【観戦記】飯塚7-0糸島(秋季大会準々決勝)




糸島の守りの乱れにつけこんで主導権を握った飯塚が、先発中島の好投で糸島に快勝した。

9回表 飯塚 無死一、三塁 肥後が左中間に3点本塁打を放つ

飯塚は3回一死後、伊藤が中前打で出ると暴投で二進し、中島死球で一死一、二塁。戸次の一内野安打で満塁とし、続く久我の一ゴロ失で先制した。なおも一死満塁から赤間が押し出し四球を選んだあと松永の中前打で2者を迎え入れ、この回4点をあげた。

4回二死一、二塁、5回二死三塁、6回一死二塁、8回二死満塁と好機を得ながら得点できなかったが、9回赤間が四球で出塁すると、松永の時にヒットエンドランが決まり(左前打)無死一、三塁とすると、続く肥後が左中間本塁打を放って3点を追加、試合を決めた。

糸島は3回一死後、川上がレフト左への二塁打で出塁したが、後続が凡退。その後は4~6回と三者凡退に抑えられるなど、チャンスをつくれなかった。9回は一死から中島の三ゴロ失と榮の左前打で一、二塁としたが山﨑右飛、太田は左直に倒れ、好投を続けた飯塚・中島の前に、最後まで三塁を踏めなかった。

第153回九州地区高校野球福岡大会 準々決勝
(2023年10月6日・金/春日公園野球場)
チ ー一二三四五六七八九 計 HE
飯塚 004000003 710
糸島 000000000 0 32
 飯  塚 年 打安点  糸  島 年 打安点
(中)戸 次➁ 420 (左) 森 ➁ 400 
右 小 倉➁ 000 (右)中 島➀ 400
(右中)久我② 300 (中) 榮 ➁ 410

(二赤 間➁ 301 (一)山 﨑➀ 400
(一)松 永➁ 522 (捕)太 田➁ 410
(左)肥 後② 513 (二)不 老➁ 200
(捕)脇 元➁ 410 (投)横 山➁ 300
(三)森 永➁ 510  投 吉 原➁ 000
三 田 﨑➁ 000 (三)日 高➁ 200
(遊)伊 藤➀ 420  打 西 嶋➁ 100
(投)中 島➁ 210  三 古 川➀ 000
ーーーーーーーーーーー (遊)川 上➁ 310
球犠振盗残       球犠振盗残
634010       10805
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
中島  9 3180 横山  8.0 10626
ーーーーーーーーーー 吉原  1 0010
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▼試合時間/9:55~11:34 ※選手名の下線は左打者

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祐誠、久留米商など強豪を破って県大会に進んできた公立校・糸島の快進撃を、飯塚のエース・中島が止めた。

飯塚・中島

中島は直球の球速こそ120キロ台後半(この日最速128キロ)ながら、スリークォーター気味の左腕から右打者の内角低めを突くクロスファイヤーに威力がある。右打者8人を並べる糸島打線に対しては、この球と打者の手元で沈むチェンジアップ、さらにボールゾーンから外角低めに落ちてくるスライダーを低めに集めた。どの球でもストライクが取れ、与えた四死球はわずかに1つだけ。5回まで2つだった三振も、6回以降の4イニングスで6つ奪うなど、回を重ねるにつれて調子を上げていった。二塁に走者を背負ったのは、川上に二塁打を打たれた3回と、味方の失策の後に安打を許した9回だけ。ほぼ完ぺきに抑え込んだ。

糸島・横山

糸島の先発横山も130キロ台半ば(同137キロ)の直球にチェンジアップ、さらに時折100キロ台のカーブを交えながら2回までテンポよく投げた。3回は一死からやや高めに浮いたチェンジアップを伊藤に中前に運ばれ、中島には死球。戸次の叩きつけた打球は投手と一塁手の間で高く弾み、どちらが捕るか両者に一瞬の迷いもあり、内野安打となって満塁。久我には変化球で完全にタイミングを外し、当たり損ないの一ゴロに打ち取ったが、3-2-3の併殺を焦ったか山﨑が落球。思わぬ形で飯塚に先制点が入った。気落ちしたか、横山は続く赤間にストレートの押し出し四球を与え、松永には132キロの直球をセンター前に運ばれた。わずかに隙を逃さず、飯塚が一気にリードを広げた。

ただ、4回以降は走者を背負いながらも横山は決定打を許さなかった。特に8回は自らのフィルダースチョイスもあって二死満塁のピンチを迎え、久我には3-1までカウントを悪くしたが、最後はチェンジアップで空振り三振に仕留めた。チェンジアップを低めに集めたことでワンバウンドになる球もたびたびあったが、捕手の太田がよく体を張って止めた。

糸島・吉原

4-0のまま試合は9回へ。中島の出来からして、そのまま飯塚が押し切りそうな雰囲気が濃厚だったが、最後に一塁側スタンドを沸かせたのが5番肥後。夏までの4番だがこの大会は先発から外れる試合もあり、この日も4打数無安打。チェンジアップにタイミングがあわず凡打を繰り返していたが、ワンボールからの2球目、大きなカーブをしっかりとためて左中間の最深部に打ち込んだ。4番の松永はミート率が高く、外野の間をライナーで抜いていく痛烈な打球を放つが、肥後には一発の魅力がある。遠くに打球を飛ばす能力は高いだけに、確実性を上げていけばさらに怖い打者になりそうだ。

肥後の本塁打の後、糸島は大型左腕の吉原が登板。気迫を前面に出す投球で後続を三人で退けた。直球は130キロ台前半(同134キロ)、体格があるだけに球にも威圧感がある。スライダー、チェンジアップも投げていたようで決して直球一本やりというわけでもない。来春以降の活躍が期待される。

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