【観戦記】沖学園4-3福岡大若葉(福岡地区大会準決勝)




両校あわせて17四死球を数える乱戦模様となったが、沖学園が粘る福岡大若葉を振り切って決勝進出を決めた。

2点を先制された沖学園は直後の4回、西村が左越え二塁打を放つと、北西右飛のあと津波の中前打と二盗で一死二、三塁とし、島の中前打で1点を返した。

6回は西村、北西が連続四球のあと、津波の三前バントが内野安打となって無死満塁。島の押し出し四球で追いつき、坂田の右犠飛で勝ち越した。7回は二死から北西が四球を選び、津波の三塁キャンパスに当たる二塁打で二、三塁とし、島の中前打で北西が生還した。

7回表沖学園二死二、三塁 島が中前適時打を放つ

福岡大若葉は3回、藤川、池田が四球を選び無死一、二塁から山本が一塁線を破って先制。なおも無死一、三塁から田中(大)が4-6-3の併殺打に倒れる間に三塁から池田が生還してこの回2点をあげた。2点を追う8回は田中が遊ゴロ失で出塁。井上の遊ゴロで二進したあと川畑のボークで三進し、大井のセンター左を破る三塁打で生還した。

しかし続く一死三塁から長のスクイズで本塁を突いた大井がタッチアウト。その後も代打重野四球、水迫死球で二死満塁としたが、藤川が遊ゴロ。10四死球を得ながら決め手を欠き、12残塁に泣いた。

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第11回福岡地区高校野球大会 準決勝
(2024年5月11日・土/春日公園野球場)
チ    一二三四五六七八九 計HE
沖学園  000102100 491
福大若葉 002000010 360
  沖学園 年 打安点  福大若葉 年 打安点
(三)門 林② 500 (遊一中一)
(左)吉 村③ 510    水 迫③ 310
(遊)岸 本③ 500 (二)藤 川③ 400

(一)西 村③ 320(右中右)池③ 200

走 濵 地③ 000 (捕)山 本 521
一 嘉 陽③ 000 (三)田中大 310
(捕)北 西③ 200  走 稲 富③ 000
(二)津 波③ 430 (中)下玉利③ 300
(右) 島 ③ 223  投 井 上② 100
(投)生 野② 100  打 行 實② 100
打中 坂田③ 201 (左)大 井③ 421
(中)森 田③ 200 (投)川 村① 000
投 川 畑② 210  打 中 野③ 100
(ーーーーーーーーー   投 田中那③ 000
(ーー
ーーーーーーー   遊  長 ② 200
(ーーーーーーーーー 一投一川原③ 300
(ーーーーーーーーー   打 重 野③ 000
(ーーーーーーーーー   走中右中   藤岡② 000
球犠振盗残        球犠振盗残
723210       10011512
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
生野  3 3442 川村  2 1210
川畑  6 3670 田中那 1.1  3001
川畑  6 3670 川原  2.2  2302
川畑  6 3670 井上  3 3221
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▼試合時間/13:08~15:28 公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち 投手名の下線は左投げ

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両校とも再三走者を得点圏に送り、流れがどちらに転んでもおかしくない試合展開だった。

沖学園・生野

沖学園の先発は2年生左腕の生野。120キロ後半(同131キロ)の直球にスライダーを交える。初回は2つの四球などで二死満塁とされたが下玉利を130キロ直球で三振。2回の無死三塁もしのいだが、3回は連続四球から山本のタイムリーと併殺の間に2点を失い、この回で降板。スライダーで3つの三振を奪うなど3イニングスで4三振を記録したが、四死球も4つと制球に課題を残した。

沖学園・川畑

4回に打線が1点を返すと、その裏からは同じく2年生の右腕川畑がマウンドへ。登板直後、大井をこの日最速となる144キロの外角直球で見逃し三振に仕留めるなど、6イニングスで7つの三振を奪った。四死球を6つ与え暴投も2つ記録するなど制球には苦しんだが大きく崩れることはなく、終盤はスライダーを多投してリードを守り切った。

