【小倉８－５宗像】
終盤までもつれる展開となったが、小倉が劇的な逆転サヨナラ勝ちで熱戦を制した。
１点を追う小倉は９回裏、先頭の３番村上がショートへの内野安打で出塁すると、続く本田も右前に落として一、三塁。５番嶋田が詰まりながらも左前に落として同点に追いつくと、吉川が左翼席に３点本塁打を放ってサヨナラ勝ちを収めた。
序盤は小倉が試合を優位に進めた。１点を先制された直後の２回、６番吉川が中前打で出ると徳本が送り、成田（尚）の遊ゴロで二死三塁。ここで９番溝上が中前に落として追いついた。３回には中前打で出た２番岩村を村上が送り、本田四球で一死一、二塁。５番嶋田の中前に落ちる当たりで岩村が本塁突入、タイミングはアウトだったが捕手が落球して生還。なおも一死二、三塁から吉川の右犠飛で２点を勝ち越した。続く４回にも８番成田が右前打。溝上三振、石橋死球で一死一、二塁から岩村の右前打で成田が生還してリードを広げた。
先制したのは宗像。２回、６番原尻が中前打で出ると松水が送って一死二塁。さらに上原死球、日野右前打で一死満塁とし、１番清水の中犠飛で原尻が生還した。３点を追う６回は、二死から原尻の遊内野安打と松水のセンター右への安打で一、三塁とし、８番上原がセンター左を破る三塁打を放って２点を返した。
７回は左翼線二塁打で出た清水を権田（達）が送り、石橋昂の中前打で同点に。９回は９番日野の投前セーフティバントが失策を呼び、清水の右中間へのタイムリー二塁打で勝ち越したが、力投を続けていた権田が最後に力尽きた。
▼２回戦（12日・北九州）
宗像 ０１０ ００２ １０１＝５
小倉 ０１２ １００ ００４＝８
見ごたえのある攻防が最後まで続いたが、小倉が１４安打８得点で打ち勝った。
宗像の先発は権田（達）。小柄だが全身を使ったフォームから、スナップの利いた伸びのある直球を投げてくる。制球もよくポンポンとストライクを取ってくるが、２回はこの直球を狙われた。先頭の吉川に初球を中前に運ばれ、犠打、遊ゴロの後、溝上にも初球を詰まらせながら中前に落とされた。３回、４回も直球を打たれて失点を重ねたが、５回あたりからスライダー主体の投球に切り替えてから、小倉打線から快音が消えた。５～７回だけで４奪三振、その大半がスライダーによる空振り三振だった。
味方が１点に迫った直後の６回裏は一死一、三塁のピンチを背負ったが、岩村をスライダーで三振、村上は三邪飛に抑えて、７回の同点につなげた。同点で迎えた８回裏二死二塁のピンチでは、この日２安打の好打者・石橋を敬遠し岩村と勝負。勝負処と見てスライダー中心の投球から一転、内角に直球を集めて詰まらせ、一ゴロに切って取り、その力投に応えて９回に打線が勝ち越し点をもぎとった。
ただ、岩村を直球で打ち取った余韻が９回のマウンドでも残っていたのかもしれない。直球中心で押した結果、村上の一打はショートほぼ正面だったが上から叩かれバウンドが高くなった分、内野安打となった。本田も完全に内角球で詰まらせたが、フラフラと上がった打球がライト前に落ち、無死一、三塁。嶋田も内角球を詰まらせながらレフト前に運ばれて同点。最後は吉川に豪快にすくい上げられ、力尽きた。
小倉の先発吉川は１９３センチの大型右腕。どちらかというと上半身に頼った投げ方だが、なかなか重そうな球質だ。ただこの日は直球を狙われ、５回以降は毎回安打を許す苦しい内容。１２安打を浴びて５点を失い３点のリードを守り切れなかったが、その分、打撃の方で２安打４打点と取り返した。次戦以降は、スライダーをうまく絡めた投球が求められそう。
打線は１４安打を放ったが、詰まった当たりが外野の前に落ちたり、ショート方面への高いバウンドが内野安打になったりと、会心の当たりはさほど多いわけでなかった。それでも積極的なスイングが、好結果を生んだ。１番石橋は２安打２四死球で５打席のうち４度出塁とトップバッターとして役割を果たした。４番本田は９回無死一塁で、完全に詰まりながらライト前に落として一、三塁の好機を演出、結果的にこの一打が試合の流れを大きく変えた。この一打に象徴されるように、小倉の勝負強さが際立った試合だった。
宗像打線も１２安打で互角に打ち合い、当たりの良さという点では小倉を上回った。３本の長打を放った１番清水を中心に吉川の直球を鋭く打ち返し、上位から下位まで万遍なく安打を重ねた。中盤以降のピンチにもよく耐え、粘り強い戦いぶりで３点差を逆転し、勝利まであと３つまで迫った戦いぶりは見事だった。
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