【観戦記】鞍手7-5小倉工(春季福岡大会2回戦)




鞍手が8回に集中打で逆転、そのまま押し切った。

2点を追う鞍手は8回、先頭の津田が一ゴロ失で出塁すると森の右中間二塁打でまず1点。さらに有川の左前打で同点に追いつき、石田が送ったあと八窪の右中間三塁打で逆転した。続く山下も右前打を放って2点差とし、このリードを守り切った。

8回裏鞍手一死三塁 山下が右前適時打を放ち7点目

前半は小倉工が主導権を握った。2回、左翼線二塁打で出た岡野を福田が送り、井櫻のセンター左を破る三塁打で先制。続く轟木の左犠飛でこの回2点をあげた。3回は久澄が内野安打で出ると山下の遊ゴロで二進し、安田の中前打で生還した。

5回は一死から安田、大隅が連続四球で一、二塁。岡野は三振に倒れたが福田の中前適時打で安田が還り、なおも二死一、三塁から井櫻の左翼線二塁打で5-0とリードを広げた。

5点を追う鞍手は5回、左前打で出た石田を八窪が送り山下二直、内田四球で二死一、二塁。森永の左前打でレフトが打球処理を誤る間に石田が生還し、なおも二死二、三塁から大西の左前打で内田も還ってこの回2点を返した。7回は一死から山下が中前打。内田が送って一死二塁とし、森永の中前適時打で小倉工先発の灘をKО。その後は2番手の加来に抑えられたが、8回に一気に攻略した。

第154回九州地区高校野球福岡大会 2回戦
(2024年3月20日・水/筑豊緑地野球場)
チ  ー一二三四五六七八九 計HE
小倉工 021020000 510
鞍 手 00002014x 710
 小倉工  年 打安点  鞍  手 年 打安点
(左)久 澄➁ 520 (三)松 石➁ 000 
(遊)山 下③ 410  打左 森永② 321
(中右)安田③ 411 (二)大 西③ 411

(捕)大 隅③ 410 (中)津 田➁ 410
(右)岡 野③ 410 (左一)森 ③ 411
中 盛 田② 100 (一三)有川② 411
(一)福 田② 311 (遊)石 田② 310
(二)井 櫻③
322 (一)八 窪③ 311
(三)轟 木➁ 201 (投)山 下③ 421
打 磯 邉③ 110 (捕)内 田➁ 100
三 百々路③ 000
(投) 灘 ③ 400
投 加来② 000
球犠振盗残       球犠振盗残
34519       35207
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投 手 回 安球振責 投 手 回 安球振責
 灘  6.2 6223  山下  9 9355
加来聖  2.1 4103
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▼試合時間/14:47~16:33 ※選手名の下線は左打者
※公式記録ではありません

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5回表を終えて5-0。鞍手は2~4回は三者凡退に抑えられており、このまま小倉工が押し切るかに思われたが見事な逆転劇を演じた。

鞍手は5回、先頭の石田が左前打で出ると5点差にも関わらず送りバント。二死一、二塁から途中出場の森永が逆らわないバッティングでレフト前に運び、大西は差し込まれながらも三遊間を割って2点を返し、反撃ののろしをあげる。7回は一死から内田に送らせて再び森永につなぎ、森永がその期待に応えてセンター前にはじき返して2点差に迫る。

8回は一転、集中打で勝負を決めた。津田の強打をファーストがはじき(記録は失策)出塁すると、森がフルカウントから直球を芯でとらえてセンター右を破りまず1点。有川もスライダーをレフト左へ運び森が生還。ここまで無安打だった4番、5番が勝負強さをみせて遂に追いついた。

なおも無死一塁で、石田はバントの構え。これを見たサード、ファーストが猛チャージをかける中、3球目を一塁間に転がして走者を二塁に進め、八窪が初球を右中間で運んで逆転。山下も一塁線を破り、犠打を挟む4連打で一気にひっくり返した。

鞍手・山下

直球に緩急2種類のスライダーを交える鞍手先発の山下は、5回まで小倉工の強打の前に8安打5失点と苦しい投球が続いた。それでも3回は1点を失ったあとの一死満塁、5回は2点を失ったあとの二死二、三塁で追加点を与えず、ぎりぎりのところで踏ん張った。5回に味方が2点を返すと、6回7回と三者凡退でリズムを作る。8回二死一、二塁も無失点で耐え、その裏の逆転につなげた。

小倉工先発の灘

小倉工は5回までは理想的な試合運びだった。先発の灘は一度打者に背中を向けてから始動する右スリークォーター。伸びのある直球にスライダーをテンポよく投げ込み、4回まで1安打投球。5回・7回は森永にうまく打たれて失点したが、6回途中で3失点と先発の役割を果たした。2番手の加来は小柄ながらスピードの乗った直球にスライダー、カーブで緩急をつける右腕。ただ8回の有川、八窪、山下に許したタイムリーはいずれも1~2球目。ストライクを取りに行った球を痛打された。

打線は5回まで8安打5得点とよく打った。低反発バット対策か、上位から下位まで各打者がしっかりと振り切っている感じを受けた。ただ、6~9回の4イニングスはわずか2安打にとどまり、徐々に鞍手に傾く流れを引き戻すことができなかった。

2回裏小倉工一死三塁 井櫻がセンター左を破る三塁打を放つ

存在感を示したのは7番井櫻。小柄ながら思い切りのよいスイングをみせ、好機で巡ってきた2回はセンター左を深々と破る三塁打、5回はスライダーを左翼線に運ぶ二塁打で走者をかえした。

同じ公立校ではあるが部員数(昨夏時点の1、2年生の合計)は小倉工の44人に対して鞍手は16人。自軍ベンチ前のボールボーイも小倉工の協力を仰ぐなかで、価値ある1勝をあげた。

 

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