打線は6番津波が3安打でつなぎ役を果たし、7番島がタイムリー2本を含む3打点と下位打線で得点を重ねた。一方で2回一死満塁、4回1点を取ったあとの一死二、三塁、6回逆転したあとの一死満塁、さらに9回無死二塁と何度も複数得点のチャンスを得ながらあと一本が出ず、突き放すことができなかった。

福岡大若葉・川村

福岡大若葉の先発は1年生左腕川村。ワインドアップから、120キロ後半の直球(この日最速128キロ)に大きなカーブを交える。初回、落ち着いたプレートさばきで9球で三者凡退に打ち取る上々の立ち上がり。2回は西村に中前打を許すと、犠打を挟んで2つの四球。走者を出してからの投球が一つ課題となりそうだが、一死満塁のピンチを無失点で切り抜けるなど強心臓ぶりを示した。

2巡目を迎えてどうかというところだったが2回裏の攻撃で代打が出され、3回からは右サイドハンドの田中(那)が登板。投球の大半がスライダーで3回は三人で抑えたが4回は3安打で1点を失い、なおも一死一、三塁の場面でファーストから川原がマウンドへ。

福大若葉・川原

川原は小さなテイクバックから120キロ台なかば(同126キロ)の直球にチェンジアップを交える左腕。登板直後の一死一、三塁は切り抜け、5回も三者凡退で退けた。しかし6回に突如乱れて連続四球に内野安打を挟み、押し出し四球と犠飛で逆転を許した。ただ、その後の一死満塁は抑えて踏ん張った。

福大若葉・井上

7回から登板した井上はがっしりとした体格から120キロ台後半(同131キロ)にスライダー、カーブを交える右本格派タイプ。7回は簡単に二死を取ったものの、北西を歩かせると連打を浴びて失点。一方で9回無死二塁のピンチは無失点でしのいだ。川原と同様に四球から崩れる脆さと、最少失点で切り抜ける粘り強さが同居するマウンドとなった。

打線は11三振を奪われ散発6安打に終わったが初回二死一、二塁から重盗を決めるなど、機動力を使って再三揺さぶりをかけてきた。2点を追う7回は先頭の水迫が四球を選ぶと、いきなり二盗を仕掛けたが失敗。それでも二死後に池田が死球で出ると再び走り、今度は成功。得点はできなかったがバッテリーに重圧をかける。

8回は敵失で出た田中が遊ゴロで二進すると打者大井の時、投球直前の偽走がボークを誘って三進。大井のタイムリーにつなげた。続く一死三塁の場面では4球目のスクイズがファールになったあと、フルカウントからスリーバントスクイズを敢行するが、大井は本塁で憤死。それでも二死一塁から長が二盗を決めて再び同点機をつくり重野四球、水迫死球で二死満塁とチャンスを広げる。藤川のショート左への一打は岸本が追いついて三塁に送球する好判断もあって得点できなかったが、息をつかせない連続攻撃をみせた。

8回裏福岡大若葉一死三塁 長のスクイズで大井本塁突入するも憤死(捕手・北西)

福岡大若葉は無失策と守りも堅く、ショート水迫をはじめ内野手の正確な一塁送球が目についた。7回二死二、三塁では島の中前打で本塁を狙った二走に対し、センターに回っていた水迫が好返球で刺し2点目を阻止。9回は無死二塁の場面で内野手が一斉にバントシフトでチャージをかけ、入れ替わりにセンターが二塁けん制に入るピックオフプレーを披露した。

走塁でも5つの盗塁を決めたほか、二、三塁の場面では二走が投球後に大きく離塁して捕手の二塁けん制を誘い(その間に三走が本塁突入を狙う)、走者が三塁に進むと打者と走者の両方に伝令を派遣するなど随所で陽動作戦を仕掛けてきたが、沖学園は惑わされることなく冷静に対処して逃げ切った。

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