【観戦記】八幡南5-4折尾(北九州市長杯準決勝)




【八幡南5-4折尾(北九州市長杯準決勝)】

6回裏八幡南二死二、三塁 野口が右中間にランニングホームランを放つ

3点のリードを中盤にひっくり返した八幡南が、折尾の追い上げをしのいで逃げ切った。

3点を追う八幡南は4回先頭の奥迫がライト前に落ちる二塁打で出ると築城右前打、廣田四球で無死満塁とし、8番原の左犠飛で1点を返した。
6回は5番奥迫が四球で出塁し、築城死球で無死一、二塁。廣田の三ゴロで三塁封殺されたが併殺を狙った一塁送球がそれる間に、走者がそれぞれ進塁して一死二、三塁とし、8番原の右前打でまず1点。なおも一死一、三塁から原が二盗を決め再び二、三塁とすると、今村三振のあと、1番野口がセカンド左を破り2者が還って逆転、さらに打球が右中間を抜ける間に野口も一気に生還した(記録は本塁打)。

先制したのは折尾。初回一死から宮内が四球を選ぶと、北岡は一ゴロ(二塁封殺)に倒れたが二盗を決め二死二塁とし、4番荒牧の中前打で生還した。2回は6番大坪が三塁内野安打で出塁すると、市野の送りバントで二塁封殺を狙った捕手の送球が乱れ一、二塁。岡田のバントはファーストへの小飛球となり、吉野のニゴロ(二塁封殺)で二死一、三塁となったが、前田が投手を強襲するヒットを放って1点を追加した。

4回は一死から吉野が三ゴロ失で出ると前田四球で一死一、二塁。宮内は三ゴロ(二塁封殺)に倒れたが二盗を決めて二死二、三塁とし、北岡の遊ゴロ失で吉野が還り、無安打で1点を加えてリードを広げた。

2点を追う9回は一死から投内野安打で出塁した前田が、宮内の左越え二塁打で一気に生還して1点差としたが追撃もここまで。後続が凡退してあと一歩及ばなかった。

第50回北九州市長杯争奪高校野球大会準決勝 (2022年5月3日・火/筑豊緑地野球場)
       一二三四五六七八九    計HE
  折 尾  110100001 4101

  八幡南  00010400x 5094
  折 尾  打安点  八幡南  打安点 ◆投手成績
(二)前 田 421(二)野 口 523 折 尾 回 安球振責
(中)宮 内 421(中)田 中 410 大 坪 6 7632
(左一)北岡 400(捕)重 本 310 越 智 2 2100
投 越 智 000(遊)野 中 410 

打 村 岡 100(一)奥 迫 320 八幡南 回 安球振責
(右)荒 牧 511(三)築城俊 210 井 手 4 5211
(一)石 橋 320(左)廣 田 200 今 村 5 5011
走左 田窪 100(右) 原  312 
(投一)大坪 410(投)井 手 100 試合時間
(遊)市 野 410 打 谷 口 000 14:15~16:23
(捕)岡 田 410 投 今 村 200
(三)吉 野 200
打 大 柿 100
振球犠盗残  打安点 振球犠盗残 打安点
22139  37103 37038 2995

※公式記録ではありません
※選手名はアナウンスによる確認のため誤りがあればご指摘ください。

—————-

両校の先発投手がピリッとせず、守りや走塁のミスも頻出して、やや緊張感を欠く試合となった。

八幡南の先発は右腕の井手。左足を上げたところで一度しっかりとためをつくってから直球にスライダ―、カーブを投げ込んでくる。直球には力があったが、高めに抜ける球も目立った。初回は四球の走者を盗塁と適時打で還されると、2回は味方の失策に内野安打2本で失点。4回も味方の失策に四球、盗塁もからみ無安打で1点。決して打ち込まれたわけではなかったが、四球や失策がからんでリズムに乗れず、4回までに89球を要してこの回で降板した。

八幡南の先発・井手

2番手の今村は球威は井手ほどないが、スライダーやカーブを低めに集めて打たせて取る投球を見せた。登板直後に石橋に右前打を浴びたが牽制で刺すと、二死から市野にも中前打を許したが次打者の時にリードが大きく捕手の重本が刺した。6回も一死二塁とされたが後続を断ち、7回は先頭の北岡の遊ゴロが一塁悪送球となったが二塁を狙って刺されるなど、運も味方につけて無失点でしのいだ。9回に1点を許したが終始テンポよく投げ、四球はおろかスリーボールになることもなかった。リズムのよい投球が、6回の味方の逆転を呼び込んだ。

八幡南・今村

折尾の先発大坪は長身の右腕。真上から投げおろしてくる直球にスライダ―、チェンジアップがあるが、制球が今一つだった。3回まで毎回走者を出しながらしのいできたが、4回連打と四球で無死満塁とされ犠飛で1点を失った。さらに四球で一死満塁と大量失点のピンチだったが、ここは投ゴロ併殺打で切り抜ける。しかし球数が100球に近づいた6回に連続四死球と味方の失策で一死二、三塁とされ原に右前打を浴びて1点差。さらに野口にセカンド左を破られて逆転を喫した。

折尾先発の大坪

この野口の一打に関しては、セカンド左を破った鋭い当たりが右中間に転がっていったが、打球処理しようとしたセンターも抜けてフェンスまで打球が転々とする間に、野口もホームインしたもの。打球がゴロだったこともあり普通であれば単打のケース。センターが処理を誤り後逸したか、不規則なバウンドで抜けて行ったのか確認できなかったが、スコアボードに「E」のランプは確認できなかったため記録上はランニングホームランとして扱った。

大坪はこの回で降板したが、6イニングスで6つの四死球を出したこともあって120球を要した。2番手の越智は2安打1四球を与えたが2回を無失点。変化球を含めたコントロールはまずまずといったところ。2年生ということもあり細身だが、体ができ直球のスピードがついてくれば緩いスライダーの効果がもっと生きてきそう。

折尾・越智

折尾打線は10安打放ったが、うち4本が内野安打。強く叩きつけた打球が大きく跳ねる人工芝特有の内野安打が目立った。八幡南も外野の間を破るような長打はなかったが、センターから右へ逆らわない打撃を見せた。

この試合、両校あわせた失策は5。特に送球ミスが多かった。積極的に盗塁をしてきた半面、けん制死やリードが大きすぎて刺されるなどまずい走塁も目に付いた。送りバントの失敗(ファール、二塁封殺)も含め、やや大味な試合となった点は否めない。送球、走塁、バントなど、基本ともいえるプレーをもう一度見直したいところだ。

Pocket
LINEで送る

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*