試合途中から雨が降ったり止んだりするなか、土壇場でもつれて延長タイブレークに突入した混戦を糸島が制した。
延長10回裏、糸島はタイブレークの無死一、二塁から榮が送り、永尾申告敬遠で一死満塁から、代打山本が左前にサヨナラ打を放って勝負を決めた。
先制したのも糸島。初回先頭の中島が遊内野安打で出ると不老が送り、捕逸で一死三塁。横山の遊ゴロの間に中島が生還した。3回は一死後、不老が振り逃げ、捕手からの一塁送球が乱れる間に一気に三進し、横山の右犠飛で1点を加えた。
2点を追う筑前は6回、波佐が二ゴロ失で出ると、長尾の時にヒットエンドランが決まり(右前打)、無死一、三塁。首藤の三ゴロで波佐は三本間で挟殺されたが、一死一、三塁から松田が四球を選び満塁とし、濵田の一ゴロの間に長尾が生還した。
9回は一死後、入澤、岸本が連続四球。坂部が送って二死二、三塁から波佐の一ゴロ失で同点に追いつくと、なおも二死一、三塁から波佐が二盗を決めたあと、長尾の左前打で逆転した。
しかし糸島は9回裏一死後、中島が四球を選び、不老中飛のあと打者横山の時に二盗を決め、暴投で三進。横山四球で二死一、三塁から山﨑の左前打で追いつき、10回のサヨナラ勝ちにつなげた。
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第11回福岡地区高校野球大会 3回戦 (2024年4月20日・土/春日公園野球場) |
チ 一二三四五六七八九十 計HE 筑前 0000010020 343 糸島 1010000011x 483 筑 前 年 打安点 糸 島 年 打安点 (二)長 尾③ 521 (右)中 島② 410 (一)首 藤③ 500 (二)不 老③ 300 (三)松 田② 300 (左投)横山③ 302 (捕)濵 田③ 501 (三)山 﨑② 521 (左)島 田③ 500 (捕)太 田③ 300 (右)入 澤② 310 (中) 榮 ③ 320 (走 井 上③ 000 (一)永 尾③ 320 (右 原 田➀ 000 (投)吉 原③ 200 (投)岸 本③ 310ー 打 森 ③ 100 (投 楢 崎② 000 投 小 川③ 000 (遊)坂 部② 200 左 善 家② 100 (中)波 佐③ 300 打 山 本③ 111 ーーーーーーーーーー (遊)川 上③ 400 球犠振盗残 球犠振盗残 5210210 653414 —————————————- 投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責 岸本 8.2 7531 吉原 6 2250 楢崎 0.2 1100 小川 0.2 1100 ーーーーーーーーーーー横山 3.1 1250 ———————————————— ▼試合時間/10:55~13:05 公式記録ではありません ※打者名の下線は左打ち、投手名の下線は左投げ |
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昨秋ベスト8の糸島は今春、パート決勝で九産大九産に0-1で敗れたが4試合で失点はわずかに3。その投手力の高さをこの試合でも示した。
先発は左腕・吉原。今大会は背番号1をつける。長身から投げ下ろす130キロ前後(この日最速134キロ)の直球にスライダー、カーブを交えての投球。直球で詰まらせる場面がたびたび見られ、90キロ台のカーブも効果的だった。6回に味方の失策から1点を失ったが、6イニングスを投げて被安打2、与四死2、奪三振5と安定感のある内容だった。球数は85でまだ余裕はありそうだったが、6回裏の攻撃で代打が送られてここで降板。
2番手は背番号11の小川が送り込まれた。直球(同132キロ)にスライダーを交える右腕。左前打と四球などで二死二、三塁と一打逆転のピンチを背負い、打席には前の打席ヒットを打っている長尾。ここでレフトから横山がマウンドに上がる。
昨秋はエースナンバーをつけて主戦として活躍した横山だが、今大会は背番号7。3番レフトで出場するが、この場面で登板するのはベンチの信頼の証だろう。左腕を高々と振り上げるダイナミックな投球フォームから投げ込む直球は、この日最速142キロ。昨秋、同じ春日公園野球場で確認できた137キロから5キロアップしていた。左足が着地した時にしっかりと後ろにタメをつくれており、下半身の強さもうかがわれる。
初球に141キロの直球を投げ込むと、142キロの直球で長尾を三ゴロに打ち取りピンチを脱出。8回は100キロ台のカーブ、さらに打者の手元で落ちる変化球で2つの三振を奪い三者凡退。9回も先頭打者から三振を奪って、このまま1点差を守り切るかと思われた。
しかし入澤を歩かせると、続く楢崎にもストレートの四球。筑前ベンチは坂部に送らせて二死ながら二、三塁と一打逆転の場面をつくって9番波佐に託す。1-2からの一打はファースト正面のゴロ。試合終了かと思われたがバウンドが変わり、永尾は胸に当てて前にこぼしたが波佐が一塁を駆け抜けて同点(記録は失策)。横山は続く長尾に左前打を浴びて、土壇場で逆転を喫した。
それでも9回裏に味方が同点に追いつくと、タイブレークに入った延長10回表は一死二、三塁から4番濵田を外角直球、5番島田を変化球で空振り三振に仕留めて流れを呼び込み、その裏のサヨナラにつなげた。
打線は毎回のようにチャンスをつくりながら決定打を欠いた。ただ9回は二死一塁から中島が果敢に二盗を決めると暴投で三進。山崎の同点打を呼び込んだ。10回は代打山本が初球から積極的にスイングをかけ、最後は変化球を手元まで呼び込んで左前にはじき返した。
筑前の先発岸本も、120キロ台なかば(同130キロ)の直球に100キロ台、110キロ台の変化球をまじえて粘り強く投げた。毎回のように走者を出し、7回をのぞいて得点圏に走者を背負ったが失点は2点だけ。特に目を引く球があるわけではないが、変化球を低めに集めて打たせて取っていった。
打線は散発4安打に抑えられたが、敵失や四球で出た走者を機動力をからめ、数少ないチャンスを得点につなげるしぶとい攻撃を見せた。投打とも粘り強く戦ったが、あと一歩及ばなかった。
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