2016年、福岡の高校野球を展望する




 春季高校野球福岡大会の抽選は、いよいよ来週末でしょうか。そして3月20日前後の春季大会開幕~福岡の球春到来まで約1カ月に迫りました。秋の大会の印象をもとに有力校をあげながら、2016年の福岡の高校野球界を展望してみたいと思います。

 秋の福岡の覇者・九産大九産は、149キロを記録した右腕・梅野投手の存在が大きく、現状では最有力校と言えそうです。ただ、基本的に秋の大会は投手有利の傾向にあり、夏になるとやはり打力がものを言ってきます。そのため、このまますんなりとはいかないでしょう。九産・梅野4
 「150キロ近くを投げる本格派」といえば、現楽天の小野投手(西日本短大付)が思い出されますが、今年の九産大九産は「150キロ近くを投げるエースが打線の核にもなっている」という点で、この時の西日本短大付と似ていると思います。小野投手を擁した西日本短大付も2年前、秋の大会で準優勝して九州大会に出場しましたが、夏の大会は、準々決勝で優勝した九州国際大付にコールド負け。150キロを投げる投手がいても、甲子園に届かない高校野球の厳しさを感じました。だから九産大九産も決して安泰ではない…わけですが、ただ、この時の九州国際大付打線も清水、古澤と後にプロに大濠・濱地2進むことになる逸材を揃え、秋の大会でも優勝するなど潜在力のあるチームであり、この時の九州国際大付に匹敵する強打のチームは現状では見当たりません。ひと冬越えて、各校がどこまで打力をつけてきたか、春季大会は各校の打線にも注目したいところです。

 好投手・濱地を擁する福岡大大濠も、打線が課題という点では九産大九産と同じようなチーム事情です。秋は九産大九産に準決勝で0-1で敗れましたが、力は互角といってよいでしょう。こちらもエースの濱地が打線でも中軸に座りますが、彼には一発の魅力があり、その分得点力はやや高くなっています。秋の大会では梅野投手に手も足も出なかった打線でしたが、頂点を目指すうえでは梅野投手から3点程度は奪う打力が必要になってきそうです。

 両校を追うのは南部では九産大九州、福岡第一、東福岡、祐誠、筑陽学園、福工大城東。北部では小倉、九州国際大付、自由ヶ丘、希望が丘といったところでしょうか。九産大九州は岩田投手を中心に昨春の甲子園を経験した選手が多く残り、よくまとまった好チームですが、こちらも課題は打線でしょう。打力という点では粗削りながら福岡第一に可能性を感じていますが、どの程度伸びているか楽しみです。東福岡はまだ若いチー小倉・中野ムですが、同校に関して一つジンクスを紹介しておくと、同校サッカー部が全国優勝した過去2回(1998、99年)はいずれも夏の大会で優勝しています。今年はサッカー部が3度目の優勝を果たしています。祐誠、筑陽学園、福工大城東も投手力は高いだけに、やはり打線の出来如何によって夏に向けての結果も変わってきそうです。
 北部を見ると、秋の準優勝校・小倉は、中野投手を中心に守り勝ってきました。夏に向けてはもう一つ逞しさが欲しいところです。怖いのは九州国際大付、自由ヶ丘の私立勢。秋はいま一つ振るいませんでしたが、実績ある監督のもと、いい選手が集まってきているだけに、ひと冬越えて大きく化ける可能性を秘めています。梅野、濱地クラスの投手らを打ち崩せるとしたら、こうした強豪私立校になりそうな気がします。

 

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