九国大付が明徳義塾に競り勝ち3回戦進出~2022選手権




第104回全国高校野球選手権大会は大会6日目の11日(木)に2回戦4試合が行われ、第三試合に登場した福岡県代表の九州国際大付は明徳義塾(高知)を2-1で破りました。

新型コロナウイルスの集団感染と判断され、ベンチ入りメンバー2人を入れ替えて初戦にのぞんだ九州国際大付は3回に先制を許しますが、その裏に1番小田原の同点適時打で追いつくと、続く4回に敵失で勝ち越し。先発・香西投手は4回以降、走者を背負いながらも決定打を許さずに1点差を守り切りました。県勢としては2018年の沖学園以来、九州国際大付としては2015年の3回戦(作新学院戦)以来となる夏の甲子園での白星となりました。3回戦は15日(月)第二試合で高松商(香川)との対戦が予定されています。

3回裏九国大付二死二塁 小田原が右翼線に同点適時打を放つ

【試合経過】—————————-
九州国際大付・香西、明徳義塾・吉村、両投手の好投で1点を争う攻防が展開されたが九州国際大付が競り勝ち、7年ぶりに夏の甲子園で勝ち星をあげた。

3回表に先制された九州国際大付はその裏、7番尾崎が死球で出ると香西が送って一死二塁。浅嶋は遊ゴロに倒れたが、1番小田原が右翼線への安打を放ち同点に追いついた。続く4回は、この回先頭の中上が左中間二塁打で出塁。続く黒田の三塁前バントが一塁悪送球を呼び、中上が生還して勝ち越した。その後も5回と6回に二死一、二塁、8回には一死一、二塁の好機を得たが決定打を欠き追加点を奪えなかったが、この1点を守り切った。

明徳義塾は3回、8番本田が四球を選ぶと辰己が送って一死二塁とし、1番井上の中前打で先制した。6回は二死から4番寺地が左前打、続く池邉も右前打で一、二塁としたが吉村が投ゴロ。7回は四球で出た7番林を送って一死二塁としたが後続が倒れ、香西を最後まで攻略できなかった。

第104回全国高校野球選手権大会2回戦 (2022年8月11日・木/阪神甲子園球場)
       一二三四五六七八九 計HE
明徳義塾 001000000 151
九国大付 00110000x 252
 明徳義塾  打安点  九国大付  打安点 ◆投手成績
(中)井 上 411 (左)小田原 311 明 徳 回 安球振責
(右)安 井 400 (右)中 上 310 吉村  8 5552
(左)田 中 400 (中)黒 田 310 
(三)寺 地 320 (捕)野 田 310 九国付 回 安球振責

(二)池 邉 310 (一)佐 倉 400 香西  9 5351
(投)吉 村 410 (二)白 井 310
(捕) 林  300 (遊)尾 崎 200 
(一)本 田 100 (投)香 西 100 試合時間
打 河 村 100 (三)浅 嶋 300 1時間47分
(遊)辰 己 200
振球犠盗残  打安点  振球犠盗残 打安点
53307  2951  55
206 2551

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新型コロナの集団感染という災難に見舞われた九州国際大付。懸念された選手の入れ替えは2人にとどまり、主力選手の大量離脱という最悪の事態はさけられた。県大会の打率4割5分で不動のトップバッターだった隠塚、勝負強い打撃を見せていた大島がスタメンから外れたが、代わって決勝の筑陽学園戦で決勝打を放った白井、長打力のある小田原が入った打線はベストオーダーと遜色ない顔ぶれとなった。

先発のマウンドに上がったのは、県大会4回戦以来となる左腕香西。実戦から離れている不安はあっても、ソツのない攻撃を見せる明徳義塾に対して九州国際大付ベンチは豊富経験な香西を送り込んできた。

九国大付・香西(福岡大会2回戦・大和青藍戦)

その香西は立ち上がりから、ベンチの期待に十分に応える出来だった。2~6番まで並んだ左打者に対して外角低めいっぱいに直球(この日最速127キロ)が安定して決まり、追い込んでからは外角低めへに逃げていくスライダーで打たせて取っていった。この日は100キロ台のカーブも多めに使い、この球も目先を変えるのに有効だった。そして右打者には、外角低めに沈むチェンジアップ。基本的に外角中心の投球だったが、きわどいところに直球と変化球を投げ分け、明徳打線に自分たちのスイングをさせなかった。

3回は四球で出した走者を犠打で二塁に送られたあと、高く浮いたスライダーを詰まりながらセンター前に落とされたが、失点はこの1点のみ。1点を失った後の一死一、三塁が最大のピンチだったが、3番田中をスライダーでニゴロ併殺打に仕留めた。4回以降に許したのはわずか3安打。終盤に入って高めに抜ける直球も散見され、7回と8回には1つずつ四球を出したが、大きく崩れることなく110球で完投した。

打線は、一度打者に背を向けてから左サイドから投じる明徳義塾の吉村の前に、2回まで走者を出せなかった。伸びのある130キロ台の直球に振り遅れるなどタイミングが合わず、3回には先制点を許すなど嫌な流れだった。それでも3回、死球で出た尾崎を二塁に置いて、小田原が外角直球を逆らわずに右翼線にはじき返す同点打。3回は先頭の中上が高めの直球を逃さず左中間に運ぶと、黒田が三塁前に自分も生きようかという絶妙のバント。これが一塁悪送球を誘って勝ち越した。

その後の再三の好機に追加点が奪えなかったが、吉村も好投手。簡単に決定打を許してくれなかった。それでもこの日の香西には、1点のリードで十分だった。

福岡大会3本塁打で注目を集める佐倉はこの日は無安打。吉村にまったくタイミングが合わず2三振に詰まった二ゴロ、4打席目は一死一、二塁で変化球をひっかけてニゴロ併殺打といいところがなかった。それでも佐倉頼みでないところが九州国際大付の強み。小田原、中上、黒田と上位打線の活躍で主砲の不振をカバーした。次戦以降、少しずつマークが他の選手に分散するうちに、その主砲は火を噴きそうだ。

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