許さなかった。春の大会でも救援で登板、４イニングスを無失点に抑えていたこともあり、自信を持っての投球だった。

　高木は２回に不運な当たりもあって２点を失ったが、３回以降はスライダーを低めに集めて安打を許さなかった。味方の援護がないまま迎えた終盤はさすがに疲れの色が隠せず、７～９回だけで８安打を許し、久留米商の足を絡めた攻撃の前に失点を重ねた。
　福岡第一としては、２・４・６回と先頭打者を出しただけに、最低でも同点に追いついておきたかった。しかし２回は高木がバントを２球ファールの後、強行に出て内野ゴロ（二塁封殺）。４回も高木が送れず、エンドランをかけるがニゴロ併殺打に。６回も６番山田がバントを２球失敗し、バスターに切り替えるも投ゴロ併殺打に打ち取られるなど、６回までに牛島から７安打２四球を得ながら１点しか奪えず、流れを掴めなかった。