【観戦記】福工大城東7-2福岡大大濠(福岡地区大会準決勝)




福工大城東が延長10回に福岡大大濠を突き放し、前年秋の大会で逆転負けした雪辱を果たした。

2-2の同点で迎えた10回表、福工大城東はタイブレークの無死一、二塁から奥田が送って一死二、三塁。代打岩﨑の当たりはショートとレフトの間に落ちるヒットとなってまず1点。なおも一死一、二塁から松永が三塁前にセーフティバントを決めて一死満塁から永山が左翼線に落とし、レフトが後逸する間に3人が還って6-2とリードを広げた。続く一死三塁から關がスクイズを決めて永山が生還、試合を決めた。

10回表福工大城東一死満塁 永山が左前適時打を放つ

先制したのも福工大城東。4回二死後、關が四球を選び森の中前打で一、二塁とし、和田の中前打で關が生還した。続く5回は松岡四球、山田右前打で無死一、三塁から、萩尾の中犠飛で1点を追加した。

2点を追う福岡大大濠は5回一死から柴田、永田がいずれも中前打で一、二塁とし、立川のレフト左への二塁打で2人が還って追いついた。その後も6回一死二塁、7回二死一、三塁、8回二死二塁と好機を得たが決定打を欠き、押し気味に試合を進めながら試合を決めきれなかった。

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第11回福岡地区高校野球大会 準決勝
(2024年5月11日・土/春日公園野球場)
チ    一二三四五六七八九十 計HE
福工城東 0001100005 780
福大大濠 0000200000 293
 福工城東 年 打安点  福大大濠 年 打安点
(遊)和 田② 611 (中)大 神③ 410 
(右左)阿南③ 310 (二)豊 田② 300
(中)松 田③ 210 (遊)菅 野② 420

(左)山 田 410 (三)高 田③ 400

右三 奥田③ 000 (一左)柴田 310
(三)萩 尾② 201 (投一)永田③ 410
打 岩 﨑② 111 (右)立 川③ 422
走右 北野③ 000 (左)野 口③ 100
(一)松 永③ 510  投 飯 野③ 000
(二)永 山③ 512  投 小 峰③ 000
(捕) 關 ③ 301  打投 平川③ 310
(投) 森 ③ 310 (捕)法 村③ 410
投 大 堂③ 100
球犠振盗残        球犠振盗残
656011        21607
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城東 回 安球振責 投 手 回 安球振責
  7.2 6222 永田 3  1310
大堂 3.1 3040 飯野 0.2 2101
大堂 3.1 3040 小峰 1.1 1111
大堂 3.1 3040 平川 5  4141
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▼試合時間/9:55~12:23 公式記録ではありません
※打者名の下線は左打ち 投手名の下線は左投げ

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前年秋は5-3から9回逆転負けを喫した福工大城東が森、大堂の粘りの投球で雪辱を果たした。

福工大城東・森

先発は左サイドハンドの森。大神、高田、柴田、永田と左の好打者が並ぶ福岡大大濠打線に対し、130キロ前後の直球、スライダーを低めに集めて好投した。肘を出す位置を微妙に変えながら投じる直球・変化球はコース、高低とも申し分なく、内野ゴロの山を築いた。特に一塁ゴロは7つ。福岡大大濠の左打者はスライダーを引っかけて、右打者は内角直球に詰まらされた一塁ゴロが目立った。

5回は3連打を浴びて追いつかれたが、なおも一死二塁で代打平川、法村をいずれも一ゴロ。6回は一死二塁で中軸を迎えたが菅野を二飛、高田からはこの日最速となる134キロの外角低め直球で空振り三振を奪い、流れを渡さなかった。

福工大城東・大堂

球数が100球を超えた7回は二死から連打を浴びて一、三塁とされると、エース大堂がマウンドへ。法村を三振に打ち取ってピンチをしのぐと、8回以降も130キロ台後半(この日最速143キロ)の直球にスライダー、フォークを交えて得点を許さなかった。昨秋は135キロ前後だった球速も140キロ前後までアップ。高く浮く直球もあったが、スライダーが安定して決まり四死球はゼロ。8回二死二塁で迎えた4番高田は140キロの直球で二ゴロに仕留めた。

2年生捕手・關の強肩も光った。初回二死一塁は菅野、二回二死一塁は永田、そして8回無死一塁は俊足の大神の二盗をいずれも封じた。大神の二盗はウエストして刺しており、相手の戦術を読む術にも長けている印象だ。昨秋は阿南がマスクを被っていたが、阿南を外野をコンバートしての起用に応えた。

打線は6回以降、平川に1安打に抑えられてきたが、タイブレークの10回は岩﨑の幸運な適時打が出ると、すかさず松永が初球を三塁前に転がしてチャンスを広げ、永山は外角低めのチェンジアップを軽打、うまくレフト前に落とした。さらに關は意表をつくスリーバントスクイズを決めるなど、小技をからめて一気に畳みかけた。4番に座った1年生の左打者・山田は4打数1安打2三振。打席では硬さもみられたが、叩きつけてファーストの頭上を破る安打を放ち、続く萩尾の犠飛につなげた。

福大大濠・永田

福岡大大濠は左腕永田が先発。130キロ前後(同133キロ)の直球にカーブ、スライダーを交える。立ち上がり直球が浮いて2つの四死球などで二死満塁のピンチを背負ったが無失点で切り抜けた。3回も先頭打者を歩かせるなど安定感を欠いたが、3イニングスを無失点に抑えて4回からファーストに入った。

4回からは右サイドハンドの飯野がマウンドへ。打者と正対する姿勢で左足を上げ、そこから体を捻ってテイクバックに移るフォームから120キロ台後半(同130キロ)の直球でポンポンとストライクをとってくる。簡単に二死をとったが關を歩かせると森、和田と中前に連打を浴びて先制を許し、ここで降板した。打たれたのはいずれも直球。もう少し変化球を交えてもよかったか。

福大大濠・飯野

3番手は左腕小峰。120キロ台後半(同131キロ)の直球に交える落差あるカーブが武器。飯野をリリーフした4回のピンチでは後続を断ったが、5回は四球、右前打で一、三塁とされ犠飛であっさり追加点を許した。飯野、小峰とも四球からピンチを招き、踏ん張れなかった。

福大大濠・平川

5回裏に同点に追いつくと6回からは平川が登板。140キロ超(同144キロ)の直球にスライダーとも安定しており、9回までの4イニングスを1安打無四球(死球1)とほぼ完ぺきな内容だった。10回は一死二、三塁で岩﨑を凡飛に打ち取り、浅い左飛かと思われたが、懸命に前進するレフト柴田のはるか手前にボールが落ちた。通常の守備位置ならショートやや後方のフライという飛球だったが、前進守備を敷いていたこともありショート菅野も思い切って追っていけなかった。

打線は厳しいコースを突いてくる森を打ちあぐみ、140キロ超の直球に鋭い変化球を駆使する大堂から得点を奪えなかった。終盤は我慢比べの展開となったが、不運なヒットで均衡を破られてからは一気に福工大城東に押し切られた。

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